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『荻窪 シェアハウス小助川』 [読書日記]

荻窪 シェアハウス小助川

荻窪 シェアハウス小助川

  • 作者: 小路 幸也
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/02/22
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
やりたいこと、夢、特になし。自慢は家事の腕前だけ。そんな佳人が背中を押されて始めたのは、見ず知らずの男女6人+管理人のタカ先生での共同生活。“シェアハウス小助川”という名前の医院を改築した大きな“家”で―。優しすぎて生きづらい、不器用な若者たちの成長を温かい視線で描ききった長編エンタメ。
中央線沿線を舞台にした小説。但し、主人公の佳人は家事が得意とあって、佳人の目線で描かれているシェアハウスの生活は、意外と電車というものが登場しない。他の住人は行動範囲がもっと広い筈だが、舞台は荻窪周辺の狭いエリアに集まっている。

僕はこれまでにもアパートの住人を主人公にした作品を幾つか読んできた。住人ひとりひとりが主人公の連作短編で、話が進むにつれて住人同士が繋がっていくのは割と好きな展開だ。本作品もシェアハウスを舞台にした複数の住人の群像劇かなと思って期待して読んだ。住人を選べないアパートが舞台の場合、変な住人、個性的な住人、かわいくない住人、モテそうにない住人が多く登場するが、本作品の方は、住人に女性が多いこともあるかもしれないが、予め入居者を選別しているからか、大人しい住人が多い。住人同士のぶつかり合いとかは殆ど出て来ないし、話の盛り上がりも、ボヤ騒ぎのような外的ショックを用いて外から均衡状態を壊すという手法が取られている。良い意味でも悪い意味でも小路幸也の特徴が出ている。

こういうシェアハウスはこれからもっと増えてくるのだろうなと思う。新しい家族のあり方を提案しているようにも思える。先に述べたように予め住人の選別がないとこういう安らかな生活が成り立たないのだとしたら少し難しさもあるが、見ていて楽しい。欲を言えば、もう少し住人のバラエティを広くして欲しかった。作品に出てくる6人の住人は、下は18歳から上は40歳。繋がりを欲しているのは若い人の方が多いというのは確かだろうが、一人住まいの住居探しに苦労するのはシニアの女性の方が多いのだから、そういう人選もあってもよかった気がする。まあないものねだりだろうが。

タグ:小路幸也
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