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オリッサ高齢者の農村リトリート [インド]

オリッサ高齢市民による農村でのリトリート-ピピリ村が提供
Rural retreat for Orissa’s senior citizens - Pipili Village dedicated to the elderly
コルカタ発、The Telegraph、2009年5月16日

Bhandare.jpg 【ブバネシュワル(オリッサ州)】高齢市民向けモデル農村がブバネシュワル-プーリー道路の沿線にあるピピリ村に間もなくオープンする。ピピリ村のジャフアプール集落に100人以上の高齢市民が集まり、カルターヴィア財団(Kartaavya Foundation)が世話する。

「引退すると、高齢者には多くの時間があり、余生を送る場所と友が必要になるのです。」-このプロジェクトの発足式典で、同財団のM.C.バンダレ(M.C.Bhandare)総裁(写真)はこのように述べ、より多くの若者が参加して高齢市民のニーズに応えるよう求めるとともに、高齢市民に対してもその豊富な経験に基づき若い世代の人々を啓発するようアドバイスを行なった。

オリッサ州には現在51の老人ホームがあり、うち3施設は州営で残る47施設(あれ?数が合わないような…)が中央政府の運営によるものである。州政府はまた高齢市民向けデイケアセンターを1ヵ所持ち、IAS Wives' Asssociationが運営している。オリッサ州は高齢市民人口比率がインドで8番目に多い。第1位はケララ州で、これにヒマーチャルプラデシュ、パンジャブ、タミルナドゥ、マハラシュトラ、ゴア、ポンディチェリーが続いている。2001年の人口センサスによれば、州民総人口の8%が高齢者(60歳以上人口で見て)である。しかし、この日式典に参列した社会運動家のルトゥポルナ・モハンティ(Rutuporna Mohanty)氏によると、「2009年現在で、この比率は10.5%に達している」とのことだ。
*後半に続く
下院総選挙の結果として興味深いのは、全体としては国民会議派中心の与党連合UPAが圧勝したと言われているが、州レベルで見ていくと意外とUPAが苦戦した州というのがある。アンドラプラデシュやビハール、グジャラート、オリッサ等だが、これらの州で共通して言えるのは、州首相率いる地域政党が善戦したということで、とりわけオリッサ州のナヴィーン・パトナイク首相のBJD(Biju Janata Dal)が21議席中14議席を確保した。国民会議派も5議席を確保したが、二大全国政党の片割れBJPは獲得議席ゼロの惨敗だった。

ラジオの論調等を聞いていると、パトナイク首相はオリッサ州政府の透明性向上に尽力して行政改革で成果を挙げたことが州民から高く評価されているのだという。「行政に動いてもらうのに賄賂を払わなくてもよくなった」という言葉には複雑なものも感じるが、そうしたことが最近まで行なわれてきたというのが驚きである一方で、一時の恩恵ではなく透明で公平は処置をしてくれる政府というのを欲しているのだというのがよくわかる。

余談になってしまうが、タミルナドゥ州で某政党が当選したら州民にテレビを支給するという政権公約を立てていたらしいが、ラジオの解説では、「もうそんな時代ではないことは有権者もよくわかっているというのが今回の選挙で証明された」と語っていた。
一方、警察局も高齢者に支援の手を差し伸べている。既に女性や子供を対象としたヘルプデスクを設けている警察局では、間もなく10ヵ所の警察署に高齢市民保護窓口を開設する予定である。こうしたヘルプデスクでは、その地域の高齢市民の住民情報を保有し、副署長が所管するとのことだ。ビジェイ・シャルマ(Bijay Sharma)警察局長によれば、こうした住民情報には、各高齢世帯が雇っている使用人や泊めているテナントの詳細も含まれるという。シャルマ局長は、第1フェーズとして、こうした窓口はカハルヴェル・ナガル(Kaharvel Nagar)、チャンドラシェーカルプール(Chandrashekharpur)、シャヒード・ナガル(Saheed Nagar)、ナヤパリ(Nayapalli)警察署に開設される。「こうした監視体制によって高齢者の脆弱さは軽減されます。例えば、使用人の前でお金の話をしないことや、貴金属宝石類は家の中ではなく鍵付き金庫に保管することなど、重要なポイントについてお年寄りの皆さんにアドバイスを行ないます。」――同局長はこう語った。
このサービス自体は目新しいものではないが、オリッサでは珍しかったのだろう。時として高圧的な態度を取る地元の警察がこうして住民目線でのサービス提供を意識するようになったというのもパトナイク首相の功績の1つなのかもしれない。

それにしてもこの新聞記事はひどいな。ヘッドラインと中身が全くマッチしていない。後半は州どころかブバネシュワル市警察の高齢市民向けサービスの提灯記事になってしまっている。元々はブバネシュワル在住の高齢者に農村での共同生活を味わってもらおうという企画に関する記事だった筈だが、その企画の中身については殆ど言及もせず、オープニング式典でのゲスト・スピーカーの発言だけを拾うからこんな変な記事が出来上がってしまう。しかも、老人ホームの数など、単純な足し算もまともにせずに記事が書かれている。この財団の代表者の発言も、これだけ聞いていれば抵抗がかなりある。若者は我々の世話をしろ。その代り我々の経験を教えてやる。そう言っているわけで、全体の発言要旨のうちこの部分だけを拾って書くと、若者からの抵抗は必至だろう。

この社会運動家がいう2009年現在のオリッサ州の高齢化率「10.5%」も根拠不明の数値だ。因みにインド政府統計局が行なっている人口推計によれば、オリッサ州の高齢化率はこんな推移をする。2009年現在で二桁台に到達しているなんと、とうていあり得ないことである。
7.8%(2001)→8.3%(2006)→9.0%(2011)→10.1%(2016)→11.8%(2021)→13.8%(2026)

実は僕はこのピピリ(Pipili)という村を通ったことがある。1月にプーリーに1人旅した時のことだが、実は街並みにちょっとした風情があり、途中下車してちょっとショッピングでもしてみたいなと思える町であった。多分観光客がそこそこのお金を落として行ってくれるだろうからそれなりに潤っている町ではないかと想像する。

なぜそこでリトリートをやるのか―――それがこの記事のミソだと思うのだが、どうしてなんだろうか。みんなで集まるだけならブバネシュワルの中にだって集会所はあるだろうに…。農村でのリトリートといったら、ムンバイで働くホワイトカラー労働者向けでそういう企画をやっているところがあると聞いたことがあるが、高齢者向けに企画したその意図が知りたいと思う。ましてやブバネシュワルとピピリでは距離もそれほど離れてはおらず、気分転換できるほど田舎であるわけでもない。
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