SSブログ

カラム前大統領のチェーンメール [インド・トリビア]

ビシャカパトナム在住の「黄門さま」からメールをいただいた。ブログの「インド・トリビア」ネタにどうぞということでご転送下さったのが、前インド大統領アブドゥル・カラム博士が全てのインド人に宛てたというメッセージである。インド在住の方の中には、「知り合いに転送して下さい」と末尾に書かれたこのチェーンメールを既に受け取られた方もいらっしゃるかもしれない。

読んでいて結構興味深かったので、メール転送ではなく、和訳して全ての読者にご紹介させていただこうと思う。

アブドゥル・カラム博士が全てのインド人に送る手紙
なぜこの国のメディアはこんなに否定的(ネガティブ)なのだろうか?
なぜインドに暮らす私たちはこんなに困惑して自分たちの強みや成し遂げたものを認めることができないのか?
私たちはこんなに偉大な国民だ。私たちは信じられないほど多くのサクセスストーリーを経験している。
なのに、私たちはそれらを認めることを拒否している。なぜなのだろうか?
私たちは世界で初めてミルク生産を始めた。
私たちはリモートセンシング(遠隔探査)衛星の打ち上げで世界一である。
私たちは世界で2番目に大きな小麦生産を行なっている。
私たちは世界で2番目に大きな米生産を行なっている。
スダルシャン博士を見よ。彼は先住民の村を自給自足で住民自らが村の開発を主導できるように変えた。
そんな実績は何百万とあるのに、私たちのメディアは悪いニュースや失敗談や災害ばかりに気を取られる。

私はある時テルアビブを訪れ、イスラエルの新聞を読んでいた。その日は、多くの攻撃や爆撃が行なわれ、多くの死傷者が発生した翌日だった。ハマスは追いつめられていた。しかしその新聞の1面はあるユダヤ人男性が5年間かけて彼の所有する砂漠のような土地を果樹園と穀物畑に改良したという写真が掲載されていた。この多くの刺激を与えてくれるこの写真を、朝起きた全ての人は見るのだ。殺戮や爆撃、死亡事故等の血なまぐさい詳細は紙面の中ほどに置かれ、他のニュースの中に埋没している。
インドでは、私たちは死や病気、テロリズム、犯罪といった記事ばかりを読む。なぜ私たちはそんなにネガティブなのだろうか?
別の質問の仕方もあるだろう――「なぜ私たちインド人は、国民全体が外国の事物に目を奪われてしまっているのだろうか?」私たちは外国製テレビを欲しがり、外国製のシャツを欲しがり、そして外国の技術を欲しがる。

この輸入されたもの全てに目を奪われてしまうのはなぜなのだろうか?自尊心とは自助努力から生まれるということに私たちは気付いていないのだろうか?私はある日ハイデラバードで講義を行なっていた。その時、14歳の女の子が私にサインを求めてきた。私はこの子に訊いた、「あなたの人生の目標は?」と。彼女はこう答えた――「私は発展したインドで暮らしたいです。」彼女にとっては、あなたと私こそがこの「発展したインド」を築いていかなければならないように思われる。そしたらあなたはこう宣言しなければならない。「インドは発展が遅れた国ではありませんよ。インドは高度に発展した国なのです。」

あなたは言う、私たちの政府は非効率だと。
あなたは言う、私たちの法律はあまりに古いと。
あなたは言う。市当局はゴミを拾ってくれないと。
あなたは言う。電話が繋がらない、鉄道はジョーク並みにお粗末だ、エアラインは世界最悪だ、手紙は目的地まで届けられないと。
あなたは言う。私たちの国はイヌの餌にされている、トイレみたいなものだと。
あなたは言う。言う。言ってばかりいる。でも、あなたはそのことについて何をするのか?

シンガポールに行く途中の人を取り上げてみよう。彼に「あなたのもの(YOURS)」という名前を付け、そして「あなたのもの(YOURS)」と書かれた顔をあげて周囲を見てみよう。あなたは空港から歩み出ると、世界的にもベストと思われる都市にいることに気づかされる。シンガポールでは、路上でタバコの吸い殻を捨てたりしないし、地べたに座ったりお店で食べたりはしない。あなたはその地下鉄網を誇りに思うだろう。オーキッド・ロードを午後5時から午後8時の間に車を運転して抜けるには5ドル(約60ルピー)あればいい。あなたがレストランやショッピング・モールで長居しすぎたときは、あなたの身分を証明できるものがあるかどうかに関わらず、駐車場に戻ってくると自分の駐車カードにパンチを入れてもらう。シンガポールでは、あなたは何も言わないだろう。

