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南部の安全上の脅威は「サル」 [ブータン]

オレンジからカルダモンに作付け転換した結果、直面した新たな課題
From orange to cardamom, Chungkha village faces agricultural challenges
Kinley Dem記者、BBS、2023年8月14日(月)
http://www.bbs.bt/news/?p=190449

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【ほとんど抄訳【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】】
チュカ県ボンゴ・ゲオッグ(郡)チュンカ村の村民にとって、オレンジは長年にわたる主な収入源だった。しかし、収穫高が枯渇し始めたため、数年前から村民はカルダモン栽培に移行した。しかし、今日、カルダモンの苗木も枯れ始め、村民は同じような運命に直面している。

最近では、チュンカの村民の多くがカルダモンを放棄し、草取りさえ怠っている。昔はカルダモンを売って大金を稼いでいたという。1年で30万ニュルタムを稼いだ人もいた。しかし、現在では、ほとんどのカルダモン農園は枯渇し、実をつけることができないため、農家の収入も途絶えてしまった。

「カルダモンの枯渇は大きな問題です。私たちの主な収入源のひとつです。カルダモンを売って稼げるのは、少なくても60,000ニュルタムくらいです。中には100,000~200,000ニュルタムを稼ぐ人もいます。私たちは苗木が枯れてしまったことを村落集会で報告し、村議会はゲオッグ職員に伝えました。しかし、どこも同じで何もできないと言われました」(村民の1人、タシ・ドルジさん談)

「私は3年間カルダモンを売っていましたが、その後、植物が乾燥し始めました。私たちはカルダモンで生計を立てていましたが、今では苗木はすべて枯渇しています。特に私たちのような年寄りには、他に収入源がありません」(村民の1人、セイリさん談)

一方、郡庁の農業関係者によると、カルダモンの苗木が乾燥しているのは病気のせいではないという。この植物は5年以上実をつけるが、ブータンでは2〜3年しか実をつけず、その後枯れ始めるというのだ。

関係者によると、人々は定期的に新しい苗木を植え、古くなった苗木と入れ替えるべきだという。

今日、こうした課題を受けて、村民は生計維持のために豆類やトウモロコシなどの作物を中心とした野菜栽培に転換している。さらに、オレンジ栽培への回帰への関心も高まっている。村民によると、政府はすでにオレンジの苗木を一部の世帯に配布しており、近々さらに多くの苗木が配布される予定だという。

チュンカ村はティンプーからプンツォリンに南下する国道から下りてすぐのところにある村で、実は僕も訪問したことがある。BBSのHPで「チュンカ村」の報道を見かけた時、「あ、これブログで取り上げよう」とすぐ考えた。サルによる獣害の話だった。確かに、チュンカ村周辺の国道沿いでは、縁石の上に腰かけているサルの群れを見かけることが多い。

でも、2日後に検索してみたら、出てきたチュンカ村の記事に獣害の話が出てこない。あれ?と思って「チュンカ」でキーワード検索をしてみたところ、見た目がまったく同じような写真と、記事の構成、しかも取材対象がまったく同じという別の記事もヒットした。それがこちらである。

チュンカ村のトウモロコシ栽培農家の直面する獣害
Human-wildlife conflict affecting maize growers in Chungkha, Chhukha
Kinley Dem記者、BBS、2023年8月12日(土)
http://www.bbs.bt/news/?p=190360

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【ほとんど抄訳【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】】
チュカ県ボンゴ・ゲオッグ(郡)にあるチュンカ村の村民がトウモロコシの大規模栽培に副収入源を見出したのは、ほんの数年前のことだった。この2年間で、それは儲かるビジネスとなり、村のほとんどの人がトウモロコシ栽培を始めた。しかし、小遣い稼ぎのためにトウモロコシを栽培するという新たな情熱が芽生えた直後、難題に直面した。住民によると、獣害がトウモロコシ栽培を脅かしているという。

