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見知らぬあなたと見知らぬあなたに [インド]

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ちょっと古い話になるが、今月上旬、僕は兼ねてから親交のあるウッタルカンド州のNGOとデリー北東部にあるCS氏のNGO「Datamation」との仲介を行なった。ウッタルカンド州で活動している日本のNGOとその現地パートナーのNGOのグループがデリーに立ち寄った際に、Datamationの活動地域である市内シ―ラムプール地区のジェンダー・リソース・センター(GRC)を見学する機会を設けたのである。

僕が今年4月末にDatamationのシ―ラムプールGRCを訪問したことは、2回に分けてブログで紹介させていただいている。いずれのこのGRCには何らかの形で日本のNGOの方にも訪問してもらいたいなと思っていた。
http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2009-04-26
http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2009-04-28

その後、ウッタルカンド州で事業を立ち上げた日本のNGOが、その活動の柱の1つにGRCを据えていることを知り、6月の一時帰国中にそのNGOの関係者の方々にお目にかかった際に、先行しているデリーのGRCを訪ねてみてはどうかと提案しておいた。それが実現したのが今回のシ―ラムプール訪問だった。

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駆け出しのGRCで困っているのは、女性が受けられる行政サービスの情報をどのように集め、どのように見せるかということと、加えてGRCでどのような研修を女性に対して実施し、エンパワーメントに繋げていくのか、研修後のフォローをどのように行なうのかといった点かと思われる。

例えば、裁縫などはこれまで訪ねたリソースセンターならどこでも多かれ少なかれ研修に取り入れているのだが、それが売れるような商品にまで付加価値を高めるのは大変なことだ。女性個々人では市場開拓すら難しい。これを、シ―ラムプールGRCでは、ミニチュアサンプルや同じくGRCのマルチメディア研修を通じて製作された広告や商品ラインナップをクリアファイルに入れ、顧客が出来上がりイメージを見ながら発注ができるよう工夫をしている。

また、シ―ラムプールGRCでは、住民の間から生まれた「サクセス・ストーリー(成功譚)」をセンターの壁一面に貼り出し、例えば寡婦年金をどのように申請したらいいのかは誰に聞いたら教えられるかとか、どの研修をちゃんと終えたのはどこの誰かとか、とにかく女性個々人の名前に言及がある掲示を沢山行なっている。僕はリソースセンターと呼ばれる施設にこれまでも幾つか訪問させてもらったことがあるが、シ―ラムプールほど壁を有効に使って「見える化」を図っているリソースセンターは知らない。

さらには、Datamationはマックス・ニューヨーク生命保険会社とも提携し、女性向けの小口保険も販売している。ウッタルカンドはマックス社もまだ小口保険のカバーをしていないのですぐには始められないが、Datamationはマックス社の担当者もGRCに呼んでくれて、どのようにこの小口保険が機能しているのか、どのように保険商品を販売しているのかを話して聞かせてもらった。

この訪問は、ウッタルカンド州の団体にとっては非常に有意義なものだったとの声を聞かせていただいた。

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僕は仲介役を務めただけであったが、前回のGRC訪問はたまたま月1回のヘルスキャンプの日と重なってしまい、センターそのものでの活動は休みだったので、今回の訪問では本来のGRCの活動の風景が見れて良かったと思う。非常に狭いスペースの中に、地域の女性が押し寄せてきて、縫製、メーキャップ、手工芸品、マルチメディアの4つの研修が同じ3階のフロアで同時に行なわれていた。写真には収めていないが、2階ではこの日は週2回の健康相談が行なわれており、僕達がGRCを訪れた午前10時前には黒いブルカを被った女性達が、センター前の狭い路地に行列を作っていた。

GRCでの研修に来た女性達が、被っていたブルカを脱いで華やかな衣装で僕達訪問客に挨拶してくれたのが嬉しかった。ムスリムの女性が気軽に集まれる場所が自宅から近いところにある意味というのがこういうところにあるのだなと改めて感じた。
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