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陸上ニッポン、インドに負ける [インド・トリビア]

22日(月)の朝刊を読んでいたら、現在開催中の広州アジア大会陸上女子1万メートルで、日本のこの種目の第一人者の福士加代子選手が4位に終わったとの記事が載っていた。福士選手もアジアでは無類の強さを発揮し続けてきたが、30代になってそろそろ競技生活も終盤かなと思っていたので、4位という成績自体には寂しさも感じつつも世代交代を実感したのだが、よくよく記事を読んでいくと、この種目で金、銀メダルを獲得したのがなんとインドの選手だと知り、仰天してしまった。

ついでに言うと、女子3千メートル障害でもインドの選手が優勝している。この種目の日本の第一人者がこれまた30代半ばの早狩実紀選手。僕がまだ市民ランナーとして国内各地で市民マラソン大会に出場していた1990年代半ばに新進気鋭の美人アスリートとして市民ランナー向け月刊誌によく登場していた方で、もう市民マラソンから10年以上遠ざかっている僕には、まさか福士選手だけではなく早狩選手も未だ現役で競技生活を送っていたというのもかなりの驚きではあった。

さて、話が逸れてしまったが、まさか世界最強と信じていた日本女子陸上長距離がアジアで敗れた相手がインドだったというのは、驚きというよりもショックの方が大きい。なんだか急に強くなってないか?どこでどんな練習してるんだろうか。

2年ほど前に、某携帯電話サービス会社がCMで、女子の陸上選手がロードワークで農村を走っている時にコーチから電話連絡が入り、代表選手に選ばれたことを知らされて大喜びするというのがあった。農村で女子選手が1人でロードワークを行なっているという状況自体が結構アブなくないかと怪訝にも思えたテレビCMだったが、ひょっとしたらこうなる予想がCM制作会社にはあったのではないか。

さて、福士選手や早狩選手を破ったインド人選手がどれくらい凄いのかを、10月にデリーで開催された英連邦スポーツ競技会(コモンウェルスゲーム)の成績との比較で考えてみた。

【1万メートル】
今回31分51秒44で銀メダルを獲得したカヴィータ・ラウト選手(25)は、コモンウェルスゲームの同種目では33分05秒28で銅メダルを獲得している。1位、2位にはケニアの選手が入っている。アジア大会では31分50秒47で金メダルのプリージャ・スリーダラン選手(28)は、コモンウェルスゲームでは33分43秒91で7位。4位から6位まではそれぞれ英国、スコットランド、オーストラリアの選手が入賞していた。

アジア大会ではラウト選手とスリーダラン選手の順位が逆転したが、コモンウェルスゲームの結果からは、インドは既にケニアに次ぐ成績を残せるポテンシャルを秘めていたということが感じられる。2人ともアジア大会では10月の国際大会での記録を1分以上縮めている。レース展開に左右されるこの種目ではタイムを単純比較することは難しいが、もし彼女達がコモンウェルスゲームで31分台のタイムで走っていたら、ケニア選手よりも上位で金、銀を独占していた可能性すらある。

【3千メートル障害】
今回9分55秒67で優勝したスダ・シン選手(24)のコモンウェルスゲームの成績は9分57秒63の5位。この種目の上位はケニアの選手で、金、銀、銅メダルを独占した。4位は英国の選手だった。因みにシン選手のコモンウェルスゲームで出したタイムは当時の自己ベストで、彼女はアジア大会でその自己ベストを再び更新した走りを見せている。

考えてみれば、10月上旬のデリーと11月下旬の広州では気象条件があまりにも異なり、広州の方がタイムは出しやすかったのではないかという気はする。

因みにこれから開催される種目でインド人選手の活躍は続くのかという点については、期待は薄いだろうと思う。コモンウェルスゲームの結果で見ると、女子5千メートルでも1500メートルでもインド人選手は上位入賞していないし、マラソンに至ってはインド人最上位のプリーティ・ラクシュミ・ラオ選手ですら3時間8分台の記録で、優勝したケニアのコスゲイ選手から30分以上遅れている。

これを男子種目にも広げて調べてみたが、男子の場合はトラック種目では全く振るわず、アジア大会の陸上長距離の男子種目でインド人選手が活躍する可能性は低いと予想される。もっとも可能性があるのはマラソンで、コモンウェルスゲームではラム・シン・ヤダブ選手が8位入賞している。彼はデリーマラソンでも上位に顔を出せるインドでは有数のマラソンランナーであるが、彼のコモンウェルスゲームでの記録は2時間21分24で、優勝したケニア選手のタイムが2時間14秒台後半だったことを考えると、ヤダブ選手は広州で2時間16分台ぐらいで走れる可能性も秘めている。まあマラソンの場合、10月に一度走って11月にもう一度走るなどというレース間隔はあり得ないので、ヤダブ選手がアジア大会に出てくるのかどうかはわからないが、女子に比べて男子の成績が振るわない日本のマラソン陣は気を付けていないと足元をすくわれる可能性はある。




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