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首都では女児はお呼びじゃない [インド]

またどこかで聞いたことがある話の紹介である。国立公的協力・児童開発研究所(NIPCCD、National Institute of Public Cooperation and Child Development)が実施した調査によれば、デリー州やハリヤナ州といった首都圏では、女児は依然としてあまり求められていないと結果が出ているそうだ。8月23日付のHindustan Times紙が伝えている(「Girls still unwanted in Delhi」、Chetan Chauhan記者)。記事にはイラストとデータ入りの要約「胎児殺害の話(The foeticide story)」が掲載されており、それだけ眺めるのでも結構ショッキングである。

「人々は性別判定に500ルピーをかけ、後の50,000ルピーを節約したいと考えている。」
 -インド全体での0-6歳児の男女比は、男児1000人に対して女児933人
 -デリーの0-6歳児の男女比は、男児1000人に対して女児868人
 -ハリヤナ州の0-6歳児の男女比は、男児1000人に対して女児820人
ChildSexRatio2001.jpg
因みにこの図は2001年の人口センサスに基づく0-6歳児の男女比(Child Sex Ratio)を州別に見たものである。パンジャブ、ハリヤナ、デリーの3州では著しく低いということがよくわかる。赤色の州は841以下である。これらに続くのはグジャラート州で、842から890の間に位置する。もっと細かく見ていくと、パンジャブ州ファテガール・サヒブ県(Fatergarh Sahib)では754、ハリヤナ州クルシェトラ県(Kurukshetra)では770、グジャラート州アーメダバード市で814、デリー州南西県で845という結果である。ムンバイも898だそうだ。つまり、経済的な繁栄は必ずしも産み分け(sex selection)の改善を意味しないということである。しかも、この数値は最近になるほど悪化している。インド全体でみると、男女比は1961年には976だった。それが1991年には945になり、2001年には927にまで低下した。(出所:UNFPA, "The Missing Daughters of India: Sex Selection and Female Foeticide")

1)第1子で人工妊娠中絶を行なう割合は、デリーで23.6%、第2子では30.8%、第3子では52.9%、第4子では66.7%にまで達する。これがハリヤナ州ではそれぞれ33.3%、50.0%、33.3%、50.0%だという。即ち、第2子まで女児出産が続いたので第3子以降は男児でなければ産まないという意味での産み分けではなく、そもそも第1子をもうける時点で既に産み分けがかなり行なわれているということである。

2)人工妊娠中絶が行なわれた対象の胎児の性別を見ると、54%は女児で、男児は17.5%だという。その他は性別がわからない状態で中絶が行なわれている。人工妊娠中絶の61%は民間のクリニックで行なわれて、23%は政府系病院、16%は自宅で助産師の手を借りて行なわれている。

3)性別の判定は、民間のクリニックか助産師によって行なわれているとのことらしいが、超音波画像装置など持ってない助産師は性別の判定をどのようにやっているのだろうか。
 -胎児の動き方が弱い場合は、女の子
 -胃の左側の方が大きい場合は、男の子
 -胃の右側の方が大きい場合は、女の子
 (*もう1つあったのだが、英語の意味がわからないので省略する。)

4)性別判定を行なうクリニックについて知っている割合は、女性の88%、男性の78%もいるが、助産師の30%程度しか知らないそうである。

5)女性が男の子を欲しがる理由として、デリーでは、90%の女性が、息子は自分が年老いた時に介護してくれることが期待できるからと答え、75%の女性は、息子は家族の財産を浪費させるよりもむしろダウリー(持参金)をいう一時現金収入をもたらすと期待されるからと答え、息子なら家族の姓を守ってくれると答えた女性が37%いた。

6)男性が男の子を欲しがる理由として、89%が息子であれば家族の姓を守ってくれると答え、88%が息子であれば自分が年老いた時の介護を期待できると答え、60%が息子であれば結婚しても一族の中に富が保持できると答え、17%が息子ならダウリーをもたらすと答えている。


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