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『会議の技法』 [読書日記]

会議の技法―チームワークがひらく発想の新次元 (中公新書)

会議の技法―チームワークがひらく発想の新次元 (中公新書)

  • 作者: 吉田 新一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
私たちの忙しさの一因は会議の多さにある。多いばかりか、費やす時間も増えている。「会議社会」に生きる現代人にとって、会議の意味と役割は重くなる一方である。しかし、効率的・効果的な会議のもち方を知らないために、膨大な経済的・社会的ムダが生じているのが現状だろう。本書は、企業の戦略会議から地域交流まで、あらゆる場面で役に立つ斬新なアイディアをちりばめながら、チームパワーを最大限に引き出す会議の方法を伝授する。
最近、職場の昼休みの時間を利用して、時々ビデオ上映会を企画している。現地スタッフの能力強化を考えて職場で死蔵状態に近い自己学習用ビデオを掘り出してきては上映するというイベントをやることにしたものである。その中で、最近、日本の小学校の1日というのを上映した。そこでは昔も今もあまり変わることがない教室の風景、休み時間の過ごし方、手作りの学習教材といった光景があった。

その中でも気付かされることが幾つかあった。その最たるものが「グループ学習」である。ややもすると挙手して発言するのはクラスの中でも一部の子供達に集中しがちになるが、問題は挙手しない子供達がちゃんと考えているのか、付いて来ているのかといったことだろうと思う。それをいちいち1人の先生がこまめに把握して発言を促すのは難しい。そこで、クラスの児童を4人ぐらいのグループに分け、そこで意見を出し合わせてみたり、お互いにお互いを教え合わせてみたりといったことがよく行なわれている。1対1ということもある。そうすることで、児童ひとりひとりに考える機会を与え、話す機会を与えるのである。

本日紹介する本の中からの僕の学びは大きく3つある。

第1に、肩書きが上の人間が上席に座って会議を仕切ると、出席者の間で忌憚ない発言を行なう雰囲気が作れない。アイデアを出し合って有効な問題解決策を検討したいのであれば、進行役を管理職が務めるのは好ましいことではない。進行役を当番制にしてみて、管理職は上席に座らないのも一案である。

第2に、参加して実りがあったと出席者の思わせる会議は、参加して発言して、その意見が尊重されたと感じられる会議である。出席者が多くなればなるほど発言機会のない出席者が必ずいるし、発言したのに他の声の大きな人の意見にかき消されてしまい、出席者に不満だけが残ることにもなりかねない。できるだけ多くの人に忌憚ない発言をしてもらうには、グループ討論の時間を設けるのも一案である。

第3に、自分が発表を行なうなら、時間は15分に限定する。何でもプレゼンに盛り込むのはやめる。発表した後に寄せられる質問に関しては、準備してきたものについては回答しても、全てに回答する必要はない。準備してなければしていないと答えて回答しないというのも1つの手である。

社会人になって参加の機会が増えた会議というものは、アイデアを募るタイプのものよりも予め主催者側が準備をしてきたシナリオに沿って承諾を求めるタイプのものが圧倒的に多いような気がする。出席することが一種のアリバイ作りになっていて、反対意見を出してもたいていの場合は無視される。自ずと出席しても面白くないし、1時間30分の枠があるとしたら最初の1時間15分程度が主催者側の一方的説明に費やされるので眠い。本社と他支社との間でテレビ会議で繋ぐケースなんかが最悪で、要は「こういうふうにやれ」という一方的な指示と情報提供だけなので本当に面白くない。時間が押せ押せになるから、何が合意事項なのか、フォローアップ事項が何なのか、振り返りの時間も最後にない。

そんな会議に慣れっこになってしまった僕達には、本書もそうだし、小学校の教室で行なわれている学級会なんてのが意外と示唆に富んでいるかもしれないと思う。そういえば、僕が小学校で学級会の司会をやっていた頃も、発言が途絶えがちになってきたと思ったら隣りの生徒同士で話し合いの時間を設けたりする工夫はしていたような気がする。4人グループで考えてもらうこともよくやっていた。

折角小学校でそうした実践経験を積んだ僕達なのに、社会人になった途端にこの会議の体たらくは一体何なのだろうか。そんなことを改めて考えさせられるこの1冊であった。

職場では実践できることは実践していこうと思う。
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