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インド式気候変動貢献策? [インド・トリビア]

チャパティ食べて、マトン控えて、地球を救おう
Eat chapati, give up mutton, save the planet
12月18日、Hindustan Times、Chetan Chauhan記者
【ニューデリー発】ライスはチャパティに比べて地球温暖化に繋がりやすい。マトンカレーはチキンカレーよりも地球を破壊しやすい。これらは、インドの料理が気候にもたらす影響に関する調査からわかったことだ。
 同じ量のエネルギーを作り出すのにどれだけの量を消費することが必要なのかを測ってみると、小麦はコメに比べて気候に与える影響が8倍少なく、マトンに比べて52倍も少ない。この報告書は未だ公開されていないが、このような記述が含まれているという。
 この調査はインド農業研究所(Indian Agriculture Research Institute、IARI)が行なったもので、24品目の食品についてその炭酸ガス排出量(carbon footprint)を調べたものである。この24品目はインドの家庭で普通に使われている、チャパティやコメ、野菜、パニールのような乳製品も含まれている。「コメは嫌気性土壌状態において育つので、メタンを発生させやすいと考えられます。逆に小麦や野菜は好気性の土壌状態に中で育つため、メタン発生は皆無に等しいです」――こう説明するのはIARIのH.パタク氏だ。メタンは炭酸ガスに比べて何倍も危険度が高い。
 それでは、ジェイラム・ラメッシュ環境森林相が「ノンベジの人に比べてベジタリアンが地球温暖化に貢献する度合は少ない」と述べた際、ラメッシュ大臣の頭の中には我々が知らない何かしらの考えがあったのだろうか。必ずしもそうとは言えない。この調査では、乳製品の一種であるシャヒ・パニールがチキンに比べてより地球を破壊しやすいことや、マトンと比較してもあまり差がないこと等が明らかになっている。
 1kgの小麦を生産するのに使用される水は900ℓにも及ぶ。しかし、マトンを1kg生産するのに必要な水は15,000ℓにも達するという。また、家畜のような動物は穀物飼料を食べるが、 1kgのマトンを生産するには10~12kgの穀物飼料が必要となるという。
Hindustan Times紙の環境関連記事では最も著名な記者の1人であるChetan Chauhan氏が、12月28日付の同紙第1面で、上で紹介したような記事を書いておられた。コメよりもチャパティを食べた方が地球温暖化抑制に繋がるという議論は、何だか割りばしの使用をやめたら気候変動対策に貢献できるというような一時期日本でもあった議論とよく似ているような気もする。

但し、この記事の面白さはやはり、インド人のご家庭には一般的にあるもののうち、どれが温暖化に繋がりやすいのかを具体的な数字で表してくれているという点にある。これを読んだらなんとなくコメを食べることには後ろめたいものを感じるし、コメやナーンに比べてチャパティがより貧しい人々向けの食べ物であるというのと何となく繋げて考えてしまいたくもなる。

地球温暖化係数(Global Warming Potential、GWP)とは、「二酸化炭素を基準にして、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるか表した数字のこと」、すなわち、「単位質量(例えば1kg)の温室効果ガスが大気中に放出されたときに、一定時間内(例えば100年)に地球に与える放射エネルギーの積算値(すなわち温暖化への影響)を、CO2に対する比率として見積もったもの」だという(全国地球温暖化防止活動推進センターHPより)。

それによると、インドの食材の地球温暖化係数は以下の通りだ。

 マトン  459.5 GWP
 ビーフ  405.7 GWP
 ミルク  222 GWP
 コメ    89.7 GWP
 魚    79.3 GWP
 ドサ  50.4 GWP
 卵    31.4 GWP
 ダル  14.8 GWP
 チャパティ 12 GWP
 バター 8.7 GWP
 カリフラワー 8 GWP
 パン  7.24 GWP

こういうのを見ていくと、肉類や乳製品を消費するのは温暖化に貢献しているということになる。逆に、ダルにチャパティを付けたり、アル・ゴビ・マサラ(カレー味のジャガイモとカリフラワー)をパンと一緒に食べるというのが、肉の入ったノンベジカレーとライスを食べるよりもずっと宜しいというのがわかる。やっぱり、これは貧困層の食事に近いということだ。
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