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ミツバチが未来を拓く [インド]

ビハール女性のサクセスストーリーが教科書に載る
Bihar girl's success story in NCERT textbook
 アニータ・クシュワハ(Anita Kushwaha)は生活をよくするために養蜂を始めた。そして今や彼女は養蜂での成功によってユニセフから表彰を受けるまでに至っている。
 最近になって、国立教育研究・研修評議会(National Council of Educational Research and Training, NCERT)が彼女のことをロールモデルとして描いたストーリーを初等教育4年生の環境教育の教科書『周りを見渡して(Looking Around)』の第5章で取り上げることを決めた。
 アニータはビハール州ムザファルプール県ボチャハ村(Bochaha)の極貧家庭の出身。彼女は、殆ど初期投資なしでも収益をあげられることを発見し、養蜂を始めることにした。
 アニータが養蜂で起業したのは彼女が10歳の時。母親のレーカー・デヴィが彼女に3,000ルピーを渡したのが始まりだった。この資金で、アニータは3匹の女王蜂を購入し、養蜂箱で飼い始めた。1年目で彼女はすでに50,000ルピーの利益をあげたという。
 こうして得た収益金で、アニータは家族の困窮を克服しただけではなく、10年制を終えるところまで自分の教育の資金を捻出した。彼女は今、村にある女子大学の英語学士コース(B.A. English)で勉強中だ。
 ユニセフによれば、アニータは蜜蜂を育てることで生活環境を改善するというコンセプトを取り入れ、ムザファルプールの農村部に静かな革命をもたらしたと評価しているという。 アニータの成功はユニセフに高く賞賛され、2006年の「ユニセフ・ガール(UNICEF girl)」に選ばれた。
【出所】IndiaEduNews.Com 2008年1月25日

相当古い話題だが、僕が先週訪れたビハール州ムザファルプールのお話なので紹介させてもらおうと思う。直接のきっかけは週刊誌India Todayの5月11日号でたまたまこのアニータさんが紹介されていたので少し調べてみたところ、上記の記事に出会ったという次第だ。
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勇気と蜂蜜
Grit and honey
2009年5月1日、アミターブ・スリバスタバ(Amitabh Srivastava)記者

Anita.jpg ビハールの後背地で生まれ、カースト制度の底辺部で育てば、アニータ・クシュワハのような女性が山羊の面倒を見て、学校にも通えず、若くして結婚してしまうだろうと誰もが想像するだろう。彼女の父で食料雑貨店の店員をしているジャナルダン・シンも、アニータにはムザファルプール県ボチャハ村で女の子が普通にしていることをやっていてくれればいいと思っていたという。
 しかし、こうした父親の期待にアニータは納得いかなかった。彼女はこうした足枷を打ち破りたいと思っていた。今、21歳になった彼女は学士課程の最終学年にいる。今や彼女は年に25万ルピーを売り上げる養蜂業者である。彼女のサクセスストーリーはNCERTの教科書でも独立した章として紹介されている。
 それは簡単なことではなかった。アニータは6歳の時、地元の学校教師とともに両親を説得し、学校に通い続けることを勝ち取った。最初の闘いである。「それは私達の説得が効いたからというよりは、5年生までの教育は無料だったからです。だから両親は学校に通い続けるのを許してくれました。」両親はアニータが学校に通い続けるのに必要な費用を負担することができなかったため、アニータは子供達に勉強を教えることで自分の教育資金を捻出したのである。彼女はまた、周辺の村の養蜂業者の使い走りもやった。ボチャハ村はライチの木で有名で、周辺の養蜂業者は養蜂箱を持ってよく村を訪れていたのだという。そこで彼女は養蜂を学んだ。
 養蜂で成功を収め、貧困状況から脱出したいという熱意に目覚めた彼女は、フルタイムで養蜂に熱中した。子供に勉強を教えて自ら稼いだ5,000ルピーと母であるレーカー・デヴィからもらった幾らかの資金を元手に、彼女は2002年に養蜂業を始めた。養蜂箱2箱と女王蜂数匹でのスタートだった。そしてたった数ヵ月で彼女は大きな収益をあげた。
 蜜蜂に何度も刺され、彼女の顔は腫れ上がって嘲笑されることもあったという。でも彼女は働き続けた。「人々は私に蜂に刺されたのかと尋ねてきます。そして私が「そうです」と答えると、「痛くないの?」とまた聞いてきます。そして私はまた「勿論痛いです」と答えるのです。」そんなことは今や大きな問題ではなくなった。アニータの父はそれまで勤めていた食料雑貨店の仕事を辞め、彼女の仕事を手伝うようになったのだ。父は今では養蜂箱を持って他の県にまで訪問し、様々な花から蜂蜜を集めている。
 バラックのような家は今ではしっかりとした一戸建てに変わり、アニータは弟にオートバイをプレゼントもできるようになった。彼女の社会的地位が改善したことにより、今では彼女の母も某政党の村の代表を務めるようにもなっている。彼女の成功は他の家族にも勇気を与え、養蜂を始める者が増えてきた。そしてさらに注目すべきは、この村の女の子は今や全員が学校に通っていることだ。

僕はこうした類の話がメチャメチャ好きです。India Todayのこの記事に注目したのは、そこがムザファルプールだったからというよりも、この写真の女性の笑顔がものすごくチャーミングに見えたからである。成功している人はいつでも輝いて見えるというのをその写真は物語っている。勿論、実際に訪れた印象としてビハールの女性は美人が多いと思ったというのも事実ではあるが。

僕がビハールを訪れている時、確かにムザファルプールはライチ生産で有名だという話を聞いた。それを裏付けるような話でもある。養蜂というのも聞いた気がする。でもこんなサクセスストーリーがあるというのは恥ずかしながら知らなかった。

大きな援助を受けて成功したという話ではない。強い意志と少しばかりの資金があれば、後は地域の資源を上手く活用することで個人レベルでこれだけの成功を収めることができる。そしてその成功談が周囲に波及し、多くの貧困者、女性、子供を勇気付けていく。こういうのが本当に地に足が付いた開発だとつくづく思う。
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