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ゲリラがいると森林面積は増える? [インド]

12月1日(火)付Hindustan Times第1面に面白い記事が出ていた。「ナクサル潜伏地域で緑の被覆率が向上(Naxal areas see green cover rise)」という記事である。記事を書いたのは結構環境もので記事を書くことが多いChetan Chauhan記者である。ナクサルというのはジャルカンド、オリッサ、チャッティスガル州の山岳民族の居住地域を拠点に反政府活動を展開している毛沢東主義(マオイスト)のゲリラであるが、こうした山岳民族の居住地域では森林がかなり増えているというのである。グッド・ニュースだが、素直に喜べないニュースでもある。

あまりに新し過ぎるので未だ記事のURLも登録されていない。気が向いた人は後日探してみて下さい。

要約は以下の通り。

1)インドの森林被覆面積は2005年から2007年にかけて690,171k㎡から690,899k㎡に僅かながら増加した。全体としては微増であるのに対し、驚くことにオリッサ、ジャルカンド、チャッティスガル州のナクサルの影響を受けた県では森林面積が急増している。ラメッシュ環境森林相が11月30日(月)に発表した『インド森林報告2009年版(India State of Forest Report 2009)』(URLは下記参照)で明らかになったもの。
http://moef.nic.in/downloads/public-information/SFR2009-ExecSummary-FINAL.pdf

2)増加面積728k㎡のうち、680k㎡は少数民族が多数を占める188の県で報告されたもの。内訳はオリッサで100k㎡、ジャルカンドで172k㎡となっている。チャッティスガル州でとりわけナクサルの影響下にあるバスタル、ダンテワダの両県もまた森林面積が増えたという。但し、チャッティスガル州コルバ県だけは例外。鉱山開発が理由と見られる。

3)同じく山岳民族が多いアルナチャル・プラデシュ州とナガランド州でも森林面積は減っている。両州の場合は作付パターンの変化によるもの。山岳民族は既存の耕地での農業生産が減少すると未開の森林を拓いて農地として利用しようとする。

4)ラメッシュ環境森林相も、極左勢力の活動が生物多様性に及ぼす影響については注目しており、それを明らかにするために、アンドラ・プラデシュ州ナガラジュナのトラ保全地域で調査を行なってもよいと述べている。ナガラジュナも一時はナクサルの影響下にあった地域である。

5)ブラジルや米国と違い、インドには継続的に森林をモニタリングする枠組みがない。

6)少数民族の多い県はインドの国土面積の33.64%を占めるが、森林面積の59.72%を占めている。森林資源に依存する少数民族は7,500万人にも及ぶ。
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