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加速するか女性の政界進出 [インド・トリビア]

女性の政界進出が特に遅れている日本と比べると、インドもすごいと思うのがこういった話題である。国会や州議会の議員数の3分の1を女性に留保するという第108次憲法改正案「女性留保法案(Women's Reservation BIll)」が9日に上院を通過したという。総議席数233の上院議員投票は、法案への反対行動を巡って登院停止措置が取られた7議員と自主退場した39議員(大衆社会党(BSP)、社会主義党(SP)、民族人民党(RJD)等)を除き、賛成票186、反対票1という圧倒的な大差で法案可決された。

つまり、最大野党のインド人民党(BJP)は賛成にまわり、左翼政党も賛成にまわったということである。インドの憲法改正はその頻度からもわかる通り非常に頻繁に行われているが、これには上下両院で3分の2以上の賛成票が必要とされる。下院の場合は国民会議派にBJPと左翼政党が加われば3分の2はクリアできそうだが、上院の方は僅差でこれが難しいのではと言われてきた。それが上院を通過したわけだ。これで今後は下院での審議、承認があり、その後各州の州議会に送られ、半数以上の承認を得て法律となる。視界が開けてきた感じはする。

興味深いのは、女性への3分の1の枠留保を掲げた法案に反対したのが低カーストや少数エスニックグループを支持基盤としたBSPやヤダブ・カーストが領袖を占めるSP、RJD等であるという点だ。彼らは低カーストやムスリムへの留保枠の強化、女性留保枠の中にOBC(その他後進階級)出身女性のための枠をさらに設けることなどを求めている。BSPもSPもRJDも、統一進歩同盟(UPA)政権とは閣外協力の関係にはあったが、今回の投票劇はその関係を悪化させるきっかけになった。2010年度の予算審議にも影響があるかもしれない。

この報道は今週に入ってから急に盛り上がったかの印象を受けるが、実際のところは本法案は2008年に一度上院に提出され、法務・司法委員会に付託されていた。委員会は昨年12月、法案を修正せず現行のままでの可決を提言する報告書を提出し、今年2月の閣議で了承を得ていた。3月8日は「国際女性の日」、しかも、今年はこの「国際女性の日」が初めて提唱されてから100年目の節目の年でもあるため、8日採決に向けて、かなり強引は議院運営が行なわれてきたようだ。(しかも8日の採決を妨害した反対政党議院を強制退場させた上で翌9日の採決を行っている。)

ママタ・バナジー鉄道相が党首を務める与党のトリナムール会議派も議場を退席し、こちらはUPA最大与党の国民会議派を驚かせる結果だったが、その理由は法案審議の方法が非民主的で憲法の精神に則っていないからだという。欠席組の中にもいろいろな思惑がありそうだ。

それにしても、理想的には50%近くが女性議員であってもいい筈のものを33%で固定するのがいいことなのかどうかは、ちょっと疑問でもあった。目標として取りあえず33%ということなのだろうが。33%を本当にクリアしたらまた憲法改正をやって次の目標を40%台後半にするような話が登場してくるのだろう。
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