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チリカ湖の野鳥保護活動 [インド]

Chilika.jpgA bird in the hand is worth two in the bush.
「手中にある1羽の鳥は、やぶの中の2羽の鳥に値する」

これは英語の諺らしいが、それを逆手に取って、「やぶの中の2羽の鳥の方がいい(Two in bush is better)」と題した記事がインドの隔週刊誌『Down To Earth』3月16-31日号に掲載されていた(Tiasa Adhya通信員)。オリッサ州沿岸部にある汽水湖チリカ湖に生息する野鳥を捕獲して商売していた密猟者が、密漁を辞めて野鳥保護で生計を立てるようになったというお話である。

記事で紹介されているチリカ湖畔の漁村モンガラジョディ村に住むキショール・ベヘラさん(43歳)は、昔は「チリカの悪党(Veerappan of Chilika)」と呼ばれ、野鳥猟師グループの代表的存在であった。彼は殆ど毎晩、村の猟師と猟に出かけ、何百という鳥を殺してブバネシュワルやプリーといった都市で売って生計を立てていた。1羽当たり60ルピー、腕の良い猟師なら1年で40,000ルピーも稼いでいたという。

チリカ湖周辺には130以上の村があるが、猟は漁村の生計になっているわけでは必ずしもない。ベヘラさんによると、数十年前にチリカ湖の土砂堆積が進んで漁獲高が減り始めてから野鳥猟が行なわれるようになっていったのだという。漁猟を行なっていた漁師が5,000人もの規模で野鳥猟に転向しているという。

しかし、現地NGOであるワイルド・オリッサ(Wild Orissa)がチリカ湖のエコツーリズム振興を開始し、観光業が収入源になっていくにつれ、こうした猟師達は密猟を止めるようになってきているという。この環境保護グループの調査により、この20年間でモンガラジョディ村に生息する野鳥の数は98%も減ったことがわかった。

ワイルド・オリッサは1997年に初めて村を訪問して村民との対話を開始した。密漁者達は湖と野鳥生息地についてよく知っている。そここで、ワイルド・オリッサはこの密漁者達を環境保護者兼現地ガイドとして訓練を行なった。この職なら1年を通じて安定的な収入が見込まれ、野鳥を保護することもできる。

密漁者も乗り気だった。2000年に彼らはSri Mahavir Pakshi Surakshya Samityという同業者委員会を作った。同村出身の密漁者35人で協働し、委員会はモンガラジョディ村の沿岸地帯を見回っている。ワイルド・オリッサの2004年の調査によれば、モンガラジョディ村の野鳥生息数は2000年の5,000羽から30万羽に急増したという。彼らの活動は認知されるようになり、複数の政府機関がチリカ湖保全事業の実施で同委員会の協力を求めるようになってきた。2007年には、オリッサ州のナヴィーン・パトナイク首相から、ビジュ・パトナイク野生動物保全賞を贈呈された。

ワイルド・オリッサは現在、モンガラジョディ村でエコツーリズム・プロジェクトを準備中である。各世帯に月2,000ルピーを供与する代わりに密猟を行なわないよう約束させるとともに、密猟からガイドに転向した村民に対して訓練を行なうというものだ。訓練の中には、野鳥の英語名を覚えるというのもある。プロジェクトは10月立ち上げ予定で、殆どの村民に雇用機会を提供できるものと見込まれている。

*記事全文は下記URLからダウンロードできます。
 http://www.downtoearth.org.in/default20100331.htm

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チリカ湖の生物多様性保全にはJICAも2009年9月まで3年間協力を実施していたが、このワイルド・オリッサのエコツーリズム振興事業と何らか接点があったのだろうか。ちょっと気になるところ…。

1つおやっと思ったのは、『Down To Earth』は既に「オリッサ(Orissa)」を「オディーシャ(Odisha)」とちゃんと表記していることである。
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