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市民講座「少子高齢化と日本経済」(第26回) [少子高齢化]

市民講座「少子高齢化と日本経済」(第26回)                                      「少子高齢化時代の消費市場と経営戦略」                                                        講師:和田光平・中央大学経済学部教授

2月10日(土)に行われた講義で、暫く放ったらかしにしてしまい、第28回の分よりもアップが遅くなってしまった。和田先生が本講座に登場されるのは第24回に続いて2度目であるが、前回の講義録をアップした際、和田先生が僕の疑問に対してコメント欄でお答え下さった。僕がサンチャイ・ブログの中で実名入りで書いた方からコメントをいただくのはスポーツライターの生島淳さんに続いて2人目であるが、読んでおられることがわかってしまった後にそのご本人にお目にかかるのは和田先生が初めてであり、この日の講義に出席するに当ってはかなりの緊張を強いられた。

本日の学びのポイント                                                                                                                       1.日本の総人口と世帯数の推移を見ていくと、今後2025年頃に向けて、総人口は減少するが、世帯数は増加が見込まれる。これは単独世帯が増加するからであるが、消費への影響を考えた場合、消費は世帯単位で行われることから、消費は少子化の影響をそれほど受けないのではないかと考えられる。世帯当りの消費のこれまでの推移を見ると、家計総消費支出の増加に較べて1世帯当り消費は1990年代に既に頭打ちになっている。従って、今後の見通しとして、世帯数の増加が家計総消費支出の増に貢献すると考えられ、特に単身世帯数の増だけで見れば、年間1000億円の市場創出効果があると試算されている。

2.人の消費パターンは、若年時代の消費行動をそのまま引きずって高齢化していくという「高齢者の消費行動若年化」という要素もあるものの、一般にはライフステージによって消費の志向性は変化していくと考えられる。15-64歳の生産年齢人口の消費ニーズを1.00とした場合の若年層と高齢者層の消費割合を見ると、65歳以上の高齢者は生産年齢人口層のそれに較べて1人当りの消費ニーズが大きい(>1.00)。今後高齢者人口が増えれば、高齢者の高い消費ニーズに支えられ、人口減少効果を補って余りある消費が実現する可能性がある。

3.但し、消費人口の核が高齢化することで、企業の対応が難しくなる側面もある。消費人口は現状は40代の堅調な消費に支えられているが、10年、20年が経つとこれらの層は高齢者の仲間入りをする。少子化に対応した企業の経営戦略としては、①既存製品に新たな機能を付加する、②製品のブランドイメージを確立する、③製品のターゲットとする需要層を拡大する、④業種・業態を多角化する、⑤海外進出してよりマーケットを拡大する、等が考えられる。

所感                                                                                                                                     既に講義の際に質問させていただいたのだが、消費市場への対応としての経営戦略に加えて投入財の確保という生産要素市場での企業戦略というものもあるのではないかと思った。僕の最近の問題意識は、自分が今働いている会社に良質な労働力の確保のための明確な戦略がないことである。これから労働力確保はもっと難しくなってくる筈であり、今のような経営陣の迷走で現場の社員に負担が生じ、ワーク・ライフ・バランスもクソもない状況が続くようなら、たとえ企業が行う財・サービス提供が社会的に意味のあることであったとしても、評価はされず、人が集まらなくなる恐れがあると思う。不正という意味ではないにせよ、労務管理がちゃんとできていることもコーポレート・ガバナンスの1つだと思う。

消費者の年齢層が高くなるということは、消費者の目が非常に肥えてくるということでもあると思う。不二家やLEC東京リーガルマインド大学のように、コーポレート・ガバナンスができていないことが問題化するような企業がこのところ目立つが、今後もこうした厳しい監視の目が企業に対して注がれるようになってくるのではないだろうか。


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