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10万ルピーの自動車 [インド]

インドに「28万円」カー登場、最も安い車の半額以下

【ニューデリー=実森出】インドの大手財閥タタ・グループ傘下のタタ自動車が10日、1台10万ルピー(約28万円)の超低価格車を初めて報道陣に公開した。二輪車から乗用車への乗り換えが急ピッチで進むインド市場での浸透を狙う。11日からデリーのモーターショーで一般公開する。全長3・1メートル、幅1・5メートル、高さ1・6メートル。車名は微細さを表す「ナノ」。10万ルピーは税別、送料別の価格で、インド国内で現在、最も安い小型車の半額以下だ。発売は2008年後半になるという。思い切ったコスト削減のためエアコン、ラジオ、パワーウインドーなどは付いていない。ワイパーも1本、ドアミラーも運転手側だけと、装備は最小限に絞り込んだ。グループ総帥でタタ自動車会長のラタン・タタ氏は「4年前に開発に着手してから原材料価格も上昇した。多くの人がこの価格での開発は無理だと言ったが、約束は約束だ」と語った。
出所:読売新聞、1月11日



11日の新聞紙上は、「ワン・ラク・カー(One Lac Car)」の話題で持ちきりである。「One Lac」というのは10万ルピー(約28万円)に相当する。そんな車が本当に作れるのかと思っていたら、現在デリーで開催中のオート・ショーでとうとう発表された。

なんでこんな安くできるのかといったら、勿論読売の記事にもある通り機能を相当に絞り込んでいるというのが1つある。エアコンなしでOne Lacというのはインドの夏を考えたらちょっとずるい宣伝の仕方だとは思ったが、後の機能の絞り込みについては、昔クライスラーが「ネオン」を発表した時にも同じ対応がなされていたのでさもありなんだと思う。

しかし、コストダウンにはもう1つの理由がある。部品の内製率をなるべく抑えて部品をネット上で国際調達するようなことが行なわれていると聞いた。国際的に最も安く調達できた部品を組み合わせているのだから、当然組み立て後の製品価格も安く抑えられる。但し、その場合の問題は部品の内製率が低いことで、安全基準や排ガス基準をクリアするために日本の自動車メーカーならどこでもやっているような研究開発への投資が抑えられている。当地で最も市場占有率の高い「マルチ・スズキ」の出資者であるスズキ自動車の鈴木修会長が仰っている安全対策上の懸念というのはこういうところにあるのだろうと思う。

また、当地の知人にも聞いたが、One Lacと聞いて学生でも買おうかなという話がちらほら聞かれるのだという。値段が安ければ市場への浸透も相当に速いことが予想されるが、そうなれば当然懸念されるのがインド各主要都市の交通渋滞の悪化である。最近はこの渋滞が僕のイライラを増幅させることが多くなってきているが、タタの「ナノ」が市場を席巻し始めると、きっと渋滞はもっとひどくなり、都市の大気汚染はいっそうの悪化をみるだろう。

「ナノ」発表の席上で、ラタン・タタ会長は、国際的な排ガス基準EuroⅢをクリアしていることで、ノーベル平和賞を受賞した国連気候変動パネルのパチャウリ議長も喜んでくれるだろうと語ったが、それを伝え聞いたパチャウリ議長は、「そんなことよりも公共交通システムの改善が先だ」と一笑に付したという。


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コメント 1

これは新聞にも載ってましたねー。
インド旅行中はTATAのロゴの入った
バスばっかり見てましたから
応援したい気持ちになりましたね。
by (2008-01-14 20:09) 

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