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『Swades(スワデーシュ)』 [インド]

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今月初旬に離任して帰国の途についた職場の同僚を、送別を兼ねて夕食に誘った際、インドにいる間に見た最もおススメの映画は何かというのが話題になった。その同僚は『Swades(スワデーシュ)』だと即答した。2004年の作品で、主演はシャー・ルク・カーン(SRK)である。

理由は、今のインドの農村が抱える問題をあますことなく提示してくれているからだという。卑しくも途上国の開発問題と取り組むためにインドを訪れた人間であれば、先ずはこの作品を一度見てみるべきだと強い調子で言われた。他人の影響を受けやすい僕は、さっそくDVDを購入して自宅で見てみた。実は『Swades』を薦められたのはこれが初めてではなく、2005年頃に東京で別の方からも薦められたことがあった。このことも思い出した。

あらすじをご紹介しよう。ウィキペディアの英語版をかなり意訳してみた。

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あらすじ
モハン・バルガヴァは米国NASAの重要ポストで働くインド人(NRI)である。彼はアイビー・リーグの1つであるペンシルベニア大学で学び、学位を取った。米国で12年間働き、彼は米国市民権取得の許可を得るが、その前に自分の乳母であるカヴェリおばさんを探すためにインドにいったん戻ることを決意する。カヴェリおばさんとの連絡は今は途絶えてしまっているのだ。この乳母捜しの過程で、モハンはカヴェリおばさんの住む村で暮らしている興味深い人々と遭遇する。Eメールやインターネットについて知りたがる郵便局長は、レスリングを趣味としている。地元の学校で歴史を教える教師は、昔は自由のために戦った兵士だったが、今は村のお年寄りの間で1人孤立している。米国の高速道路の沿線でインド定食屋(ダヴァ)を開店するのが夢である料理人もいる。彼は、モハンを自分に米国ビザをもたらしてくれる福音だと思っていた。

モハンはすぐにこの村での生活に慣れ、人々に慕われるようになっていく。しかしその過程で彼は村の厳しい現実にも直面する。それは貧困やカースト差別、児童婚、文盲、教育への無理解、変化への無関心等であった。彼は変化をもたらそうと試みる。村の長老達を説得して学校を離れた場所に移す計画を廃止に追い込む。その中で、モハンはギータから一目置かれるようになる。ギータはカヴェリおばさんと一緒に暮らしているモハンの幼馴染で、今は地元で学校を運営している。

ある日、カヴェリおばさんは、自分の持つ土地を借りて暮らしている農民から借金の返済を受け取るためにモハンをその村に行かせる。その旅の途中で、モハンは、自分が村で見た様々な問題はこの国ではどこでも見られる問題であるということに気付く。土地を借りていた農夫であるハリダスは、家族に食べさせるお金もない。彼は昔は機織りで生計を立てていたが、グローバル化の影響で機織りを断念して職を変えたにも関わらず、誰もその転職を支援してくれなかったからだ。モハンはハリダスから借金の返済を受けることもなく、カヴェリおばさんの村に帰って行く。そして、村人の生活を改善することにもっと関心を持とうと心に誓う。

モハンは村の男達数百人の支援を得て、近くの丘にある年中絶えない泉を利用して貯水池を建設しようと計画する。タービンやその他の機材を自分のお金から購入し、彼は小規模な水力発電装置を据え付ける。この発電装置によって、村の不定期的な電力供給の問題を解決し、村を自律可能なものにすることができると考えた。

この小水力発電計画が成功し、モハンがNASAのプロジェクトに戻る時がやってきた。カヴェリおばさんは、一緒に米国に来ないかというモハンの誘いを断り、人生の最後のステージで新しい文化を受け入れることはできないと告げた。ギータはモハンを愛するようになっていたが、同じく一緒に村を出ていくことを拒む。インドに留まり、両親が設立した学校を運営して行きたいと告げる。結局モハンは1人で米国に戻って行く。しかし、自分の祖国インドに対する責任感が徐々に高まっていく一方で、祖国の人々の福祉のために多くのことができない自分に罪悪感も感じ始める。しかし、彼はNASAでの彼のプロジェクトの成功を見届ける。そして彼は職を辞し、祖国インドへ帰って行くのである。

ボリウッド映画といったら音楽と踊りであり、時としてそれがウザいと感じることもあるのだが、この作品でのダンスの挿入は2度ぐらいしかなく、それほど目立つものではない。またヒロインとしてプリヤンカやシルパ・シェティあたりの派手派手系の女優を配置しておらず、主演のSRKはともかくとしてキャストよりもストーリーで見せる作品であると思う。実際に見てみたら確かに農村の問題がよく描かれている。グラム・パンチャーヤト(村議会)の集会の様子、特に長老が牛耳って若い世代の意見を封殺してしまう構図など、きっと農村に行って長く滞在していれば確実に目撃することになる光景だろう。グローバル化がインドの農村に与えている影響もうまく描いていると思う。確かにこれはお薦めの映画と言えるだろう。

但し、ヘビースモーカーとしてのSRKがモロに出ている作品でもある。今どき米国でもこんな愛煙家はいないだろうと思うぐらいのヘビースモーカーで、村で何かにつけて「マールボロ」の箱から1本取り出す姿は、ちょっといただけない。

『Swades』の公式ウェブサイトはこちらから!
http://www.swades.com/index1024.html
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