チュンカの村民は商業目的でトウモロコシを栽培している。以前からトウモロコシは栽培していたが、大規模な栽培を始めたのはここ数年のことだという。そして、この作物が良い収入を得ることができることに気付き、そうするようになったのだ。

「私たちが働けるなら、トウモロコシ栽培はいいし、収穫もいい。私は収穫したトウモロコシをボレロでティンプーまで4回運び、約24,000ニュルタムの収入がありました。私はまだ収穫したトウモロコシの半分は貯蔵しています。以前なら、人々はそれを売るという発想はありませんでした。今ではその価値を知って、みんな一生懸命働いています」(村民の1人、ツェテンさん談)

ここの人々は、ほとんどの場合、収穫したトウモロコシをティンプーに出荷する。一部のバイヤーに直接販売し、そのバイヤーがティンプーに輸送することもある。

この作物は良い収入源かもしれないが、農家にとっては、トウモロコシを野生動物(主にサル)から守ることが課題となっている。

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収入向上のためにトウモロコシを栽培していたタシ・ドルジは、今年すべてのトウモロコシをサルに奪われた。

「ここの人々はここ2年でトウモロコシを大量に栽培するようになった。でも、サルの被害が大きいから、トウモロコシ栽培は難しいところもある。トウモロコシを売ればお金になるけれど、ほとんど役に立ちません。何百匹ものサルがいます」(タシ・ドルジさん談)

「トウモロコシを売って4、5万ニュルタムの収入を得ています。今はクマも作物に損害を与えました。イノシシも来ますが、サルが最悪です。彼らは大群でやってきます。せっかく苦労して育てたのに、収穫の半分を動物に奪われるのはがっかりです」(村人の1人、セイリさん談)

郡庁職員はこの問題を認識しているが、電気柵でもサルの畑への侵入を防ぐことができないため、どうすることもできないという。また、チュンカ村の集落は点在しているため、電気柵を設置するのは莫大な費用がかかるため難しいという。

そのため、農民たちは解決策が見つかるまで自分たちで作物を守るしかない状況だ。

もはや、ここまで酷似した記事を2つ別々に紹介するのも面倒だとばかり、まとめてブログで取り上げた。そう、サルの被害は僕たちにとっても「今そこにある危険」だといえる。ティンプーに住んでいる人たちはすぐにイヌ咬傷のことを話題に取り上げるし、イヌ咬傷への注意喚起が関係者向けメッセージとして中核を占める。

でも、南部に住んでいる僕にとっては、イヌは大きな脅威とは言えない。農作物や人命への脅威ということでいえば、野生のゾウも脅威だが、もっと怖いのはサルだ。我がCSTのキャンパス内にもサルの軍団は棲息しているし、実際学生寮の部屋に侵入して学生が食べようとしていた食べ物を食い荒らしたり、教員の研究室に侵入して書類や調度品をグチャグチャにしたなんて出来事が頻発している。

目の前においしそうなトウモロコシの畑が広がっていれば、そりゃあサル軍団は手を出すだろう。

別に有効な対策がすぐに閃くわけではないのだが、こういう問題があるから、FAB23の時に開催されたFab Bhutan ChallengeでCNRのバイオファブラボがホストしたような獣害対策チャレンジで出てきたようなプロトタイプの経験やデータをファブラボ間で共有できるような仕組みが必要なのだ。

「獣害対策=電気柵」のような話はよく聞くし、うちの学生もそういうプロトタイプを作ったりするが、「それで想定している野生動物は何なの?」と訊くと、「野生動物全般」というような漠然とした回答しか返ってこない。サルならサルを想定し、ゾウならゾウを想定して、それぞれの動物に合わせた対抗策をもっと検討すべきだ。しかも、サルに関してはそもそも問題がCSTのキャンパス内でも起こっているのだから、その対策をプロトタイプするのはCST自身がやるべき仕事だろう。

冒頭紹介したカルダモン収穫の低迷を取り上げた記事については、何の考察もできずにすみません。
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