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森林管理を先住民の手に [インド]

森林問題に先住民の意見を
Tribals to have a say in forest affairs
Hindustan Times、5月21日、Chetan Chauhan & Srinand Jha記者
【ニューデリー発】 中央政府は州政府に対し、今後森林と森林資源の管理において先住民により大きな役割を与えるよう求めていく方針だ。これを、中央森林管理基金の配分と先住民の参加をリンクさせることで実現していく。先住民を意思決定プロセスから遠ざけていることが先住民の間でマオイストの影響力が拡大している理由の1つとなっているのが背景。パンチャーヤト機関を通じて地域資源の利用に先住民の参加が拡大することはマオイストに対する抑止力になるという論者は多い。
 パンチャーヤト関係省のC.P.ジョシ大臣と環境森林省のジェイラム・ラメッシュ大臣は火曜日(18日)、先住民居住地域においては、森林共同管理委員会(JFMC)を森林管理当局者から住民組織――村落議会か村落パンチャーヤトの手に移管するべきだとの共同見解を示した。 森林管理員は生活資源を森林に依存する先住民に対して嫌がらせを行なっていると度々非難されてきた。
*後半に続く。
これはオリッサ州南部のニャムギリ山系に居住するドンゴリア・コンド族の集落を実際に見に行く以前に掲載されたHindustan Times紙の記事であるが、実際に現地を見てきてしまうと、言うは易し行なうは難しという気がどうしてもしてしまう。先住民が元々持っていた森林管理能力を遥かに越える市場経済化の大きな流れの中でやむにやまれず森林を伐採してきてしまった結果と思われる光景を幾つも見てきたからだ。こうした政策を導入するなら、先住民に対する働きかけをしっかり行ない、きめ細かなキャパシティビルディングをしていかないと、単に禿山が拡大生産されるだけに終わってしまうのではないかと心配だ。

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《lこんなところばかりだし…》

 しかし、この方針を実際に実行に移すことは容易なことではないとする政府関係者もいる。中央政府はそもそも先住民居住地域における政策決定の権限を持っていないからだ。「JFMCに予算を配布する前に、森林管理保全計画の実施において各州政府がパンチャーヤト機関を関与させているかどうかをチェックします。もし関与させていなければ、予算は配布されません」――ある政府関係者はこう述べる。環境森林省は毎年、JFMCプログラムの下で100億ルピーの予算を州政府に配布している。
 「このイニシアチブは指定地域へのパンチャーヤト制度普及に関する法律(Panchayat Extension to Scheduled Areas(PESA))に基づき実施されるものです」とジョシ大臣は述べた。この法律は9州の先住民居住地域における地域計画に住民の参加を拡大させようとするもので、この9州は現在ナクサライトの強い影響下にある。「同法は開発プロセスに先住民の参加を確保しようとする1つのステップです」――こう述べるのはマニ・シャンカール・アイヤール前パンチャーヤト関係相である。同氏は、先住民居住地域におけるマオイストの影響拡大を抑えるためにもPESA法の全面的施行を求めた。「同法は、地元住民に開発におけるオーナーシップ意識をもたらすものだと考えます。」
*この記事の原文は下記URLからダウンロード可能です。
 http://www.hindustantimes.com/Tribals-to-have-a-say-in-forest-affairs/Article1-546345.aspx
森林を伐採して薪を市場で売り、現金収入を得るようなことが儲かるとわかると、右へならえで同じことをやろうとする先住民が増えていく。結果として森林伐採は増えるだろう。伐採された跡地にはハーブや果樹、野菜等を植えて自然に生育するのを待っているのが先住民のスタイルだが、以前も述べた通りこれでは雨の度に表土が流失して土壌の肥沃度は落ちる。それを肥沃度を保ちつつ余剰作物を最大限収穫するような農耕は、元々狩猟・採取で生活を維持してきた先住民にとっては新たな概念だろうし、ましてやそれで生産性を上げるような意識を彼らは持っていることはないだろう。

先住民を意思決定プロセスに参加させるのはかなり難しいように思う。

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