『ロングテール』 [仕事の小ネタ]
ロングテール‐「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: クリス・アンダーソン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/05/23
- メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
ニッチ商品の集積が、メガヒットの収益を凌駕する! ITの進歩によって多数の非ヒット商品の管理・宣伝コストが限りなくゼロに近づくとき、ヒット主導型ビジネスに比肩する利益がもたらされる―ロングテール理論の提唱者で、『フリー』『MAKERS』でも知られるデジタル界の先覚者クリス・アンダーソンが、そのアイデア発見の経緯と意味を探求し、ビジネスと文化の未来を示した画期的ベストセラー。
9月頃から、博士論文に再挑戦できないものかと考え始めている。一度は挫折した人間が何を言うかと思われる方もいらっしゃるかもしれない。自分の母校は、自分の修論の指導教官が既に退官されていて以降、僕の研究領域で指導して下さる方がいらっしゃらないというのと、既にアカデミックジャーナルに掲載済みの論文は博論資格審査の実績カウントがされないと聞かされたので、論外。後者については他の大学院でもたいてい同じなので譲歩はするにしても、3年はかかると言われるとやはり躊躇する。既に単著用の原稿も書いたし、ジャーナル投稿するならこれとこれ、というテーマも最低2つはあるし、その上で、博論は2年ぐらいで書き上げられないかと思っているのだ。
それと「ロングテール」がどう関係するのかはヒ・ミ・ツ。でも、論文の中で「ロングテール」という言葉は使いたかったので、この言葉を最初に有名にしたクリス・アンダーソンの2004年の著書は、一度読んでおきたいと考えた。当然その次は『メイカーズ』再読となっていくわけだし、いずれは原書でも気になる箇所の確認ぐらいはしておきたいと思っている。
ここでその一端をつまびらかにするつもりはないものの、自分がこれから取り組もうとしていることのヒントになりそうなこと、今まで見落としていたことに気付かされたことなど、いくつかあったとだけ記しておく。
何カ所かにも付箋は付けたものの、いずれこれは1冊購入して、気になった箇所はマーカーで線を引いて、何度でも引用できるようにしておくつもりでいる。ここでメモしておくと膨大な記述になるので、ここでは本書と僕の論文構想をちょっとつなげるものとして、本書の最終章「テールの未来」から少し長めの引用をしておく。
5000ドルほど払えば、デスクトップ・ファクトリーの3Dプリンタを自宅に置くことができるようになった。まだちょっと値が張るが、これは卓上型の優れた工学技術で、しかも価格は10年前のレーザープリンタのように、どんどん下がっている。なんとも想像力をかきたててくれる前衛的なテクノロジーだ。レゴ・ファクトリーの話を思い出してほしい。オリジナル作品をデザインしてアップロードすると、1、2週間後に制作キットが送られてくる。3Dプリンタがあればその配送ももう待たなくていいのだ。3Dプリンタというのはほぼ何でも1個ずつ製造できる家庭内工場のようなものだ。いつかインクジェット・プリンタと同じくらい普及して、価格もそう変わらなくなるかもしれない。そうなったらどんなことが可能になるか、想像してみてほしい。(中略)つまり、デスクトップ・ファクトリーの3Dプリンタは、自宅でデジタルを物質に変換できるのである。物のロングテールのための究極の製造テクノロジーだ。
3Dプリンタ技術が割れやすいプラスチックにとどまらず、金属や合成繊維などさまざまな素材に応用されていけば、スペアの部品やおもちゃなどを自分で作れるようになるかもしれない。それどころかバーチャルな小売業者からデータをダウンロードして、機械をまるごとつくってしまうなんてこともありえる。すでにデジタルな商品でそんなことができる。(中略)なんでもそうだが、物のロングテールも集積され、デジタルで保管され、光ファイバーで家庭に届けられるようになるだろう。消費される時点ではじめて再び物質に戻るのだ。 (pp.381-383)
言わずもがなだが、こういう技術が普及すれば、いちばん恩恵を受けるのは、ロジスティックス物流で最も不利な立場になる内陸国や島嶼国、一国内で言えば、僻地山村や離島などだろう。言い換えれば、「誰も取り残さない」というSDGsの理念を保証できる技術だということもできるのだ。
それがヒントになるのかなと思いますが、本日はこのへんで!さあ、3D CADソフトの独習再開しよか!
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