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『天使の階段-なぎさの媚薬(6)』 [重松清]

なぎさの媚薬 (6) (小学館文庫 (し5-6))

天使の階段-なぎさの媚薬 (6) (小学館文庫 (し5-6))

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/10/07
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
出会わなければよかったんだ、俺となんか―。「五年生存率、20パーセント」。肺ガンの告知を受けた25歳の吉田宏は、看護師で婚約者の真知子との未来を断ち切られた。入院を間近に控えて酔った宏は、渋谷の街で“過去に戻れる媚薬”を持つ伝説の娼婦・なぎさに会う。真知子と別れるため、彼女と出会った病院へと戻る宏。そこには、現実の過去に存在しなかった妖艶なナース・翠がいて、入院中の男たちを次々に誘惑していた。そんな翠と競うように、真知子の「おんな」が花開いていく…。ひとの死を通して、幸せとは何かを描くシリーズ第六弾。
最近、栄養分だけでなく水分もあまり摂っていないからか、とにかく便秘気味である。お恥ずかしい話、トイレでの滞在時間がいつも以上に長くなっている。近くの公園を歩いたりして腸を刺激しようと試みているのだが、なかなかお呼びがかからない。

この週末は2月のケララでの学会向けに書いている論文執筆の大詰めで、エクササイズ・ウォークで外出した以外は自宅にこもって論文を書いていた。土曜夜の段階で日曜日中にある程度書き上げられる目処が立ったので、一息つこうと書棚の文庫本を手にトイレに籠った。かなりの飛ばし読みをやったので、トイレに籠っている30分少々の間に殆ど読み切ってしまった。

このシリーズをご存知の方ならご理解いただけると思うが、重松作品としては結構異例のシリーズで、書棚に置いておいて子供に読まれるとちょっとまずいかなりきわどいシーンが何度も登場する。その部分はすっ飛ばして(その部分だけ拾い読みしたんじゃないです)ストーリー展開だけ追いかけたので、本当に30分少々でほぼあらすじがつかめてしまったというわけだ。

このシリーズの先の5本は読んだことがないのでなんとも比較のしようがないが、このシリーズは町で娼婦のなぎさと出会って媚薬を飲まされた主人公が過去に戻って人生のやり直しを図るというパターンらしい。今回の作品の場合は肺ガンで死ぬとわかった主人公の宏が過去に戻って婚約者の真知子と恋に落ちないないよう、真知子を不幸にしないよう試みるのだが、結局のところ宏は真知子と恋に落ちてしまう。

ここ数年、重松作品ではガンによる死というのをよく扱っているように思う。交通事故や脳溢血、心筋梗塞等とは異なり、ガンは実際に死を迎えるまでに時間があり、この間に何を考えるのか、何をするのかがテーマとなっている作品が多い。未来を断ち切られた主人公はそのために自暴自棄に陥る時期もあるが、これまで生きてきた人生の意味について問われ、自分の過去は自分を幸せにしてくれているのかを問われ、そして安らかに「その日」を迎えていく、そんな作品である。本日紹介する本作品も、描写がおどろおどろしいところはあるけれど、基本的にはこの系譜に属する作品である。

好き嫌いは分かれる作品だと思うので、お薦めまではしない。
個人的には、どちらかというと感情移入できない作品。
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