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危機感欠如の国営会社 [インド]


先週は9月26日から組合非加入のエグゼクティブパイロット約180人が「病欠」と称してストを決行し、240便が欠航を余儀なくされた国営航空会社エア・インディア(AI)。2000万ドル以上の損失を出して9月30日(水)にようやくエグゼクティブパイロットが現場復帰を始め、平常運行に戻り始めたばかりだというのに、今度は乗客そっちのけで乗務員同士が殴り合いを始めたという。理由はどうあれ、AIの企業イメージをさらに悪化させる愚かな行為だ。

セクハラ的発言をしたといわれるパイロット側も、それを重大に受け止めた女性乗務員側も、自分が今何をせねばならないのかをちゃんとわきまえて行動すべきた。軽々しくコードすれすれの発言か行為をやってしまったパイロットも、その場で怒りが沸騰して乗客の安全をそっちのけで騒ぎ立てた女性乗務員側も、緊張感が足りない。どちらの行為もインドではありがちで、それを今やることがどのような結果を招くかなんて、ぜんぜん考えておらず、半ばそれをすること自体が目的化してしまう。その背後に、コードすれすれの言動を許してきたインド男性のいやらしさというのもよく表れている。

そんなことをやっている暇があるのか―――というのは、AIを取り巻く厳しい経営環境というのがあるからだ。燃料費の高騰やビジネスクラス以上の乗客数の減少、低コスト航空会社との競争、航空貨物取扱高の減少などにより、AIは今年3月に15億ドルの累積損失を計上し、借入残高も13億ドル(2007年11月)から32億ドル(今年6月)に急増している。機体1機当たりの従業員数は141人と業界平均を大きく上回り、6月には15日間の給与遅配も行われている。前回の「病欠スト」の直接の原因は、エグゼクティブパイロットの給与の4割から7割を占める生産性連動型報酬(PLI)について、最大7割カットするという決定を24日に経営側が一方的に下したことだが、その背景には経営側も背に腹変えられない厳しい財務状況があるのは言うまでもないことだ。

労使を上げて今後経営合理化に向けた取組みを一緒に考え、行なっていかなければならないのに、肝心の労働者側でこんないざこざを起こしてどうするのか――そう思った人は結構多かったのではないだろうか。
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