SSブログ

大都会での助け合い [インド]

以前紹介した金子勇教授の著書で書かれていたことだが、60歳以上のお年寄りが皆介護が必要な状態で生活しているわけではなく、約8割の人々は多少の不自由はあっても普通に生活ができる人たちだと言う。しかも、一見高齢化は社会や経済にとって足枷と捉えられることが多いが、実際は経済成長を担った人生経験豊かな人々が今度は地域社会の発展に貢献していくことが期待されるわけで、悪いことばかりではないともいえる。

そうしたことを改めて考えさせられる記事が1月21日付のHindustan Times紙第8面に掲載されていた。タイトルは「歳はとってもお年寄りの助けにはなる首都の高齢者(An ageing but helping hand for the Capital's elderly)」(Nivedita Khandekar記者)である。

市内Kalkaji地区にあるアパートに住むA. K. Khannaさん(80歳)は、自分のアパートの3階まであがるためのエレベーターが必要だった。お金も払う用意があった。しかし、デリー都市開発局(Delhi Development Authority、DDA)によってその必要がないと判断されてしまったため、Khannaさんはシニア市民フォーラム(Senior Citizens' Forum)に助けを求めた。フォーラムはKhannaさんの要望を取り上げ、予算は承認された。

Sheela Tandonさん(80歳)は、医者から家から一歩も外に出ないように忠告を受けた。外出できず外部との交流機会の減ったTandonさんに、フォーラムは彼女の老齢年金を自宅に持ってくるというサービスの提供を開始したため、Tandonさんの心配事は解消された。

高齢の市民自らの手によって運営されるこのフォーラムは、ひとりひとりの小さな思いやりと行動がお年寄りの直面する問題を解決するのにどれだけ助けになるのかを示す好例である。12年前に設立され、フォーラムは既に1000人を超える会員数に達し、100組を越えるご夫婦での会員もいる。彼らは主にデリー南部のGreater Kailash I、Greater Kailash II、East of Kailash、Alaknanda、Greater Kailash Enclave等の地区の住民である。

フォーラムの会員には、優れた頭脳を持ち経験豊富な人が多く含まれている。税務コンサルタントや法律家は、その分野について他の会員のサポートを行なっている。このフォーラムの委員長であるG. M. Chopra氏によれば、フォーラムの基本コンセプトは「相互扶助(mutual help)」であるという。「私達の多くはいまだ健康で自由に動き回ることができ、いろいろな理由で動くのが不自由な人々を助けることができます。」

会員はまた、高齢の市民に関する様々なニーズについてそれを擁護する役割も果たしている。税務は法律に関する無料相談を行なう他、一人暮らしのお年寄りには誕生祝いを行なったりもする。

会員は毎月1回集まり、そのニーズについて情報交換と情報収集を行なっている。フォーラムの事務局職員であるS. N. Bhopalaさんは言う。「高齢の市民に関する問題に取り組む一環として、セミナーを開催したりもします。」また、同じく事務局職員であるV. K. Gaubaさんによれば、「私達は、日帰りのピクニックを企画したり、国際高齢者デーを祝ったりするイベントも開催しています。」

フォーラムの会員は全国高齢者協議会(National Council for Older Persons)やデリー州高齢市民協議会(Delhi State Council for Senior Citizens)にも属している。「私達の努力が実って、全ての列車での運賃3割引や、所得税還付金の増額、高齢者向け税の減免措置などが実現したのです。」コーディネーターのK. Sagarさんはこう述べている。彼女のようなコーディネーターは1人で10人程度のお年寄りのケアを担当している。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0