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NGOは外国資金が受けにくくなる? [インド]

内相、NGOへの資金提供に関する法案を再検討
PC revives NGO funding bill
12月22日付Hindustan Times、Aloke Tikku記者
 チダンバラム内相は、ボランティアセクターへの外国資金の規制を強化する法案を下院に提出することを決めた模様だ。内相は、これまで外国資金に依存するボランティアセクターの抗議を受けて、外国資金規制法案(Foreign Contribution Regulation Bill)を凍結してきたが、これを撤回する方針。約2,000のNGOが2006-07年に外国からの資金を受け取った総額は1,100億ルピーにも及ぶ。内相は、同法案を検討するため、関係閣僚から構成される第1回会合を1月に開催すると下院議員委員会で発言した。
 内相のこうした意向に対し、NGOの間では、2006年に上院に提出された同法案が近い将来法制化されるのではないかと不安が広がっている。「このような法案は小規模な組織を苦しめ、不正汚職を助長することになる」―全国レベルでのNGO連合体であるVoluntary Action Network of India(VANI)のラジェッシュ・タンドン議長はこのように語っている。
 しかし、政府関係者によると、NGOは現在、いったん登録されると永久登録になるため、その数は現在34,000にも上るが、昨年、同法に基づき必要な会計監査報告を提出した団体は僅か18,000に過ぎないという。「政府は、監査報告の提出がなされていない残りの団体は、機能停止しているのは法律違反をしているのか、どちらなのかがわかりません。」チダンバラム内相は、外国資金を受け取る必要がある場合は必ずその都度政府に報告してもらうことを同法改正の目的としているという。
 法案は、各団体が受け取った外国資金について、口座が開設されている銀行が年1回報告を行なうことを義務化するものである。

外国援助資金規制法(FCRA)は、インドのNGOが外国からの援助資金を受け取るための前提となる重要な法律である。が、僕の印象としては、取りあえずFCRAのアカウントは取ったけれど実際には外国資金を受け取ったことはないという団体がかなり多いように思う。どこのNGOの事務所を訪問する際にも、僕はその団体がFCRAのアカウントを持っているのかどうかを必ず聞くようにしている。今は支援対象でなくても、いずれ支援対象になる可能性があるからだし、相手がFCRAのアカウントを持っていれば、この団体との協力関係を考える場合のやり方の選択肢が増えるからだが、聞いてみると、FCRAのアカウントは取ったが外国からの支援を受け入れた実績がある団体はむしろ珍しいくらいだった。

また、この記事によれば、会計監査報告を毎年提出してない団体が多いのが問題だと政府関係者が述べているらしいが、僕がこちらのNGOの関係者から聞いたところでは、毎年NGOの側から提出せねばならないというよりも、FCRAに基づく政府の監査がランダムに団体を選定して行なわれており、しかもいつ来るかわからないのだということだった。だから、監査報告が定期的に提出されていないのが問題だという記事のトーンと比べ、実際にはむしろ政府の方がやるべき監査の方がちゃんと行なわれていないところに問題があるように思える。

法律で規制をかけるのはいいが、インドの問題は法の執行能力の弱さにある。

FCRAは元々外国からの資金の流れと政府が把握するために制定された法律であり、趣旨自体は正しいと思うが、FCRA登録した団体が必ず外国から資金を受け取っているという仮定には誤りがある。繰り返しになるが、実際には外国からの資金を受け取れるよう予めFCRA登録をしておくケースが多く、FCRA登録した時点で何らかの外国資金の受入計画が具体的に存在するわけではないのだ。
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