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コンサルタントの「現場力」 [読書日記]

野口吉昭著『コンサルタントの「現場力」』                                                 PHPビジネス新書、2006年9月


内容(「BOOK」データベースより)
プロのコンサルタントは現場で何を考え、どんなスキルを使っているのだろうか?本書は、ゼロベース思考、フレームワーク、オプション思考、そして本質探求力やモチベーション向上力といったコンサルタント系のマインド&スキルを、プロがどう使って、現場で結果を出しているのかを解説する。コンサルタントのみならず、あらゆるビジネスパーソンにとって「目からウロコ」の一冊。


200頁少々の新書なのに、内容も面白かったのに、まさか3日もかかるとは思わなかった。それだけただ今忙しいのです。

仕事の関係で、コンサルタントを傭上することはよくある。現在もお仕事をお願いしているコンサルもいらっしゃる。そして何よりも、僕はコンサルを将来のキャリアの1つのオプションとして考えてもいる。

本書のタイトルには「現場力」とある。著者はこれを「仕掛ける力」と「仕組む力」という言葉で定義づけている。「仕組む力」とは、現場の中における、その現場を強くするための仕組み、そして「仕掛ける力」とは、その仕組みによって強くなった現場を元手にして、いかにマーケットに対して仕掛けるかとか、競合に対して仕掛けるとか、新しい事業で仕掛けるかといった力であるという。僕の会社の社長は、「現場主義」という言葉をよく使う。現場には答えがあり、現場から問題点を引きづり出しながら、全体を見ようという発想である。社長の問題意識をよりよく理解してみたい――そう思ったのも本書を手にした動機の1つである。

そしてもう1つ。以前僕の部署では、あるテーマでは日本で有数の有識者にコンサル業務を委託したことある。お願いした業務jはその方が有名であるのと類似していたので当然そのコンサルが落札した。その結果何が起きたかというと、その方は公示段階で当方が示した調査分析の枠組み、調査項目が理解できないと発注者側にクレームし、このような形での調査はやるべきではないとまで仰せになった。これじゃどちらが発注者でどちらが受注者かわからない。

「それではどのような分析枠組みがいいのかご提案いただけませんか」とうちの担当者が頼んだところ、「自分は始めに枠組みなど作らないので対応困難」と開き直られたことがある。今思い出しても忌々しい最低のコンサルだった。そのコンサルとの折衝で疲れた僕の部下は体調を崩し、やがて会社を辞めたいと申し出てきた。

これが僕の職場でスタッフに欠員が出てしまった経緯である。部下が辞めた後、「ひょっとして私が原因でしょうか」とそのコンサルから電話が来た。「それだけじゃないので気になさらないで下さい」とは返事したものの、心の中では「お察しの通り、○○が体調を崩したのはあんたが原因だ」と指弾してやりたかった。もうこの人とは一緒に仕事したくないと心に誓っている。

今思い出してみても、そのコンサルの仕事振りはどうしても許せない。だから、このコンサルのような仕事振りは本当のプロのコンサルの仕事とは全く異なるという仮説を、本書を読んで実証したかったということがある。

「(前略) 「コンセプト思考」をもっとも体現しているのが、現場力のあるコンサルタントなのである。彼らに共通するのはミッションや思いが明確、ということだ。(中略)このミッションや思い――コンセプトを具現化するための方法論を、彼ら彼女らコンサルタントは持っている」(p.39)

「商品開発や事業開発まで請け負うコンサルティングというのは存在する。だが、事業をするのはその会社の人たちだ。事業をやる人間に仮説がなくては、絶対失敗するに決まっている。本来、商品開発は販売を担当する営業の人間と一緒になって(コンサルティングを:管理人註)やるのが筋というものだ。ならば社内でプロジェクトを立ち上げ、内部で立案するのが一番いい。それから、仮説を検証するために我々(コンサルタント)に調査を依頼するというのがるべき流れだろう」(p.170)――以前コンサルと揉めた際には、僕達の方にもちゃんと仮説があって、それに基づいて公示をかけたのだが…

「読み方は、まず、目次をパーッと見て、まえがきを呼んで、最初の数ページはしっかり読む。あとは、最初に立てたフレームワークと、前書きや目次などからだいたいの仮説を作って読み始める。こうすると、ダメな本でもすぐわかる。最初はなかなかできないが、場数を踏めば必ずできるようになるだろう」(p.189)

ここに書かれていることは、著者の膨大な知見のほんの一部だと思う。イマイチ理解に苦しむところはあったが、僕達がコンサルに期待するところはほぼ網羅されているように思う。ただ、その真髄を理解するには、本書を読むよりも、著者が代表をつとめる(株)HRインスティテュートのHPにアクセスして、案内されているセミナーに出てみることではないかと思う。

さて、本書を読んでみて、僕達に煮え湯を飲ませた件のコンサルは、やっぱりコンサルの理想像とは程遠い方であることがよくわかった。

 


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