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『ホルモー六景』 [読書日記]

ホルモー六景

ホルモー六景

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/11
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
このごろ都にはやるもの、恋文、凡ちゃん、二人静。四神見える学舎の、威信を賭けます若人ら、負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、励むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。このごろ都にはやるもの。元カレ、合コン、古長持。祗園祭の宵山に、浴衣で駆けます若人ら、オニと戯れ空騒ぎ、友と戯れ阿呆踊り。四神見える王城の地に、今宵も干戈の響きあり。挑むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。古今東西入り乱れ、神出鬼没の法螺試合、若者たちは恋謳い、魑魅魍魎は天翔る。京都の街に咲き誇る、百花繚乱恋模様。都大路に鳴り渡る、伝説復古の大号令。変幻自在の第二幕、その名も堂々「ホルモー六景」、ここに推参。
『鴨川ホルモー』を読んだら、次は決まりということで、読んだのは『ホルモー六景』。『鴨川ホルモー』の登場人物を掘り下げていくスピンアウト作品を6つ並べた短編集である。手法としては海堂尊作品と似ているところはあるが、海堂作品は1つ1つを読んでも謎を残しておいて次の作品発表を読者に待たせるが、『鴨川ホルモー』にはそれほどの謎は読後に残らなかったので、『ホルモー六景』を読んだからといって謎が解決するというものではない。それぞれの短編自体が楽しみながら読める。6編を通じて意外とよく登場して活躍しているのが京大青竜会のちょんまげ男・高村君で、結構オイシイ役どころである。

こういう作品を読むと、学生時代ってやけに面白かったよなというのを懐かしく思い出す。京都は大学と大学の距離が近く、ホルモーのような学生交流が結構盛んに行なわれていたのかなと思う。僕には弟が2人いるが、2人とも京都で学生生活を送り、お嫁さんも京都で知り合った。しかも通っていた大学が違う。そうした大学の枠を越えた交流があったのだろう。3人兄弟の中で、僕だけが東京の大学に進学したが、僕が所属したサークルの学外交流があった他の大学はいずれも距離が離れており、一緒にコンパなんかやった記憶が殆どない。「〇〇大学の〇〇君」「△△女子大学の△△さん」と言われて、「ああ、あの人…」とすぐに思い出せるようなキャラは思い出せない。勿論、バイト先とかで他の大学の学生さんと一緒に働いたことは何度もあるし、一緒に飲みに行ったこともあるけれど。

そう考えると、京都の環境はなかなか羨ましい。今の学生さんも羨ましい。学生の本分を全うして下さいね。

もう1つ別の切り口で述べてみると、こういう京都を舞台にした作品を読んで、実際に「ホルモー」の登場人物があの時どこをどう歩いていたのかを追体験してみるというのも本書の面白い味わい方かなという気もした。架空の町ではなくはっきり京都であるし、大学も神社仏閣も実在する。祇園祭や葵祭も実在する。実在しないのは居酒屋「べろべろばあ」ぐらいのものじゃないだろうか。

個人的には「ローマ風の休日」と「長持の恋」が好きだった。
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