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外来甲虫、日本侵略 [時事]

子供たちの間の甲虫ブームを見ていると、つくづくグローバリゼーションは恐ろしいなと思う。一昔前なら、カブトムシとノコギリクワガタで大満足だったのだが、今やヘラクレスオオカブトムシとギラファノコギリクワガタだ。昔なら数種類のクワガタムシの区別が付けば済んだが(実際故郷で採れるのはそれくらいしかなかったから)、今やちょっとした特徴だけで世界中のカブトムシとクワガタムシの区別が付けられる子供が増えた。

お金さえ払えば、世界中の甲虫を我が家の飼育箱で飼うことができる。それがグローバリゼーションのメリットかもしれない。例えは悪いが、僕が以前米国に住んでいた頃、世界中のビールを飲み比べることができることがすごいことだと思った。それに対抗する地ビールもローカルのいい味を出していた。でも、選択肢が多すぎると、一体自分にとって何が最も合ったビールなのかがなかなかわからなくなった。何しろ次から次へと新しいビールを試さなければならないからだ。甲虫についても同じようなことが言える。もし外来の甲虫を1匹でも購入しようものなら、必ず「次」が欲しくなる。そして際限なく欲望が拡がっていくような恐ろしさを感じる。

ところで、今日の「夕刊フジ」を読んでいて、気になる記事が載っていた。外国産甲虫が野生化して、日本の生態系に影響を与える可能性についてだ。記事によれば、外国産甲虫が野外で採集された件数は、平成12年から昨年までで約70件。アトラスオオカブト、オオヒラタクワガタが多いらしい。従来、交雑種は一代しか生きられないと見られていたが、国立環境研究所の実験で、スマトラオオヒラタクワガタとツシマヒラタクワガタの交雑種は実験室レベルではすでに三代まで確認されているそうだ。まさに、ブラックバスが日本の湖沼を席捲しているのと同じ状況が、甲虫の世界にも起こりつつあるということだ。

でも、こういう事象の便乗して不当な儲けを上げようとする悪徳業者も現れる。「遺伝子攪乱」で儲けようとする業者が後を絶たないという。ハサミを大きくするため国産クワガタに外国産をかけ合わせて「国産の大物」と称したり、交雑種を「珍種」として高値で販売するという手法だ。購入する方は子供を通じて見ていて十分な知識・情報がないから、多少形が変でも気付かないのだとか。ペットとしては品種開発で業界全体が発展していくのはありかもしれないが、買う側にもそれなりの「目」が求められてくる。

我が家の近所には奈良オオクワセンターの東京事務所があり、時々子供たちに変わったカブトムシ、クワガタを見に行きたいとせがまれる。行ったら行ったで、あれがほしいこれがほしいとせがまれる。そのたびに僕は子供たちに言うことにしていることがある――――。

日本に昔からいたカブトムシやクワガタムシが、外国からやってきた大型の甲虫にやっつけられて、自然の中で生きていくことがだんだん難しくなってきている。折角家で去年の卵から生まれ育ったカブトムシを飼っているのだから、それを大切に育てなさい。
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