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オーガニックコットン市場への挑戦 [シルク・コットン]

すみません。ちょいと古い新聞記事の紹介ですが、次のエントリーまでの繋ぎのネタということで、久し振りにオーガニックコットン(有機綿花)について述べたいと思います。
有機農業規程違反の2団体を処分へ
Govt cracks down on two agencies for violating organic farming norms
ムンバイ発、2009年4月16日、The Economic Times、Nidhi Sharma記者

 商工省所管の国立認証機関(National Accreditation Body、NAB)は、遺伝子組換えしたBtコットンをオーガニックコットンとして認定した疑いで2つの認定機関を処罰することを決めた。NABは認定プログラムの評価及び認証手続きを監督する国立機関であるが、同機関によれば、ムンバイに拠点を置くControl Union Certifications(CUC)とアウランガバードのEcocert SA Indiaにそれぞれ150万ルピー、75万ルピーの制裁金を課すとのこと。
 農業・加工食品輸出開発庁(Agricultural & Processed Food Products Export Development Authority、Apeda)ホームページに掲載されたNABの声明によれば、この2団体は全国有機生産プログラム(National Porgramme for Organic Production、NPOP)が定めたオーガニック生産の規準に抵触する重大な過失を犯したという。Apedaが、マディアプラデシュ州とマハラシュトラ州で両機関が行なっている認証綿花生産プロジェクトを調査した結果判明したもの。
(*後半へ続く)

有機農業産品で輸出を考える場合、それが本当に有機なのかをどのようにして証明したらいいのかというのは大きな問題だ。インドの規制当局は遺伝子組換え種子(Bt)が混入していた綿花をオーガニックと認定してしまった機関に対して制裁金を課すという決定を下したが、当然の措置だと言えるだろう。綿を見たとき、それが本当にオーガニックかどうかは見ただけでは識別できないという話を聞いたことがある。認定機関が行なうオーガニック認定だけが、消費者にとってはその正統性を証明できる唯一の情報であるわけで、それが認定を適切に行なうだけのキャパシティがないと認めてしまったら、オーガニックコットン市場の根幹に関わる。

 Escort Indiaのセルヴァム・ダニエル代表は、取材に対し、綿花商であるRaj Eco Farm社がマディアプラデシュ州で行なっている大規模な綿花生産事業における認証手続きに問題があったと認めている。「私達は今後より有効なモニタリングができるよう認証対象事業の規模を縮小することにしています。」 一方、CUCの高官は現時点でのコメントを控えた。
 Apedaが認証した認定機関は全国に16団体あり、NABの規制監督の下で有機生産の認定活動を行なっている。Apedaは今回、両機関に対して3カ月以内に是正措置を行なうよう求めている。CUCにより高い罰金が課せられた理由については、ApedaのS.デイヴ局長によれば、同機関のNPOP手続き違反は今回が2度目であったからだという。
 オーガニック生産と認証に関するNPOP規準はECやスイス、米国農業省(USDA)の規準と同等と認められており、この認証を得ることでインドのオーガニック産品はこれら輸入国での受入れが可能となる。このため、認定機関の役割はオーガニック産品輸出振興においてきわめて重要である。
 Apedaによれば、インドは年間約39万トンの認証済みオーガニック産品を輸出しており、その中にはバスマティ米やパルシー(豆類)、蜂蜜、紅茶、香辛料、綿花、衣料品等が含まれている。インドは2007‐08年度に86品目3万7533トンを輸出しているが、その中心を占めるのがオーガニックコットンである。有機産品は主にEU、米国、オーストラリア、カナダ、日本、スイス、南ア、中東諸国等に輸出されている。

ただよくわからないのは、150万ルピーとか75万ルピーとかいった制裁金の金額が適切なのかということである。記事の内容を読む限り初犯は75万ルピー(150万円)ということだが、Btコットンをオーガニックと偽って売っていれば利鞘は相当あるわけで、綿花商はそれなりに儲けているのではないかと想像する。その利鞘がかなり大きいなら、この程度の制裁金は業者が認証機関に補償することだってできるかもしれないわけで、相当に断固たる措置を取らないと、こうした構造は温存されてしまうのではないかと危惧される。

いずれにしても経済学的に言えば「情報の非対称性」を克服して市場メカニズムを適切に機能させるための制度がこのようなことで壊れてしまうのは非常に重大だ。ましてやオーガニックコットンでは世界最大の輸出国がインドであるので、こんなことは断じて起きてはならない。
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yukikaze

仰るように制裁金が適切とは思えませんね。
利鞘を計量してそれらの利鞘を取り上げてからの追徴制裁ならわかりますが。
by yukikaze (2009-05-13 13:14) 

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