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『生涯現役社会のつくり方』 [読書日記]

生涯現役社会のつくり方 (ソフトバンク新書)

生涯現役社会のつくり方 (ソフトバンク新書)

  • 作者: 横石 知二
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2009/02/17
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
朝起きてもやることがない。だから顔見知りが集う病院に行く。すると病院が「談話室」と化す。これが医療費増大の一面である。こうした負の循環を断つには、高齢者が自ら稼ぐ「産業福祉」の仕組みづくりが必要だ。生きがいになる仕事があれば、健康を維持しつつ収入も得られる。高齢者は納税者となり、医療費は減少。「老後」は「明るい将来」となる。人口の約半分が高齢者の町で「葉っぱビジネス」をおこし、“好期”高齢者の社会を実現した著者が、二十数年かけて培った生涯現役社会のつくり方のノウハウを公開する。

25日(水)はマディアプラデシュ州インドールに日帰りで行ってきた。このお話はいずれご紹介させてもらうことにして、その時に持って行った本について今日は紹介したい。

正直こういう旅に持っていくには非常にハンディな1冊である。読みやすいし、頁数もそんなに多くない。メッセージとしても比較的シンプルである。「やることがあると健康に気をつける」とか「必要とされる人間になるのが元気で長寿を過ごすコツ」とか「人間を元気にする3つの要素は「出番」「評価」「自信」だ」という著者の主張に対して反論を唱える人は少ないだろう。それだけの実績を徳島県上勝町であげておられる方だ。

ただ、それでもちょっとだけ突っ込みを入れたくなったことがある。というか、本書を読むまで気付かなかったのだが、これまで上勝町を取り上げてきた文献やビデオ等の中で、あまりちゃんと描かれていないことが1つある。

気付くきっかけは、横石氏が「元気なお年寄りは負けず嫌い」だとか「高齢者には共同作業よりも個人作業」だとか語っておられたからである。「
 誰かと張り合うほうが、高齢者にはやりがいが出てうまくいく。それは自分のやったことを誰かに評価されるのがうれしいからです。(p.71)
これらをはじめとして、お年寄りを競争させる記述がかなり目立つ。実際に彩(いろどり)農家はかなり競っておられる。負けず嫌いなところをうまく引き出して事業全体のパフォーマンス最大化に成功しているように思える。

それで気付いた。そういえば彩農家の個々のお年寄りをフィーチャーした記述も番組もよく見かけたが、彩農家の方々が一緒にくつろがれているというシーンを見たことがない。農家のお年寄りが子供や孫と一緒に作業に勤しむというシーンは多いが、彩農家同士が共同作業をしたり、近所付き合いしたりするシーンは殆ど見たことがない。負けず嫌いで競っておられるのだから、近所付き合いがどうこうというわけにはいかないのかもしれない。それを本当に肯定的に捉えるだけでいいのだろうかという気がする。

そうじゃなくてちゃんと普通にご近所付き合いがあるのであればお赦し下さい。

インドール往復の機中で読み切った本書については、そういう状況で読んだだけに感じ入った記述がある。
 それに私たちがやっていることを形だけ真似したとしても決して成功はしません。仕組みづくりは基本前提として不可欠ですが、その仕組みの中で「気」を送り続けるプロデューサー、つまり旗振り役が欠かせないのです。(p.114)
インドールに行くことになった理由はこの「仕組みづくり」に少し関わっているからなのだが、立場としてはインド国内に駐在する以上日本にいらっしゃる関係者に対してもっともっと「気」を送り続けないといけないのではないかと本書を読みながら思った。そうしないと本当の意味でのプロデュースができない。そんな危機感を抱いた。

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