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『武田家滅亡』 [読書日記]

武田家滅亡 (角川文庫)

武田家滅亡 (角川文庫)

  • 作者: 伊東 潤
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/12/25
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
信玄亡きあと屈指の大国を受け継いだ武田勝頼は、内憂外患を抱えていた。近隣諸国からの脅威に加え、財政逼迫や家臣との対立も勝頼の孤立を深めてゆく。こうした状況のもと、同盟国・北条家から嫁いだ桂姫は、勝頼の苦悩に触れて武田・北条両家の絆たらんとするが…。信玄をも上回る武人の才に恵まれながら悲劇の主人公となった勝頼の後半生を、歴史小説界に現れた破格の才能が活写する本格歴史長編。

『天地雷動』からの続きで、武田勝頼を中心に据えた伊東作品を読んでみた。発表された順番からいくと、『武田家滅亡』が初版2007年と最も早く、その後勝頼周辺の武田家の武将、徳川家康、北条家等、同時代を生きた甲信越、駿河国、相模国あたりの実在の人物を主人公としたスピンオフ作品を幾つか発表し、そこから遡って長篠合戦を描いた『天地雷動』の発刊に繋がっていく。自分の勝手なイメージとしては、「武田家サーガ」の始まりは長篠合戦で、終わりが武田家の滅亡、ひょっとしたら徳川家康の天下取りまで含めてもいいのかもしれない。

作品の出来としては『天地雷動』の方が優れているが、長篠合戦以降の武田家の崩壊過程をかくも詳細に描いたことには感銘を受ける。しかも、武田・北条・上杉の三者による関東の均衡が、互いの子息子女の他家への輿入れによって保たれていたこととか、当時当たり前のように行われていたことについて、その当事者となった人々の覚悟、相手国の家中での扱われ方、嫁ぎ先から実家の動静をどう見ていたかとか、単なる歴史上の事実の記述に止まらない、血と心の通った中身となっている。そうしたところが歴史を小説として描くことの面白さだと言える。

ただですね、今回僕はこの作品を電子書籍版で読んだので、地図がなかったのが痛かった。文庫版では載っていたんだろうか。とにかく、土地勘がないことが読み進める際の大きな障害になった。武田家の本拠地である甲斐国は、周辺を越後、上野、武蔵、相模、駿河、遠江等に取り囲まれ、戦線も多方面に展開していたので、文章で読んでいるだけでは位置関係だけでなく、対抗勢力との関係性と両者の思惑というのがなかなかイメージしにくいのです。ただ、勝頼と桂姫が滅びの道を辿っていく途中で立ち寄る勝沼や日川、笹子峠、小仏峠のあたりであれば、里帰りで中央道を使うたびに通過するエリアであるので情景がイメージできた。

この時代の武田や北条、徳川、上杉を扱った伊東さんの作品、もうちょっと読んでみようかなと思っている。「武田家サーガ」をもう少し探求してみたい。それが、次のNHK大河ドラマ『真田丸』の準備にも役立ちそう。勝頼が最後に頼ろうと試みた相手が真田昌幸であり、昌幸が勝頼を奉じて最後に籠城戦を目指したのは上野国の岩櫃城だったそうだ。

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