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ロックダウンはまだまだ続く [ブータン]

ロックダウンがビジネスを直撃
Lockdown impacts businesses badly
Nima Wangdi記者、Kuensel、2022年2月5日(土)、
https://kuenselonline.com/lockdown-impacts-businesses-badly/
business.jpg 【要約】
1)2020年のパンデミックで観光業での仕事を失ったあるティンプー在住者(匿名)は、市内でホテル経営をはじめた。しかし、長引く今回のロックダウンで、彼は従業員らに月給を払い続けなければならない。約2年間を無職で過ごした後、ホテル業をはじめたのは6カ月前。王様のキドゥ事務局の負担を軽減したいという思いもあった。キドゥは申請しなかった。彼が開業したホテルは、従業員10人、客室30室だった。デリバリーのサービスもはじめた。しかし、ロックダウンで苦境に立たされた。彼は、やむなく従業員に対して、キドゥを申請するよう求めることにした。3人の子を持つ父親である彼によると、自宅の大家は50%の家賃減額を認めてくれたという。「こういう時こそ、政府が優遇貸付を認めてくれたら嬉しい。ロックダウンが終わってから働いて返済することができる。」

2)別のビジネスマンは重機のレンタル業を行っていたが、ロックダウンで完全に操業停止している。借りている融資は返済を続けなければならない。銀行から返済を催促する電話は休日であってもかかってくるという。ロックダウンの間、収入は得られない。パンデミックの前に銀行融資を受けられた者しか、返済繰延や利息減額の措置を受けられないという。パンデミックの後に融資を受けた者にも適用されたら、大きな支えになる。彼は現在、従業員6人に対して、月給を全額払い続けている。

3)オラカ地区の自動車修理工場のオーナーで、自動車修理工場協会の理事でもあるカルマ・テンジン氏によれば、修理工場オーナーのほとんどが困難に直面しているという。工場が稼働していないのに、従業員の給料と家賃はいつも通り払い続けないといけない。支払わないと、ロックダウンが終わっても、従業員は工場に来なくなると危惧する。ロックダウンは民間企業を苦境に追い込むと強調する。多くの国では陽性者を隔離して他は経済活動継続を認めている。しかし、ブータンでは、市中で1人でも陽性者が出たらいつでもロックダウンになる。

4)オラカ地区の別の工場オーナーは、オラカの修理工場集積地の家賃は高いという。政府は、その権限はないと言って介入もしてくれない。だからオーナーは難局に向けた蓄えを増やすことができないと指摘する。政府は国営テレビの番組で、政府は家屋建設に際して何の支援もしていないのだから、家賃減額はその家屋のオーナーが決めることだとの立場を明言しているが、この工場オーナーは、銀行融資に返済繰延や利息減額が認められるのなら、家賃の減額も必須にすべきだったと主張する。債務繰延や利息減額は大きなビジネスを利するだけ。政府はちゃんと見て欲しいと彼は求める。

5)野菜市場の店子の1人は、3万5000ニュルタム相当の野菜が損害に遭って廃棄を余儀なくされたという。彼女はこの野菜の補償金は受け取っておらず、受給の見通しも暗いという。1人の子を持つこの母親は、これまでの貯金でなんとか食いつないでいる。しかし、ロックダウンがこれ以上続くようだと困難に陥る。Ziukhaの八百屋にこうした野菜を売ろうとしたが、できなかった。僧院に寄付することも考えたが、移動制限がかかっていてそれもできなかった。前回のロックダウンでも、彼女は仕入れた野菜の代金支払いでは困難を強いられた。代金決済には時間がかかった。今回もそうなるのが怖いという。

2月6日(日)午後、首相官邸からアナウンスがあり、現在の行動制限をあと3日継続すると知らされた。翌日(7日)からようやくゾーンを跨いだ移動やタクシー利用が可能になるものと期待していたが、まだまだダメみたい。この3日を合わせると、ティンプーの行動制限は24日間にも及ぶ。在宅勤務で仕事をしていなかったわけではないが、ものすごく長い休暇をどこにも行かずに自室で過ごしている感じ。

予感はあった。5日(土)の時点で、前日のPCR検査で、市中感染者1名が確認されたと聞かされたからだ。今の政府のやり方だと、1人でも感染経理不明の市中感染があると、行動制限を期間延長する。「ロックダウン」という言葉は公式には使っていないが、ゾーン規制があると通勤すらできないし、食料や必要物資の調達以外の目的で人と会うなと言われると、そもそもオフィスに行って人と会ってもいけないのかということにもなる。現状の行動規制は「ロックダウン」と呼び続けてもいいと思う。

それで、僕個人が市中の声を幅広く拾える立場にあるわけではないので、こういう記事は参考になる。レポーターが何を基準にこれらの声を拾ったのかはわからないが、結構な頻度で言われているのは、銀行融資の返済繰延や利息減額、家賃支払い、仕入代金の決済等の懸念だというのがわかる。

僕の住んでいるホテルのオーナーも、ビルのテナントの賃料減額の話はされている。記事では王様のキドゥの話もされているが、ホテル従業員にはコロナ禍がはじまって以降、1ヶ月1万ニュルタム(金額要確認)の給与補填が王様からのキドゥとして行われているそうだ。記事で出てくる「キドゥ」の申請というのは、そういう話である。そうした収入や所得の面での懸案に加え、現在のゾーン規制が、ホテルの従業員の通勤を難しくしている。僕のような長期滞在者がいるのに、従業員が通って来れないから、オーナー自らが厨房に立ち、洗濯もやって下さったりしているのが現状である。隔離施設が足りてないので、お宅のホテルを隔離施設として使えないかと毎日のように政府から打診が来るが、一般客が既に長期滞在している状況だからというので、断っているとも聞いた。

周辺を見ていると、つぶれたホテルも目につく。

あと3日の延長で済んで欲しい。せめて、①ゾーン規制の解除、②出勤、③タクシー移動、④座席規制を条件にしたレストラン再開、ぐらいは認めてもらえるようになって欲しい。

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