『古事記』by石ノ森章太郎 [読書日記]
僕が子供に読ませたい日本の古典といえば先ずは古事記である。
「イザナギ・イザナミの国生み」「黄泉の国」「八俣大蛇(ヤマタノオロチ)」「因幡の白兎」「天の石屋戸」「大国主の国譲り」」「山幸彦・海幸彦」などの逸話は、ストーリーとしての面白さもあるので小学生の今のうちに子供たちには覚えて欲しいと思うのだが、僕たちが子供の頃にあった金井南竜編著『かみさまのおはなし』(神書研究会)のように、読み物としてワクワクさせられる本が、今の子供たちには受けないのか、なかなか見当たらないのが現状である。
そこで考えたのが、子供たちが好きそうなマンガ版の古事記を買い与えて、彼らの頭の中にとにかくストーリーだけでも刷り込むことであった。最初に考えたのが安彦良和さんの『ナムジ』『神武』のシリーズだった。でも、6月に日本に帰って実際にみてみたところ、ちょっと子供に読ませるには相応しくないサービス・カットが多く、諦めざるを得なかった。日本神話について詳しい方ならお気付きかとは思うが、神話の世界は誰が誰と結ばれて誰が生まれたかというエピソードの繰り返しであり、大国主命(オオクニヌシノミコト)は『ナムジ』ではスサノオの末娘スセリを手篭めにした上、邪馬台国卑弥呼の末娘タキリも娶っている(この卑弥呼の末娘というのも、卑弥呼とスサノオの間に出来た娘として描かれている)。
石ノ森版は歴史に作者なりの解釈をはさまず、比較的原作に忠実に描かれているのではないかと思うが、それでも、大国主命は「因幡の白兎」の一件では因幡のヤガミヒメに惚れられ、嫉妬した兄たちから追われて根の堅州国(ねのかたすくに)にスサノオを頼った際にスセリヒメと結ばれるというストーリーが描かれている。さらには、ヌナカハヒメ、タキリヒメ、カムヤタテヒメ…。とにかく精力絶倫、浮気心満載の人物だったらしい。その辺の微妙な記述を健全な少年少女の読者向けに描くのはなかなか至難の業であろうと思う。そんなわけで、安彦さんの『ナムジ』『神武』は諦め、石ノ森版の『古事記』を買ってインドに持って来た。
この本では、一応、イザナギ・イザナミの国生みから神武天皇の誕生までが扱われているのだが、神武東征は完全に端折られているので、山幸彦がトヨダマヒメと結ばれた経緯までしか詳述はされていない。最後の部分はかなり急いだ記述になっているが、以前紹介した島崎晋『なるほど!古事記・日本書紀』(山川出版社)でもトヨタマヒメが産んだアマツヒコヒコナギサタケウカヤウキアエズノミコト(天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命、長い…)からカムイヤマトイワレビコノミコト(神倭伊波礼毘古命)――後の神武天皇が生まれるまでは、極めてさらっと描かれている。きっと原典がそれくらいの描き方になっているのだろうと思う。
マンガ版であっても関心を持ってくれたら、次は子供たちに物語で書かれている古事記も読んで欲しいなと秘かに期待する。インド人なら『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』を誰でも知っているように、僕達日本人はもう少し古事記、というか日本神話を知らなければいけない。今は日本に住んでいないだけに、余計にそのことを痛切に感じる。ということで、現在ベッドタイム・ストーリーとして子供たちを寝かしつける際に読み聞かせで使っているのがこの1冊でもある。
「イザナギ・イザナミの国生み」「黄泉の国」「八俣大蛇(ヤマタノオロチ)」「因幡の白兎」「天の石屋戸」「大国主の国譲り」」「山幸彦・海幸彦」などの逸話は、ストーリーとしての面白さもあるので小学生の今のうちに子供たちには覚えて欲しいと思うのだが、僕たちが子供の頃にあった金井南竜編著『かみさまのおはなし』(神書研究会)のように、読み物としてワクワクさせられる本が、今の子供たちには受けないのか、なかなか見当たらないのが現状である。
