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年金制度、全ての個人加入者をカバーへ [インド]

年金制度、全ての個人加入者をカバーへ
Pension Scheme to cover all individuals
ニューデリー、10月5日、Sandeep Singh記者(Hindustan Times)
 年金基金規制・制度開発委員会(PFRDA、The Pension Fund Regulatory and Development Authority)は現在、中央政府でも州政府でも雇用されていない個人を新しい年金スキーム(NPS)に取り込む計画の最終調整に入っている。この計画の下で、加入者は退職後の生活設計と投資を行なうことが見込まれている。
 NPSは現在、中央政府と州政府の被用者で2004年1月1日以降に強制的に加入した者のみをカバーしている。PFRDAのD Swarup委員長によると、「NPSはより安い費用で全ての国民に開放されます。私達は新スキームの施行開始日を2009年4月1日に定めたところです。」
 新スキームを個人に開放するにあたり、PFRDAは全ての制度の整合性を図り、新スキームの普及に取り組むことを計画している。これによって、資金の徴収と基金の運用が行われるようになる。Swarup委員長は言う。「私達は資金徴収を行なう銀行の選定基準について最終調整を行なう段階にはいっています。」このスキームには、民間銀行と政府系銀行のいずれもが参加可能であり、選定プロセスは2009年1月31日までには終了するという。登録された銀行は、NPS制度の窓口となり、加入希望者はこの銀行を訪れて、申込書に記入することで制度に加入できる。各加入者はNPSの個人勘定番号を表すID番号が与えられ、この銀行のどこの支店に行っても掛金の払い込みができるようになる。個人加入者による最低拠出額は未定であるが、同委員長によれば、「制度の運用には費用もかかるので、制度の持続が可能なだけの最低拠出額でなくてはなりません。私達はまた、個々人ベースでは少額の拠出しかできないような人々がグループとして加入できるような制度も計画しています。」
 こうした最低拠出額の新しいノルマは2009年4月1日から全ての投資に対して適用される。「人々はNPSが何だか未だ知りません。普通の人にも理解してもらえる言葉で制度を知ってもらうよう努力していかなねばなりません。」
久々にインドの年金制度改革について現状を述べた記事を紹介します。10月6日(月)付のHindustan Times紙ビジネス版1面に掲載されていた記事である。NPSについては少しだけ耳にしていたが、それが一般個人へのカバー拡大に向けて様々な制度設計上の工夫を行なっていることを紹介しているものである。要するに、大企業の被用者や公務員、軍人しかカバーされておらず、労働者人口の10%程度しかカバーしていないと言われているインドの年金制度を改革し、自営業者や農民、中小企業の雇用者・被用者等を広くカバーした制度にしようという取組みである。方向性としては悪くないし、個々人では担応力が弱いと見られている人々をグループでカバーするという制度も組み込んで、最も制度に取り込むことが難しいと見られている人々に対してもそれなりに配慮した制度設計が考えられているようではある。

ただ、やっぱり制度としての持続は難しいのではないかという気がしてならない。たとえ個々人では弱い負担能力をグループでプールするという発想は良いとしても、問題はたとえグループで扱っても全員の負担能力が弱ければグループ全体としても弱いのではないかと思う。老後の備えと言われてもそれどころじゃなく今日1日をどうやって食いつなぐかで頭が一杯の人々はまだまだ多い。そういう人々にでも加入してもらえる水準の掛金に設定しようと思ったら、公的資金もある程度投入していく必要がある。或いは、生活保護のような部分は別プログラムで受益者をしっかり支援して、その上でNPSに繋げていくような相互に整合性の取れた制度の運用が求められているような気がする。

少し前のブログの記事で、インドの労働者総人口の92%(4億2270万人)がインフォーマル・セクターで働いていると述べたばかりである。そんなセクターでその日暮らしのなけなしの所得しか得られていない多くの労働者が、老後を見越して資金を貯めようなどと、考えようと思っても考えられないのではないか。

⇒新年金制度(NPS)の概要についてはこちらから!
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