環境森林省 vs.ヴェダンタ社－もう1つの戦線

環境省、ヴェダンタ大学に建設停止命令
Environment ministry halts vedanta university
5月12日、Hindustan Times
【ニューデリー発】　環境省は、オリッサ州で開講準備が進んでいる予算総額1,500億ルピーにも及ぶヴェダンタ大学の建設工事に対し、停止命令を出した。開発事業者であるアニル・アガルワル財団が不正を行なっているとの苦情を受けたもの。同省は1ヶ月前に同大学に対して条件付きの環境クリアランスを出していた。同財団に課せられた50項目の履行条件には、公聴会の強制開催や事業に対する反対コメントの受付等が含まれていた。
　4月16日に出されたクリアランスでは、同省は財団に対し、地下水の汲み上げ禁止や地元漁民の入域制限措置の禁止、沿岸規制区域（Coastal Regulation Zone（CRS））での建設禁止等が含まれている。
　11日（火）、ジェイラム・ラメッシュ氏が大臣を務める同省は、この問題について最終決定を行なうまで、先のクリアランスを保留にする決定を下した。「本省は、アニル・アガルワル財団による不正や不法行為、倫理にもとづかない行為が行なわれていると情報を得た。オリッサ沿岸区域管理庁の会議でも、クリアランスを行なった際に適切な検討が行なわれなかった項目が多いという重大な反対意見が多く出された」――火曜日付の通達にはこう書かれている。
　複数の専門領域から成るヴェダンタ大学はオリッサ州のプリー・コナーク間道路沿いに6,892エーカーの用地を取得して開校予定である。このうち4,000エーカーはオリッサ州政府から同財団に移転される予定。
＊記事全文は下記URLからダウンロード可能です。
http://in.news.yahoo.com/32/20100512/1053/tnl-environment-ministry-halts-vedanta-u_1.html

今週1週間ハイデラバード剣道遠征の話題ばかりを取り上げてきたため、ネタとしてはちょっと古くなってしまったが、このところナルマダ流域開発事業問題では企業側にやられっ放しという印象だった環境森林省も、オリッサ州ではちょっと頑張っているかなという話題。

事の発端は、オリッサ州議会議員P.K.パトラ氏が3月17日に起こした調査請求で、22ヵ村にまたがる2,400ヘクタールの用地をオリッサ州政府が取得する際にアニル・アガルワル財団に便宜を図るために用地取得が性急に行なわれたのではないかというものだ。インド会社法では民間企業が公益企業に転換するプロセスは用地取得が始まる前に終えていなければならないとなっているが、アニル・アガルワル財団が会社法の条項を充足する前に州政府は用地取得を開始したのが問題だと言う。

もう1つの問題は、州政府は大学設置に必要な用地のうち3/4を既に取得済みだが、その中にはプリーのジャガナット寺院が「1954年ジャガナット寺院」に基づき所有していた土地246ヘクタールも含まれ、法外に安い880万ルピーという金額で取得が行なわれていたというもの。寺院側が提示した価格が高すぎるとの批判を浴びて妥協した結果らしい。

これらの問題点は、隔週刊誌Down To Earthの5月16-31日号の記事「州議、ヴェダンタの土地取引調査を要求（Probe Vedanta land deal, says Lok Pal）」（Ashutosh Mishra通信員）を参考にさせてもらった。
（http://www.downtoearth.org.in/default20100531.htm）

コメント 2

僕の知らない世界で頑張っていらっしゃる事を想像します。
安部総理はインドとの連携を模索し、心啼かばでの退任と聞きましたが、実際どうだったのかsancnaiさんにお会いして実際にお聞きしてみたいです。^^
by hiro (2010-05-22 15:36) 

☆hiroさん☆
nice＆コメントありがとうございます。以前もコメントいただいていましたよね。返事してなくてゴメンナサイ。

安倍総理がインドにお越しになったのはもう3年近く前のことになります。安倍総理がお考えになっていたインドとの連携は残念ながらよくわかりません。あれ以来インドに来られてませんし…。

総理を務められたような影響力のある方がビル・ゲイツのように貧困の現場を直にご覧になるようなことをなされば、大きなインパクトを日印間にもたらすことができるのではないかと思います。
by Sanchai (2010-05-22 23:02)