そこで考えたのが、子供たちが好きそうなマンガ版の古事記を買い与えて、彼らの頭の中にとにかくストーリーだけでも刷り込むことであった。最初に考えたのが安彦良和さんの『ナムジ』『神武』のシリーズだった。でも、6月に日本に帰って実際にみてみたところ、ちょっと子供に読ませるには相応しくないサービス・カットが多く、諦めざるを得なかった。日本神話について詳しい方ならお気付きかとは思うが、神話の世界は誰が誰と結ばれて誰が生まれたかというエピソードの繰り返しであり、大国主命(オオクニヌシノミコト)は『ナムジ』ではスサノオの末娘スセリを手篭めにした上、邪馬台国卑弥呼の末娘タキリも娶っている(この卑弥呼の末娘というのも、卑弥呼とスサノオの間に出来た娘として描かれている)。
石ノ森版は歴史に作者なりの解釈をはさまず、比較的原作に忠実に描かれているのではないかと思うが、それでも、大国主命は「因幡の白兎」の一件では因幡のヤガミヒメに惚れられ、嫉妬した兄たちから追われて根の堅州国(ねのかたすくに)にスサノオを頼った際にスセリヒメと結ばれるというストーリーが描かれている。さらには、ヌナカハヒメ、タキリヒメ、カムヤタテヒメ…。とにかく精力絶倫、浮気心満載の人物だったらしい。その辺の微妙な記述を健全な少年少女の読者向けに描くのはなかなか至難の業であろうと思う。そんなわけで、安彦さんの『ナムジ』『神武』は諦め、石ノ森版の『古事記』を買ってインドに持って来た。
この本では、一応、イザナギ・イザナミの国生みから神武天皇の誕生までが扱われているのだが、神武東征は完全に端折られているので、山幸彦がトヨダマヒメと結ばれた経緯までしか詳述はされていない。最後の部分はかなり急いだ記述になっているが、以前紹介した島崎晋『なるほど!古事記・日本書紀』(山川出版社)でもトヨタマヒメが産んだアマツヒコヒコナギサタケウカヤウキアエズノミコト(天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命、長い…)からカムイヤマトイワレビコノミコト(神倭伊波礼毘古命)――後の神武天皇が生まれるまでは、極めてさらっと描かれている。きっと原典がそれくらいの描き方になっているのだろうと思う。
マンガ版であっても関心を持ってくれたら、次は子供たちに物語で書かれている古事記も読んで欲しいなと秘かに期待する。インド人なら『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』を誰でも知っているように、僕達日本人はもう少し古事記、というか日本神話を知らなければいけない。今は日本に住んでいないだけに、余計にそのことを痛切に感じる。ということで、現在ベッドタイム・ストーリーとして子供たちを寝かしつける際に読み聞かせで使っているのがこの1冊でもある。
こんにちは。ぼくは子供に新渡戸稲造の「武士道」を読ませようとして、失敗?したことがありましたが、なるほどマンガだとうまくいくかもしれませんね。
by Piis (2008-07-05 22:06)
nice!&コメントありがとうございました。
子供が小さい頃(20年ほど前ですが)、日本の神話に関する絵本を探したことを思い出しました。
by solaris (2008-07-06 09:39)
こんにちは。自分が子供の時に読んだ日本神話を思い出しました。
懐かしいけれども、悲しい事に大部分忘れています(T-T)
部分的な因幡の白ウサギや天の岩戸の話等はかろうじて覚えておりますが・・・。
日本書紀や古事記、本来はハシ(櫛)でホトをさして・・・の橋姫の話等、子供に伝えるにはちょっとというのが多かったですね。そうでした~。
短大の時に古事記の授業で、かなり衝撃を受けたのを思い出しました。
日本にはこんな話があって、それはこういう慣習につながっているんだよと日本ならではの行事や文化を伝える為にも、子供達に読んでもらいたいですね。
子供が読んでも大丈夫な本を見つけたら、今からでも確保しておかないといけないですね(笑)
お子様達古事記を楽しんで、覚えていてくれると良いですね。
日本ならではの良いところ伝わると良いですね。
by jjmusa (2008-07-09 12:18)
皆様、niceとコメントをどうもありがとうございました。
4日間の出張から戻って来たところです。
またブログ再開しますので、宜しくお願いします。
マンガだったせいか、小5の長男と小3の長女は読んでくれています。
また、娘に至っては、読み聞かせの古事記とマンガを照らし合わせながら、
話をちゃんと聞いてくれています。ちょっと嬉しいです。
by Sanchai (2008-07-11 04:03)