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選挙と高齢者 [インド]

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《ティルチー市役所で選挙人名簿を不安げにチェックするお年寄り》

インドでは国政選挙が今年4月から5月にかけて全国各州毎に実施され、結果は5月末に判明する。マンモハン・シン首相率いる連立政権がその審判を受ける。

インドの人口構成を考えれば、最も大きな割合を占める若年層から青年層にかけての年齢層の若者達をいかに取り込んで支持基盤を固めるのかは最も重要であり、主要2政党(コングレス、BJP)ともに若者をターゲットにした選挙戦略を立てているようだ。

これ自体は人口構成上当然の戦略だと僕は思うが、だからといって高齢者が不当な扱いを受けることは許されないと思う。本日ご紹介するのは南部タミル・ナドゥ州で持ち上がっている問題である。選挙をIT化することで、それについて行けない高齢者が割を食っているというようなお話だ。
高齢市民が有権者名簿から抜け落ちる
Senior citizens omitted from poll roster

3月19日、ティルチー(タミル・ナドゥ)発、ExpressBuzz
 総選挙が近付くにつれ、政府機関は自由で公正な選挙を保証するためにやっきになってきている。この県における選挙用写真入りIDカード(Election Photo Identity Card、EPIC)のカバレッジは既に99.9%に達していると同県徴税官のソウンディア氏は言うが、名簿から漏れていて自分の名前を名簿に載せようと役人に接近を試みる有権者の数は、特に高齢の市民の間では増加傾向にある。
 マリムトゥさん(63歳)は公共事業局(PWD)のオフィス・アシスタントを退職してオールド・ポスト・オフィス通りに住んでいるが、火曜日に市役所を訪れてEPICを受け取ろうと試みた。「この2年の間、EPICカードを受け取るのにあちこち振り回されてきました。」興味深いことに、マリムトゥさんはEPICが導入されてすぐにカードを取得した有権者の1人だった。「私は前のカードと取り換えることが必要だったので、役人の言う通りに応対しました。しかし、私の名前が新しい有権者カードに載っていないと聞かされました。だからまたカード申請を行なう必要があるのです。」
 「私はこれまでに4回申請をしましたが、今まで私の名前は名簿には掲載されていません。それだけでなく、私の妻マリアイーの名前もありません。多くの政府機関には高齢者向けの割引が幾つもあるのに、ここの部署は私のような年寄りに苦痛を与えることしかやっていません。今回は投票できないのでしょうかね?」
 ティルチー市のE B コロニーに住むペルマルさん(60歳)のケースは異なる。「私は2008年7月28日に認証が済んだとの証明書を受領し、EPICカードが届くのを待つよう言われましたが届きませんでした。だから市役所に行ったのです。そこでカードが配布されていると聞いたからです。数ヵ月前にそこに行った時、役人は私と妻ラクシミがもらった認証番号があると主張しました。にも関わらず、彼は私の名前は名簿にはないと言い張りました。」
 しかし、彼が火曜日に市役所に行くと、EPICカード発行を担当する役人は、彼に出納係のところに行くように言った。「私には理由がわかりませんでした。市役所に行くのは三度目ですが、これ以上の案内をしてくれる人はいなかったからです」――ペルマルさんは落胆した様子でこう語った。
 マリムトゥさんやペルマルさんのような人の事例は枚挙にいとまがない。バジヤラクシュミさん、シヴァさん、プニアヴァティさんも同じような問題に直面している。
 説明を求められ、市役所のT T バルサミー所長は、EPICカードは残り1万枚しかなく、数日のうちに配布が終わってしまうだろうと述べた。「私達は新しい有権者からの申請も受け付けているんです。現在12,000人分の申請を受領し、現地での認証手続きを進めているところなのです。」
 投票日にはもっと多くの役人が投入するか、或いは現地の政治家がこうしたプロセスについて有権者を指導していかなければならない。そうしないと、全ての人にとって公正な選挙という目的は高齢者にとっては単なるお伽話に終わってしまう。
最近、テレビを見ていて右手か左手の親指に黒いマークを付けた人をよく見かける。僕の想像だが、これが有権者の証しなのではないかと思う。それを写真入りのICカードのようなものに変えたところで、役所の事務処理能力が間に合わないというのでは何のためのIT化かと思わざるを得ない。

落ちにくい塗料でマークを付けるだけでは、有権者が二重投票するのを防ぐ手立てにはならないので、投票した後にはさらに何らかのマーキングが行われるのではないかと思う。昔僕が住んでいたネパールでも、投票所では落ちにくい白い塗料を指に塗るという措置が取られていた。途上国の選挙ではそういう二重投票が結構横行しており、それを予防する措置が考えられている。EPICカードは、それを見せればその有権者が既に投票済みかそうでないかはすぐにわかるので便利と言えば便利なのだろうが、投票日までに有権者全員に配布できないのではあまり意味がないなぁ
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