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技術・家庭科シリーズ『家庭編③-被服』 [仕事の小ネタ]

被服―衣生活と衣服の作り方 (技術・家庭科シリーズ)

被服―衣生活と衣服の作り方 (技術・家庭科シリーズ)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2022/09/24
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
本書には、被服の起源から、被服材料、服装のマナーなど衣生活文化についてわかりやすく書いてあります。製作では、だれでもできるベスト・シャツ・パンツ・スカートなど、作り方もイラスト入りでわかりやすくしめしました。
【M市立図書館】
ファブラボCSTを訪れる学生や教職員と接してみて驚いたことに1つに、彼らが裁縫や木工を過去にまったくやったことがないということがある。合板をカットするのに糸のこが使えないとか、雑巾を作るのにミシンが使えないといったケースである。

日本で教育を受けた僕らであれば、中学校の技術家庭科の実習で、ラジオ作りや本棚作り、雑巾のミシン縫い等は一度はやっている。たぶん、そういう実技の科目はブータンの中等教育では行われていないのだろう。

お陰で、中学卒業から45年近く経過して、その間これらの機材を使ったことがなかった僕が、学生の前で糸のこやサンダーの操作をアドリブで実演するようなケースもあった。あまりにも長いブランクがあったので、上手く行くのか自信はイマイチだったが、心中の不安が顕在化しない程度にはまともにはできた。

一方、ファブラボCSTにはデジタルミシン、ロックミシン、デジタル刺繍ミシンが装備されているが、タッチパネル入力で簡単な刺繍ができるデジタル刺繍ミシンを除き、前2者についてはまだ触ろうとする者が現れない。たぶんこれを今の学生やその学生に指導している教職員に求めてもムリで、街の縫製屋を巻き込んでいかないといけないだろう。しかし、肝腎の機械操作を僕自身ができないようでは、街の縫製業者に働きかけるのもままならない。

そこで考えたのが、今回の一時帰国中に、実家の母について、ミシンとロックミシンの操作を習うこと、また、元々中学の技術家庭科の実習レベルを到達目標と定めているのだから、技術家庭科の教科書にあるミシン操作の記述を確認しておくことだ。日本到着早々、近所の市立図書館に行き、ポプラ社が1992年に発刊した「技術・家庭科シリーズ」の『家庭編③-被服』を、中身も確認せずに取りあえず借りて目を通すことにした。

結論から言うと、本書にはミシン操作に関する記述はない。型紙を作ってそれをベースに生地を切り出す話も、縫い合わせの話も言及あるが、肝腎のミシンの記述は皆無に近い。ましてやロックミシンへの言及などあろうはずもない。2020年代の技術家庭科でミシンをやってるのかどうかは知らないが、2010年代前半に中学生をやっていたうちの娘は中学でミシンを習ったと言っている。であれば、1992年発刊の本書に載っていないわけがない―――そうした僕の淡い期待は崩壊。これでは、今の技術家庭科の教科書で扱われている可能性は相当低いなと諦め、ミシン、ロックミシンについては、ソーイングの本を別途購入して持って帰ることにせざるを得ない。

一方、母の下での最低限の実習は、実質3日間の短い帰省の間に、なんとか時間をいただいて雑巾縫いだけは終わらせることができた。

母は1970~80年代に縫製の内職をしており、ミシンとロックミシン、作業台も兼ねたアイロン台などを装備した作業部屋を家の中に持っていた。ラジオで中日ドラゴンズのナイトゲームの中継やその後の歌謡番組等を流しながら、夜は22時過ぎまで働いていたという記憶がある。今、それらの機械は場所を移し、昔祖母が暮らしていた居室に置かれているが、母は今でも時々これらの機械を使用しているという。「目が悪くて糸通しができない」とこぼしてはいたが。

そんな母からの助言も得ながら、取りあえず雑巾は縫った。ロックミシンの方は、母曰く、いちばん大変なのは糸通しで、それができればあとのロッキングはそれほど難しくないという。僕自身も糸通しで1時間以上苦戦を強いられ、ようやく通した後の最初の操作でロックがうまくかかっていないことがわかった。おそらく糸通しをどこかで間違えたのだろうが、どこをどうすればいいのか見当がつかず、この作業はブータンへの持ち越しとせざるを得なかった。

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先述の糸のこの件もそうだが、ファブと今向き合うことが、昔取った杵柄の復習の要素もかなり強いというのを改めて痛感した。中学卒業以来、ほとんど何もやっていなかった自分が、ファブラボCSTの利用促進策を考える過程で、木工や縫製をやることになるとは…。中学時代に将来こういう日が来るとわかってたら、その後の取組み方も変わっていたかもしれない。でも、今さらこんなことを言っていてもしょうがない。

なんとか思い出して、中学生の頃にやっていたのと同じレベルには早く到達したいものだ。

ちなみにこのシリーズ、家庭編の「被服」の他に、今回は技術編の「電気」と「木材加工」も借りてパラパラと目を通してはみた。なにしろ「インターネット」という言葉すらなかった90年代初頭の編集だけに、古いところは各所に見られたけれど、デジタルではない工作機械の操作も時には必要となるため、今読んでも面白いところは多かった。

木材加工―作り方と工具の使い方 (技術・家庭科シリーズ)

木材加工―作り方と工具の使い方 (技術・家庭科シリーズ)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2022/09/28
  • メディア: 単行本

残念ながら、本日紹介した『家庭編③-被服』を含め、このポプラ社の「技術・家庭科シリーズ」は読書メーターでの登録ができず、「読んだ本」として記録しておくことが叶わない。9月もまた月間10冊がやっとこさという状況だが、実際は未登録とせざるを得なかった本が4冊はあるというのを、最後に付記しておく。

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