『昭和の青春』 [読書日記]
【MT市立図書館】
実用書を借りた時に、「チョイ足し」で借りたもう1冊は、池上彰さんの著書。意外と最近の刊行だが、今調べてみたら刊行日的にはそれより後の著書が2冊はあるようで、この人メチャ多作だなと思う。ネームバリューもあるし、語る内容もボリュームゾーンにうまく打ち込んでくる。年齢的には10歳以上年下の僕らであっても、この手の本は自分たちの少年時代から青春時代を回顧する上でたまには読みたくなる。そして、語り方も上手い。なんというか、記述にムダがない。
出せば確実に売れる。そう厭味ったらしく書いてはみたけれど、読みやすくて良書が多い。
うちの子どもたちを見ていて常々感じるのは、自分のことは語るけれど、他の人のことにはあまり関心がないという点だ。こちらが尋ねれば自分のことについては饒舌に語ってくれる。僕らは仕事を通じてそういうコミュニケーションの取り方を体得して来ているからか、自分のことを話すよりも、相手のことを聞き出す問いの方に注力する。
ところが、同じことが子どもたちの世代の子たちにはあまりできない。そもそも僕たちを相手にして、何かを聞き出そうというところにはあまり関心もなさそうだ。我が家の3人の子どもたちはいずれもその傾向がある。
だから、自分の親がどのように生きてきたのかには、ほとんど関心がない。たぶん、オヤジが鬼籍に入った時に、自分が受動的に見てきたオヤジの姿をもとにオヤジとの思い出は語れるかもしれないが、オヤジが当時何を考えていたのか、どうしてそんな行動を取っていたのかなど、訊かなければわからないような情報はたぶん取れていないだろうと思う。
今さら「オレの話も聴けなどと野暮なことは言うつもりはないが、オヤジやお袋がなぜあんなだったか、わからなければ昭和の時代をサクッと学べる本書を読めとは言いたい。こういう最大公約数的な時代背景や文化風俗・社会経済の成分が、僕らのその後の行動や生き方を規定した部分は相当大きいと思う。
同様に、僕自身の父や母が生きた時代を改めて理解するのにも、本書は有用だった。「チョイ足し」とは書いたけれど、なかなかいいインプットにはなったかな。