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高齢者向け市民講座(プネ) [インド]

仕事でもプライベートでも、地方に出かけた時は地方ならではの記事を新聞から拾うよう心がけている。明日から西ベンガル州シャンティニケタンにまた出かける予定だが、その前に先週出かけたプネで拾ったネタの整理が全くできていないので、少しだけ紹介することにしたい。

12月6日付のTimes of India紙にこんな記事があった。「高齢者を力づけるための学習コースが始まる(Course to empower elderly launched)」というタイトルである。内容は、プネ大学保健学際学部(Interdisciplinary School of Health Sciences)国際長寿センター(International Longevity Centre, ILC)高齢者のエンパワーメントを目的とした単科コース(certificate course)を開設するというものである。

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このコースの開講期間は3カ月で、主に高齢市民を受講対象者として想定している。コースでは、高齢者に関わる健康上、経済上、社会上の課題を扱い、40人の定員に対して100人の応募があったという。

コース開講にあたり、プネ大学のナレンドラ・ジャダブ(Narendra Jadhav)副学長は、「これから数年の間に高齢市民の占める割合は増加するでしょう。人々は早期退職を選択し、60歳から85歳あたりまでの間に新しいことに挑戦するようになってくるでしょう。このコースはまさにこうした人々のニーズに完璧に応えるものです。」と述べた。

プネ大学の前副学長で現在ILCの理事長を務めているアルン・ニグベカール(Arun Nigvekar)氏は、「このコースを開講した目的は、専門家を育成することではなく、人々に高齢者と高齢者を取り巻く様々な問題に関する法律や政府の政策について知ってもらうことにあります。」と説明した。

既に述べた通り、このコースは「健康」「経済」「社会」という3つのモジュールから構成されている。「健康」モジュールでは、精神、心理、栄養といった側面が扱われる予定。また、高齢者が罹りやすい主な疾病、その兆候、初期措置等も指導されることになっている。

「経済」モジュールでは、早期退職に向けた人生設計、投資機会、高齢者向け居住施設等について扱われる。また、「社会」モジュールでは、より質の高い人生を達成すること、高齢化施策等がカバーされる。ILCの名誉代表であるゴカレ博士(S. D. Gokhale)は、高齢者のための新たな政策の形成を政府に対して求めている。「私達は、マハラシュトラ州首相に対し、新たな政策提言リストを近く提出する予定です。」

この記事に加え、囲み記事として、プネ大学ジャダブ副学長が、米国ILCが毎年世界各地をまわって開催している高齢者国際セミナーを来年はプネに誘致する予定であると発表したことが述べられている。今年はILCが支部を持つ10カ国からセミナーへの参加があり、ニグベカールILC India代表が出席した。
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プネ大学が開設したコースは、僕が昔住んでいた三鷹市で三鷹ネットワーク大学や社会教育会館が開設していたコースと非常に近い取組みである。大きな違いはILCというインド全体や世界全体の高齢者問題を概観して政府に政策提言も行なっているような専門性の高いNGOが実施団体として参画していることであろう。かなり質の高いコース内容になりそう。

少し郊外に行けばまだまだのどかな農村が見られるプネにおいて、既に都市部が直面する高齢者の問題は先進国のそれと殆ど同じ状況に到達しているというのを実感させられるニュースである。


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