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ニアス島からの訪問者 [地域愛]

          

先週から今週にかけて、三鷹国際交流協会(MISHOP)のスタディツアーの会の招聘で、インドネシアのニアス島の現地NGO、LPAM-Nias(エルパム・ニアス)の事務局長ドゥマン・ワウさんとジェイソンさんが来日していた。メインイベントは19日(木)にMISHOP会議室で行なわれた講演会だったが、折角だから僕が職場で主宰しているランチタイム勉強会で話してもらおうと思い、17日(火)お昼に市ヶ谷の職場までおいでいただいた。(この辺りのレポートは既にスタディツアーの会のブログにアップされているのでご参照下さい。僕も映ってます。)

ニアス島といえば、2004年末のスマトラ島沖地震・津波の際に津波に洗われただけではなく、その3ヵ月後の2005年3月末には大地震に見舞われて10,000人以上の死者が出たと言われている。国際社会はこの未曾有の大災害に反応して多くの救援物資を支援したが、LPAM-Niasはこうした緊急援助の受け手の1つとして、食糧の配給や仮設テントの設営などを行なってきた。

二度のお話を両方聞いてみて、幾つか学んだことがある。

第一に、住民が行政サイドの復興支援組織(BRR)のことをあまり信用していないこと。ドゥマンさんは、BRRの仕事振りを「遅いし非効率的」と評し、汚職も蔓延していることを指摘した。(BRRについては、超硬派ブログで以前書いた記事を参照してください。)

第二に、被災後の復旧から復興・開発のフェーズに移行していくためには、少なくともマクロ経済の安定を確保するのは政府の役割として非常に重要であるということ。インフレ率が41%もあっては、腰を落ち着けた経済再建活動などできはしないだろう。再建は住民や企業家の役割は重要であるが、そのベースとなるのは政府の政策である。例えば、事業再建のためにマイクロファイナンスを提供しようにも、通常20%台と言われる市場レートよりも高い41%でないと融資してもコストリカバリーできないわけだから、貸し手も借り手も躊躇するだろう。

第三に、緊急時にも援助する側の論理が優先されてしまうのだということである。ドゥマンさんの報告を聞いていて、なんで地震で被災してたった3ヶ月で学校の再建をやったのか不思議に思った。未だ日々の生活に困窮する人々が食・住で苦労している時に学校再建なのか。子供達を学校で預かれば親は生活再建に注力できるから、機会費用の軽減を狙っているのかなと思った。その質問をしたところ、ドナー(援助する側)がそういう使途条件付の援助をしてきたから自分達には選択の余地がなかったと言っていた。被災地のニーズとドナー側の提供するリソースにはギャップがあるのは仕方がないことではあるが、使途などの紐を付けられた援助物資というのは効率的な配分を歪めるというのを痛感させられる。(これは政府間援助だけではなく、NGOの行なう民間援助も同じである。)

こうして折角構築されたニアス島との関係である。スタディツアーの会も、ニアス島への寄付や今回の招聘に留まらず、今後も引き続き民際交流を進めていっていただけたらと思う。


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地球極楽とんぼ

お元気でご活躍何よりです。
インドSTも無事に終わり、最終報告書の編集中です。ニアス支援活動に参加した若手メンバーが次ぎなるプロジェクトで活躍しています。どんどん若い人達が活躍すること、それを応援するMISHOP関係者の気概を望むところです。

http://island.geocities.jp/niasproject/index.html#

三鷹でのインド年も終了しました。
お忙しい中とは存じますが、またよいお知恵とお力添えのほどお願い申し上げます。

ご健勝を祈念申し上げます。
by 地球極楽とんぼ (2007-11-05 15:40) 

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