居合道、にわか勉強の友 [自己啓発]
米国滞在生活を残すところあと2日となった。剣道の稽古に関しては基本技を中心に非常にハードな内容になんとかついていっている。少し残念だったのは、もし参加できていれば滞在中ほぼ毎日稽古ができた筈だった某大学での稽古が、大学の期末試験期間中ということでお休みになり、お陰で4日分の稽古が休みになってしまったことだ。ただ、その代わりに先生のご自宅でのお呼ばれだの、昔住んでいたご近所の子供の演奏会へのお呼ばれなど、多少なりとも交流的なことはできたし、明日4日は地元の5kmのロードレースにも出てみることになった。稽古がないからといって、ただボーっとしているわけではない。
それとの関連で少し心残りだったのは、米国にいる間に少しでも覚えておこうと考えた居合の技も、大学での稽古がお休みになった影響で結局1回90分しかできず、覚えられたのが全剣連居合の1本目だけだったことだ。わざわざ超過料金も払って木刀を持ってきた割に、1回の稽古しか受けられなかったのは費用対効果的にはどうか。
とはいえ、木刀を握ったのが1回だけかといえばそういうわけではない。滞在中図書館には何度か足を運んだが、開館前とか図書館での作業を終えた後とかに、隣接する公園の借り込まれた芝生の上で、木刀を振ったりもして過ごした。その際のお供となったのが、本日紹介する1冊だった。
内容(「MARC」データベースより)
仮想敵はどう動くか、敵のどこをどう切るか。全日本剣道連盟制定の「居合」の形・全12本の刀法と技術のすべてを、豊富な写真で居合道委員・幹事が解説し、演武した、入門者から高段者まで必携の書。
そもそも50にもなろうとしている今になって、初めて居合いを習おうと考えたのは、自分があと10年剣道の稽古を重ねて六段受験資格を得る頃になって、同時に真剣を使いこなせるようになっていたいと考えたからである。仕事柄今後10年以内に再び海外で働く機会があるかもしれないが、そこでは剣道の稽古をする相手がいるかどうかも稽古する場所があるかどうかもわからない。でも、居合いなら1人でできるし、日本を紹介するようなイベントに呼ばれて行って実演するのにもちょうど良い。
インドでもここ米国でもそうだが、剣道の指導者を務めているような先生は、居合いも教えられることが多い。(インドの場合は、居合いの方がメインで、剣道の方の実力は定かでない人が先生を名乗っておられたが…。)だから、今後どこの国に行ったとしても、剣道をやっておられるなら居合いもできるだろうという前提で見られる可能性が高い。そうした状況を想定して、早めに居合いをならっておきたいと考えるようになった。
しかし、少なくとも僕の地元での剣道と居合道の稽古を傍から見ていると、剣道は剣道、居合道は居合道で、稽古している方々の顔触れは全く異なるし、剣道の稽古に通っていても、居合いの稽古をする機会はまったくと言っていいほどない。剣道自体が高段者並みにはできない人間が、先生方に向かって「居合いも教えて下さい」とはなかなか言える雰囲気でもないし、地元で二股をかけるわけにはいかないので、むしろ職場に近い場所で居合いを習うか、それとも地元で独学するしかないのかなと思っていた。
いずれにしても、はじめなければ何も起きない。その第一歩が今回の米国訪問だったのだ。
米国では剣道の稽古とほぼ同じメンツが剣道の稽古の前にバック・トゥ・バックで居合いの稽古も90分ほど行なうというのが普通の姿である。若い人よりもある程度剣道の稽古も経験されて、次のステップに進もうとされているシニアの方々が多い。すでに習っている方々ばかりがいらっしゃる中で、まったくの初心者がいきなり現れて全体の稽古の足を引っ張らないようにしたいと考え、今回はこの本を日本から持ってきて、予習や復習にこの本を用いたのである。
その意味では役に立った本だ。連続写真も、前方からと横からの2アングルで撮られるなど工夫もされていてよかったが、そうした連続写真でもわかりにくい動作もあった。本書に付属の動画サイトでもあればよいが、7年も前に刊行された本に今さら使用写真の動画というのは無理だろう。DVDを付録で付けてもらえたらとも思うが、いずれにしても口絵と同じモデルの先生に動画でご登場いただくようなものは今のところはない。
但し、全剣連居合に関しては動画サイトがあるようなので、今後日本で独習する場合は、スマホかタブレット端末で動作確認をしながら、少しずつ学んでいくようにはしたいと思っている。
URLはこちらです。http://www.youtube.com/watch?v=IEh6x8IZQDQ
短い期間ながら今回居合いの稽古を初めて経験し、反省と教訓についても最後に綴っておきたい。
第1に、右手首の三角靭帯を痛めた状態で木刀を振るのはかなり苦しい。今回は3月から4月にかけて右手首の痛みを再発させただけでなく、左手首も痛めた状態で米国に来てしまったので、剣道の稽古をやるのもテーピングでガチガチに固定して臨んでいた。テーピングもしてない状態で抜き付けや血振りを行なうのは手首にとんでもない負担がかかる。
第2に、木刀を使っているだけでは居合いの稽古としてはやはり不十分で、せめて疑似刀でも用意した方がいい。刀を斬る音はなかなか出せないし、帯刀、納刀の動作がなかなかうまく決められない。
第3に、居合いの動作は両ひざに相当な負担をかけるということがよくわかった。今回は、バレーボール用のひざサポーターを1つだけ持って来ていて、それなりに役には立ったが、サポーターを付けていない方のひざが、着座や立ちあがる際に乗せる体重のせいで悲鳴を上げ、なかなか稽古に集中できなかった。サポーターは2つ必要だ。
さて、折角学んだ居合いの基礎の基礎、帰国後どう生かしていけばいいか。取りあえず帰りの飛行機の中で考えてみようと思っています。
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