SSブログ

ブータンの空に飛ぶかドローン [ブータン]

ドローン、トンネルプロジェクトで活用へ
Drone to be used for Thimphu-Wangdue tunnel project
Kuensel、2016年6月14日、Younten Tshedup記者
http://www.kuenselonline.com/drone-to-be-used-for-thimphu-wangdue-tunnel-project/

この国の地理条件が突き付ける大きな課題の克服に対して、その答えの1つはドローンかもしれない。ドローンは建設や地図作製といった様々な目的に活用可能だ。こうした理解に立ち、地質鉱山局では、ティンプー-ウォンデュ間トンネルの入り口エリアの地図作成のために、明日、ドローンを使用する予定だ。

地質鉱山局は、ノルウェーの地盤工学研究所(NGI)とともに、昨日、ティンプー市内の経済省敷地内において、ドローン技術のデモンストレーションを行った。ドローンは、敷地内の画像を上空から撮影し、そのデータを加工し、数時間以内に敷地内の3D地図が完成した。このデモンストレーションは、2日間の予定で同局で開催された研修プログラムの一環で、研修はインフラ開発に向けた迅速かつ効果的な地形把握のための新技術を紹介するというものである。

2016-6-14 KuenselDrone.jpg

地質鉱山局の地震学者であるダウチュ・ドゥクパ主任によれば、ドローンは幾つかの目的を達成するのに利用可能であり、地図作製に向けた非常に有効な手段だという。「手始めに、私たちはこの技術を、ティンプー-ウォンデュ間トンネルの入り口エリアで使用してみることにしています。このトンネルについては、かなり詳細な活動が既に終わっています。ドローンを使用することで、私たちの努力を補完することができ、これまで私たちが行ってきた活動に付加価値をもたらしてくれることが期待されます。」

NGIの地域担当マネージャーであるラジンダー・クマール・バシン博士によれば、ブータンの地形図は粗く、地質工学的調査を行うためのアクセスが不可能な地域が多いという。「ブータンで計画されるプロジェクトでは、開始当初に想定されていた費用を上回ってしまうことが多くあります。これは主に、プロジェクト開始当初に詳細な地質工学的調査が行われていないことによって生じています。ドローンは、これまでアクセスが不可能だったプロジェクトの対象地域で事業の実現可能性を調べ、ひいてはプロジェクトの費用を引き下げるのにも役立ちます。」

NGIのHelge Smebye上級エンジニアによれば、ドローンは高分解度の画像を作ることができ、そうした画像が加工・分析されて、対象地域の3D地図の作成につながるのだという。アグリソフト社のソフトウェアを搭載した高性能計算機が作成には用いられる。3D地図は、被災後の損害状況調査やインフラ開発、送電線検査、氷河と積雪状況調査等、様々な目的のために利用することができる。

ダウチュ・ドゥクパ主任によれば、この技術は作業の質を向上させるのを手助けするだけでなく、作業の進捗促進にも役立つという。「この国でのドローン使用に関する規制は現在策定中です。この技術が安全かつ合法的に利用されることが重要です。」

地質鉱山局では、ブータン航空局(BCAA)の承認を取りつけた上で、ドローンを使用している。BCAAは昨年3月以来、ドローンの飛行を禁止している。.

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

ヒマラヤ造山帯の真っただ中にあって、ブータンにトンネルを作ろうという話があるのにはちょっと驚いたが、冷静になって考えれば、断崖絶壁を削って作られた狭い道路を肝を冷やしながら走行するのに比べたら、トンネルがあったらどんなに便利かとは思う。断崖絶壁の道路に比べてトンネルが危ないかというと、そうとは限らない。

それはともかくとして、これだけ起伏に富んだ地形なのだから、ここでドローンを飛ばすこと自体は相当なメリットがあるように思う。ご紹介した記事にもあるように、現在ブータン航空局は国内でドローンを飛ばすことを禁止している。記事にはその理由までは書かれていないが、日本で首相官邸でドローンが発見された事件があったように、VIPのセキュリティ上の問題があるからというのが大きな理由だろう。ブータンの空を飛行機やヘリが飛ぶなんてことは、空港周辺に限られるだろう。

この記事に続き、クエンセル紙は16日付けの社説で、ドローン技術のフル活用を提唱している。社説によると、地質鉱山局だけではなく、ウゲン・ワンチュク環境保全研究所でもドローンを保有し、降雪面積や森林劣化、森林火災、野生動物の生息地帯等を地図上でプロットするのに使おうとしていたらしい。保健省でも、各地域の基礎医療施設とレファラル病院との間で必要な器具等を受け渡しするのにドローンの使用を考えたことがあるらしいが、費用的な理由で頓挫しているという。民間企業にも可能性がある。社説では例として映画産業が挙げられている。ドローンの活用に関しては、民間セクターの方がいろいろ思い付く余地があると思う。

社説では、ルールを決めるのが先だとも認めている。しかし、規制当局であるブータン航空局は、早くからドローンの飛行を特別許可性にしようとの方向性は示しているものの、職員数が限られている中で法制化が進んでいないのが現状なのだとか。その間にドローンの費用はどんどん低下し、利用可能性が高まってきているのに、ルール作りがそれに追いついていないのが現状だ。

社説では一刻も早いルール作りを求めている。飛行禁止区域の設定や、飛行高度や飛行速度の制限、市民のプライバシーの保証、ドローン登録制度、飛行区域事前申請制度などが論点となってくるだろう。

ドローンの活用がより身近なものになるようなら、開発事業の計画立案に不可欠な地形図データも、これまで以上に集めやすくなるだろう。
nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0