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『戦略参謀』 [仕事の小ネタ]

戦略参謀―――経営プロフェッショナルの教科書

戦略参謀―――経営プロフェッショナルの教科書

  • 作者: 稲田 将人
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
大手紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、ある日、経営幹部の目の前で会社の給与制度を批判したことから、新設の経営企画室に飛ばされてしまう。しかし、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の支援を得ながら、改革の推進役として一歩ずつ成長する。社内の地雷を踏みまくりながら、愚直に改革に取り組む主人公の姿を通して、トップの参謀役である経営企画の仕事とは何か、そして、企業改革のあり方はどうあるべきかを描く。
テレビで『半沢直樹』が話題になっていた当時、「半沢直樹を地で行っている経営実務書」というような触れ込みで某書評ブログに紹介されていたのが、本日ご紹介する稲田将人著『戦略参謀』である。僕がこの本のことを知るきっかけになったの書評ブログを読んだ後、市立図書館で予約を試みたが、その時点で30人以上の順番待ちがあり、順番を待っていたら半年以上が経過してしまっていた。

しかも、僕の後に既に予約も入っていて、2週間の貸出期間延長もままならない。仕方なく忙しい仕事の合間をぬって最初の貸出期間2週間の間になんとか読み切り、読了後すぐに返却してしまった。ただ、この本は小説とはいえ時々振り返って引用してみたい示唆が幾つかあり、結局電子書籍版を購入し、時々読み直そうと考えている。僕は今日から1週間の海外出張に行く予定だが、こういう時にはKindleに格納してある本を読むのにちょうどよい。飛ばし読みにはなるだろうが、何ヵ所かマーカーで線を引いておきたい。

何が琴線に触れたのかというよ、そもそも僕自身が今やっている仕事が組織の中でどう位置付けられるのかを考えてみるのにちょうど良かったということだ。僕は昨年11月の異動で、会社の企画部門に初めて配属された。退社時刻が平均すると21時から22時、ひどい時は24時まで残業する日々が5日間続き、それでも作業が終わらず土曜日も出勤してきて作業を続け、それを上司の自宅にメールで送り、月曜朝までにフィードバックを受け取る、そんな週が、2~3週に1回はある。50を過ぎてからこの生活はきつく、平日はなんとかなっても、週末になると疲れが出て、頭痛で半日以上家庭生活がままならないというケースもある。


やってられるかと思うことも多いが、周囲もそんな働き方をしている人が多いし、ちゃぶ台返しをやっても、すぐに役員から手痛いしっぺ返しがあると考えると、そんな思い切ったことなどできるわけがない。

企画部門で5ヵ月やってきて、「経営企画」というのが少しだけわかってきていた今の時期、特に年度も替わる今の時期に本書を読んだのはとてもいいタイミングだったと思う。新年度の自分の働き方、身の処し方を考える上で、非常に大きい示唆をもらったと思う。本書の前半にある幾つかの記述を引用する。

企画というのは、目的を明確にし、現状を把握したうえで、そこから、目的達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組み立てるという一連の動作のこと

世の中で組織論と言われるのは、分業のための方法論だ。よって、会社の発展に伴い、規模や業態によって、適用すべき方法論は変化してしてくる。当初、創業社長は、全てなんでも自分でこなしながら、事業を行っている仲間や部下との分業を進めながら、組織をつくっていく。(中略)そして最後に、人に任せられなくて、最後まで「成功した創業者」が自分自身で考えて行ってきた業務が残る。それが経営企画であり、言い方を換えると、参謀機能ということになる。

経営の意思としてやらなければいけないが、それを任せられる部門がない課題や仕事を請け負う、あるいは推進するのが、参謀機能と位置づけられる。

君がこれからやる仕事は、『こんな感じがいいと思います』という程度の表現で進められるものではない。言葉にして、時には分析もし、何がポイントなのかを抽出して人に上手に伝え、全社視点での動きを作っていかねばいけない仕事なのだ。

そうなのか。すると、僕が今やっている仕事というのは、社長に代わってやらなければならないもので、しかも社長の頭作りを助けて経営判断を仰ぐようなものなのだ。縦割りになっていてどこも引き受けない仕事があれば、それを自ら請け負うのも自分の仕事なのだ―――そう思うと、きつい仕事も前向きに思えるようになった。

今これをやって社長や役員にそれなりのインプットができれば、トップを動かして組織全体を動かしていける面白さもある。会社全体を俯瞰できる部署なので、それまで3年以上穴倉のような部門でタコツボ化していたのと比べると、忙しいけれども一気に仕事のキャッチアップができた気もする。本書では「人、性善なれど性怠惰なり」という意味深の言葉が出てくるが、前の部署で半個室のようなところで仕事をしていたので、今だから言うがモチベーションとテンションを持続するのがしんどかった。それに比べれば、今の部署は大部屋の島の中でチームで働いていて、前の部署と比べたら2倍速3倍速で生きているような気がする。どちらの方が面白いかというと、今の部署の方が働いているという実感はある。

4月になって、新人も配属されてきた。入社していきなりの企画部門というのはきついのではないかと想像するが、本人は企画部門が希望だったのだという。(そんなものなのかなという気もするが…。)ただ、元々はうちの会社はやっている事業が面白くて、事業をやりたくて入社してきた人が多い。そんな人が企画部門に配置転換させられると、ちょっと身構えてしまうし、ちょっとモチベーションの下がるところもあったりするかもしれない。そういう人に、「企画とはこんな面白いところなのだ」というのを知ってもらうには、この本は最適かも。僕達が担っているのは、まさに参謀機能、もっと古臭い言い方をすると、「軍師」なのかもしれない。

こういう部署であと2年頑張って、次の異動は希望通りにいくことを楽しみにしている。それを心の支えにもして、今年度も頑張っていきたい。

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