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市民講座「少子高齢化と日本経済」(第21回) [少子高齢化]

市民講座「少子高齢化と日本経済」(第21回)                                      「団塊の世代の定年と日本経済」                                                        講師:永井保男・東京女学館大学教授

12月9日(土)開催分。この講座に出た後家族で温泉旅行に出発したので、1週間ほったらかしにしていてしまった。ゴメンなさい。

本日の学びのポイント                                                                                                                       団塊の世代の定年は、2007年問題として語られることが多く、新聞や雑誌などで特集されることも多い。                 

1.「団塊世代」とは、日本の場合は太平洋戦争終結後の1947年から1949年に生まれた世代を指す。2005年の国勢調査によると、この世代は56~58歳という 年齢層に相当し、その総数は692万人、総人口の5.48%を占める。彼らは、高校、大学卒業して結婚期を迎える頃に高度経済成長の真っ只中にあり、結婚当初から電化製品を揃えて消費の牽引役となった。団塊世代が注目をされる最大の理由は耐久消費財ブームの火付け役となった過去の経験にあり、彼らの退職後、高齢者の消費の牽引役となりうると考えられているからである。

2.彼らの就業機会は大都市圏に集中した。団塊世代の人口の地域別分布を見ると、1960年代後半に東京・南関東圏に流入し、現在も同地域に住んでいる。他方で、70代になってくると、人口移動が再び高まりを見せる傾向が今でも見られる。このことから、団塊世代は今後Uターン、Iターンが期待できる重要な年齢グループということで、遠隔地の地方自治体は招致活動を強めている。しかし、県外移動まで期待するのは実際にはかなり難しいものと考えられる。総務省の人口将来推計でも、高齢者の県外移動数の推計は2005年から2025年頃までは増加して年60万人程度になるものの、それ以降は頭打ちとなる。すなわち、団塊世代が70代後半を迎える頃には、高齢者の県外移動数は頭打ちになっている。

3.団塊の世代は、40代の壮年期にバブル期とその後遺症を経験している。1990年代の構造調整下において、企業は正規職員の採用を著しく削減し、その一部をパート・アルバイトや嘱託に切り替えている。このため、団塊世代の間では資産格差が著しい。住宅・宅地のある世帯といずれもない世帯の資産額の差は、50~59歳の年齢層で6.41倍に達しており、これは20代、30代、40代、60代以上の年齢層と比較しても非常に高いものとなっている。

4.現在、政府では60歳定年制を65歳にまで引き上げようという政策を打ち出しているが、企業の間では未だ本格導入の動きには至っていない。

5.団塊世代の今後の役割として考えられるのは、①その管理職経験を生かした後進の指導、②その子育て経験を生かした地域の子育てでの支援、③地域行政との連携、などであろう。

所感                                                                                                                             1.以前、僕が持つ別のブログで、「NGOにおける高齢者問題」を取り上げたことがある。ひょっとしたら本ブログでも同様なエントリーを行ったことがあったかもしれない。そのポイントは、管理職経験が豊富なのはいいとしても、女子社員にお茶汲みをさせていた経験がNGO/NPOのようなフラットな組織の中でモロに出てしまい、専従の若手女性スタッフの作業効率を悪化させるような事態が懸念される。エイジング総合研究センターが今年実施した調査でも、NGO/NPOが会社勤めの経験豊富な高齢者が評価されているのはプロジェクトを円滑に遂行する能力であり、企画力は評価されていないという結果が出ている。管理職経験が仇花にならないよう、ものを考える時にもそれなりの貢献が求められることを考えておくべきではないかと思う。

2.また、エイジング総合研究センターの調査によれば、退職して地域に戻った高齢者が地域活動に初めて参加するまでには1年以上の時間がかかり、しかもその期間は女性よりも男性の方が長いという結果が出ている。男性の場合は「会社」というコミュニティの中でぬくぬくやってきたわけで、女性と比べて地域社会との接点が殆どないのが実情であろう。このため、男性が地域社会に入っていける仕組み作りの部分で期待される行政の役割があるのではないかと思う。

 3.高齢者で資産格差の拡大に上の方で貢献している方は、是非その1人では使いきれない資産を、社会貢献目的に使っていただけたらなぁと思ってやまない。途上国の高齢者は、財政上の制約が強くて公的保護が全くなされていない。日本であれば高齢者は知識も経験も豊富な人生の先輩として扱われ、歳を重ねてもそれなりの社会への貢献が期待されているが、途上国の高齢者の多くは農村部に住み、せいぜい初等教育程度の教育しか受けておらず、60代や70代を迎えたら地域社会への貢献といっても期待できるものがそれほど多いわけではない。だったら放っておいて死なせればいいのかといえば、それは生きる権利の否定でもあると思う。日本だけではなく世界全体を見渡した場合、同世代でもそうしたお年寄りがいる。そのことを考えて、賢いお金の使い方を日本の持てる人びとにはしていただきたいものである。


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Sanchai

町づくりワークショップ委員会のメンバーになってしまい 初回は名古屋大学の経済学者の難しいマトリックス指標を示されこんなことに首を突っ込んでどうしょうと思って 周囲の面々は欠席の中で掛けました。
生活環境を選考して入り今後の町づくりを考える始めの1っ歩でした
老後快適に暮らせることを提案できて父さんのアドバイスをもらってやっていこうと思っています
by Sanchai (2006-12-17 10:47) 

Sanchai

お母さん、私のログインIDとパスワードでソネブロに入ったでしょ?
私が私のハンドルネームでコメント書いている形になっていて、最初は戸惑いましたよ。
by Sanchai (2006-12-17 12:23) 

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