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若き不動産屋のライフスタイル [インド]

先週から今週にかけて、家さがしに明け暮れている。メインは僕自身の引越先なのだが、最近僕の職場に日本から赴任してきたスタッフがおり、時としてその人も同行しての家さがしになる。もう1つは先週来た学生インターンのアパートさがしである。3カ月という比較的長期の実習生で、しかも予算の制約があって1日の生活費を1300ルピー未満に抑えなければならないため、ホテル暮らしではなく、3カ月だがアパート住まいをさせることにした。そのために、月37500ルピー以下の家賃の物件を探す必要があった。(何故僕がインターンのアパートさがしに関わったかというと、英語力に不安があったからだ。社会人経験があって海外生活も経験済みの学生だったら放っておいてもアパートさがしは自分でやるだろうが、日本で学部から院に上がった学生にそれと同等のパフォーマンスを要求するのは酷だ。)

幸い、そのインターンの物件については決まった。コンタクトした不動産屋は4人、見た物件は5件と多くはないが、月17000ルピーで1BR家具付きというところで落ち着き、今日入居を予定している。

但し、すんなり決まったわけではない。最初の候補は、家賃25000ルピーのところが物件を見た2時間後に35000ルピーをビッドした入居希望者がいてあっさり落城。次の候補が結局入居先となるが、その後僕の自宅の近所にもう1つとても魅力的な物件(家賃30000ルピーだけど)が見つかり、一時はそちらをメインに不動産屋に大家と交渉させた。

しかし、結果的には第一候補はご破算になった。

家賃15000ルピーの第二候補が腹案としてあったため、不動産屋にはかなり強気で交渉させようとしたが、決定的だったのはこの不動産屋との価値観の相違で、話していて「こいつ俺たちと住んでる世界が違う」と感じ、この溝は簡単には埋められないと思った。

焦点となったのは実は最後の月の電気料金の支払いである。公共料金のうち、水に関してはさほど高額ではないが、電気料金は電力消費量によって毎月の支払額が変動する。だが、僕の実生活での経験上、家族5人いて普通に使っても、エアコンをある程度使ったとしても5000ルピー程度である。だから、家賃に加えて10000ルピー程度余分に支払っておけば、たとえインターンが退去してから請求書が来ても、料金はそこから払えるし、マイナーな修理程度だったら5000ルピーも絶対にかからない。10000ルピーは結構な額なのだ。

この若い不動産屋は、そこをどうしても理解できなかった。彼と携帯電話で話していて明らかになったのは、彼は1ヵ月に12000ルピーもの電力を消費していることだった。だから、10000ルピーでもお釣りが来ると言う僕の理屈を納得しようともしなかったのである。

サンチャイ: 
1ヵ月12000ルピーって、あんた一体どんな生活しているんだ。

不動産屋: 
1日24時間で7日間エアコン付けて快適なデリー生活を送るなら当たり前だ。あなたはそんな生活もしてないのか。

最後は鼻で笑って言われたような気がする。その生活スタイルを聞いて、ああこいつは顧客の生活スタイルや価値観に対して理解もせず、自分の基準を押し付けようとしているなと思い、僕は今回の取引からの撤退という最後の切り札をちらつかせた。相手は「なんでそうなるんだ」とわめき散らしたが、最後は向こうから電話を一方的に切った。彼もこれで13500ルピーの現金収入(仲介手数料)を失ったというわけだ。可哀想に…。

言っておくがデリーの不動産屋が皆こんな生活をしているというつもりはない。古くから不動産業を営み、長期の取引関係を重視しているところはもっと柔軟に顧客のことを考えてくれる。今回の第二候補物件を仲介してくれた業者は、職場の関係者の何人かがお世話になっているところでもあり、第一候補がご破算になった直後にこちらの条件を伝えて大家と交渉に入ってもらい、約1時間で商談をまとめてくれた。

しかし、若い不動産屋は駄目かもしれない。ここ数年、デリーの家賃はすごい勢いで上がってきたので、それに乗っかって業界に参入してきた若い連中は、どちらかというと大家の方の意向を入居者側に押し付けて高値で商談をまとめようとする傾向があり、顧客の意図や制約条件を汲み取ってちゃんと契約条件に反映させるという「匠の技」ができない。それに、ちょっとした成金なのでライフスタイルがバブリーっぽい。バブルに浮かれ過ぎて慎ましやかに生きる庶民の姿に対する理解が乏しいのではないかと感じた。

なにはともあれインターンの入居先は決まったので少し安心した。あとは僕自身の引越先さがしに邁進できるというものだ。


それにしても、今の時期に物件さがしをやってみて思うのは、2年前の家賃高騰期と比べると、今の賃貸住宅の市場は需給が緩和していて意外と安くても条件の良い物件が見つかりそうだということである。うちは家族を先に日本に帰して僕が単身生活を始める予定なので今までのような広い家は必要ないと思っているが、同じ部屋数でも家賃が月40000ルピーも安い物件が今住んでいるのと同じ地区にあったりすると、2年前の状況が一体何だったのかと思わざるを得ない。
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