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『進化論はいかに進化したか』 [読書日記]

進化論はいかに進化したか(新潮選書)

進化論はいかに進化したか(新潮選書)

  • 作者: 更科功
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: Kindle版

内容(「BOOK」データベースより)
『種の起源』が出版されたのは160年前、日本では幕末のことである。ダーウィンが進化論の礎を築いたことは間違いないが、今でも通用することと、誤りとがある。それゆえ、進化論の歩みを誤解している人は意外に多い。生物進化に詳しい気鋭の古生物学者が、改めてダーウィンの説を整理し、進化論の発展を明らかにした。
【購入(キンドル)】
「え?Sanchaiって、こんな本も読むの?」———意外感ありません?

そう、何もなければこういう本は多分読まない。実は、本書を知るきっかけとなったのは、YouTubeチャンネル『東京の本屋さん』で、「コテンラジオ」の深井龍之介さんが、「僕の”認知”が変わった本」として挙げておられた3冊の中に、本書が含まれていたからである。従って、ここに掲載する動画の該当箇所を見れば、本書で何が書かれているのか、概略はある程度は理解できてしまう。


この動画の中で、ダーウィンの『種の起源』が発表された時期というのは、万物は神が造ったという価値観が揺らぎはじめ、科学がライジングしてきた端境期だと深井氏はコメントしている。本書の著者も、あとがきにおいて、「ダーウィンは神への進行を持っていた時期と、神への信仰を失った時期の中間で『種の起源』を書いている。そのため『種の起源』は神学書のようでもあり科学書のようでもある、微妙な内容になっている」(p.348)と述べている。

また、著者は、ダーウィンの言ったことにはものすごく重要なことが含まれている一方で、沢山の間違いも含まれているので、それなりの分別を持って『種の起源』を読まないと、何が何だかわからなくなるとして、ダーウィンのどこが正しく、どこが間違いかを、整理した。

『種の起源』は、自然選択などの進化の法則は、神が設定したものだと見なされていて、したがって本来は『種の起源』は神学的な著作だという。しかし、何度かの改訂を重ねていく中で神学書的スタイルは崩すことはなかったものの、信仰色は改訂を重ねるにつれて弱まっていったという。

逆に、科学書として『種の起源』を見た場合、その主張は以下の3点にまとめられるという(p.14)。
①多くの証拠を挙げて、生物が進化することを示した
②進化のメカニズムとして自然選択を提唱した
③進化のプロセスとして分岐進化を提唱した

本日ご紹介の書籍は、二部構成になっていて、第1部は上記①と②、特に、ダーウィンの進化論を中心に、進化のメカニズムについて、誤解されやすいポイントを整理し、解説されている。でも、正直言うと、読んでいて途中から何がなんだかわからなくなってきた。

一方、第2部は上記③の分岐進化のプロセスのうち、生物が実際に歩んできた歴史で、特に誤解されやすい話題について具体例を挙げながら述べておられて、こちらはとても読みやすかった。深井氏もこの第2部のことはほとんど言及されていないし、実際第2部を読んでいてもダーウィンのダの字も、『種の起源』への言及もない。ただひたすらに分岐進化の具体例を幾つか紹介して、そのプロセスの定説の誤りを指摘し、正しくはこう理解すべきだろうというのを提示されている。

特に最後の3章で扱われた「なぜ直立二足歩行が進化したか」は面白かった。
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