世界人口のゆくえ [少子高齢化]
向こう数年間は人口高齢化の速度は著しい加速を見るが、その後は今世紀半ばに向けて減速する―――ストーニー・ブルック大学経済学部ウォーレン・サンダーソン(Warren Sanderson)教授とオーストリアの国際応用システム研究所の世界人口プログラム(World Population Program, International Institute for Applied Systems Analysis)のスタッフによる共同研究で、そうした予想がなされている。
今世紀中、世界的な人口高齢化は進行するものの、その速度は2020年から2030年にかけてピークを迎え、その後は減速する。こんな研究結果が紹介されたのはネイチャー誌の1月20日付オンライン版。この研究では、13の主要地域において、伝統的な測定方法と長寿化を踏まえた新たな概念の両方を用いて予測が行なわれた。例えば、伝統的な測定方法では、1900年生まれの60歳のお年寄りは2000年生まれの60歳のお年寄りと同じくらい歳を取っているとみなす。ところがサンダーソン教授を始めとする研究スタッフは、この両者の間で残り何年生きられるのかで大きな違いがあることに注目した。
「高齢化のスピードを理解することは重要です。高齢化が最も急速に進行する時期は、調整が最も困難な時期であるとも言えます。政策立案者は人口高齢化のピークがいつ来るのかをいち早くつかみ、特に老齢年金や高齢者向け医療の資金繰りについて調整を適切なタイミングで行なっていくことが必要です。」―――サンダーソン教授はこう述べる。
高齢化の速度がピークを迎えるタイミングは、過去の出生パターンに基づく。米国や西欧諸国の一部では、このタイミングがベビーブーマーがいつ高齢者になるのかによって決められるが、例えば中国では、厳格な出産抑制政策の実施のタイミングによって決まってくる。
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