ドバイにいればあなたはラマダンの時期に公衆の面前で食べたりはしないだろう。
ジェッダにいればあなたは頭を覆うものなしに外出などしないだろう。
ロンドンにいれば、あなたは電話交換所の従業員を1カ月10ポンド(650ルピー)で買収して自分の長距離通話や国際通話の請求を誰かにつけるよう仕組んだりはしないだろう。
ワシントンにいれば、あなたは時速55マイル(88キロ)以上のスピードを出し、交通警察に「私を誰だと思っているんだ。私は誰誰の息子だ。自分の2ドルだけ持ってとっとと消え失せろ」などと凄んだりはしないだろう。
オーストラリアやニュージーランドの海岸で、ゴミバケツ以外の場所に中味が空のココナッツをポイ捨てしたりはしないだろう。
東京の路上でパーン(口直しの噛みタバコみたいなもの)を吐いてみたらどうか?
ボストンでカンニングビジネス業者を使ったり、偽の証明書を使ったりしてみたらどうか?
私たちはまだ同じ「あなた」のことを話している。外国にいればその国の制度に敬意を払ってそれに合わせることができる「あなた」は、自分の国にいて同じことができない。インドの大地に足を踏み入れた途端に、路上で紙やタバコを平気でポイ捨てするのが「あなた」だ。もしあなたが異国で尊敬される市民となり得るのであれば、同じことがインド国内でなぜできないのだろうか?

アメリカでは、犬の飼い主は自分のペットが路上で排せつした場合は必ず拾って道路を清潔にする。日本も同じだ。インドの市民はインド国内で同じことをしているだろうか?

私たちは政府を選ぶのに投票所に足を運ぶ。でも選挙の後は全ての責任を放棄してしまう。
私たちは椅子にもたれかかり、新しい政府に大事に扱われることを望み、政府が私たちのための全てのことをやってくれると期待する。私たちの貢献など全くネガティブであるにも関わらずだ。私たちは政府が掃除をやってくれることを期待するが、あらゆるところでゴミをポイ捨てするのを止めようとはしないし、落ちている紙きれを拾ってゴミ箱に入れたりもしない。私たちは鉄道会社にきれいなトイレを期待するが、正しいトイレの使い方について学ぼうともしていない。
私たちはインディアン・エアラインとエア・インディアに最高の食事と洗面用具の提供を期待しているが、少ない機会を狙ってそれらをくすねるのをやめようともしていない。
このことは国民にサービスをまともに提供しないことで知られている公社側スタッフについてもいえる。

女性やダウリー、女児等に関連した重大な社会問題になると、教室では大声で抗議を行なうのに、家に帰ると逆のことをやっている。その時の私たちの言い訳は?――「変わらなければいけないのは全システムだ。私1人が自分の息子のダウリーの権利を放棄したぐらいで何が変わるのか?」
だったら、誰がシステムを変えるのだろうか?
システムというのは何からできているのだろうか?私たちにとって大変都合がいいことに、システムは私たちの隣人、他の家庭、他の都市、他のコミュニティ、そして政府からできている。しかし、そこには私と「あなた」が含まれていないのは明らかだ。私たちが実際にそのシステムに対して何らか協力的な貢献をするという話になると、私たちは自分の家族とともに安全な繭の中に閉じこもり、遠くの国から傍観し、ミスター・クリーンがやってきて魔法のひとふりで自分たちのために奇跡を起こしてくれるのを待つか、あるいは国を捨てて逃げるだろう。
恐怖に取りつかれた臆病な怠け者のように、私たちはアメリカに逃亡し、アメリカの繁栄の恩恵に浴し、彼らのシステムをもてはやす。ニューヨークが危なくなれば、イングランドに逃亡する。イングランドが高い失業に直面したら、次は中東湾岸諸国行きのフライトに乗る。湾岸諸国が戦争に巻き込まれれば、インド政府に救助を求め、安全に帰国できるよう要求する。誰もがこの国につけ込み、この国を略奪しようと待ち構える。この国のシステムを育てようなどと考える者は誰もいない。私たちの良心は金のために担保にされている。

親愛なるインド人へ。この記事はいろいろな考えを誘発し、内省を強く求め、読者の良心も刺激する。私はJ.F.ケネディがアメリカ人に宛てた言葉をインド人と関連させてここで述べたいと思う。

インドのために自分に何ができるかを問え。インドをアメリカや他の西洋諸国が今ある姿にまで育てるためになされなければならないことをせよ。

インドが私たちに求めていることをやろう。

ジョークやジャンクメールを送る代わりに、このメールを全てのインド人に転送して下さい。変化を起こすために。

感謝。
アブドゥル・カラム

これを全てのインド人に転送されるよう重ねてお願いします。

長文でしたが、いかがでしたでしょうか?インドを知っている人は、「その通り!」と思わず膝を叩くでしょう。

本当にカラム博士が送信されたのかどうかはわからないけれど、話題にはなりそう。「トリビア」というには長文ではあるけれど、最近インドネタが少ない「サンチャイ・ブログ」の久々のインド大作ということで、お楽しみいただけたのではないかと思う。

情報ご提供下さったビシャカパトナムの黄門さま、ありがとうございました!
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0