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Credibility Alliance [インド]

2月最後の29日、Credibility Alliance(以下、CA)のドナー・コンサルテーションというのがデリーで開催された。CAというのはその理事に当地の有力NGOの代表が名を連ねるNGOの連合体のようで、この日のチェアはHelpAge IndiaのMathew Cherianが務めた。僕がずっと会いたかった人である。

この会議に出席したのは、ラタン・タタ財団、パッカード財団、フォード財団、マッカーサー財団、ロータリー財団、スマイル財団、アガ・カーン財団、デル財団、ICICI財団、CharkhaPlan India、CARE、Development Alternativesといったところである。ご覧の通り、二国間援助機関は含まれていない。殆どが民間財団で国内で活動している様々な市民社会組織(CSO)やNGOに活動助成を行なっている「ドナー」である。一部には事業実施型のNGOもいるが、彼らもインド各地で活動を行なう際には現地のNGOと連携したり、現地のNGOに英国国際援助庁(DFID)のグラントを配分したりする仕組みを持っていたりするので、現地のNGOやCSOから見ると「ドナー」と呼ぶに近い位置付けであろうと思われる。

コンサルテーションの目的は、NGOの認証制度(accreditation)構築の提案とドナーからの資金拠出を募るというところにあった。冒頭でパッカード財団やICICI財団の代表から、現地NGOから活動助成申請を受けた場合のDue Diligenceはどのドナーにとっても大きな負担であり、各NGOのトラックレコードや財務諸表に基づいた全国共通の認証と認証取得を支援する独立機関があれば、助成決定が行いやすくなるとして資金拠出に前向きな発言が目立った。これは債券の格付け制度とか株式会社の上場基準をイメージすると理解しやすいと思う。こうした認証認定機関のような公共財の供給をCAが行なうためには資金が必要で、それを募りたいということのようであった。こうした公共財は既にマイクロファイナンスの世界ではグローバルのはMixMarketが機能し始めており、インド国内でもCRISILがMFIのDue Diligenceを行なっている。民間投資家の資金をマイクロファイナンスのセクターに大量動員するのに貢献している機能であるが、これを民間の慈善マネーにも適用して成果の期待できるNGO/CSOに迅速に流す仕組みがNGO認証制度ということになる。勿論、認証取得に至らないNGO/CSOの能力強化を支援する機能もこの独立機関には期待されている。

そうした趣旨はとてもよく理解できるし、少額であっても資金拠出できればその後のNGOセクターの発展に大きな貢献が期待できる。しかし、日本のODAにはこうした資金拠出が即時にできる仕組みがない。趣旨には賛同しても貢献ができないもどかしさがある。(ICICI銀行のNachiket Morのような超大物がわざわざ出てきて支援をその場でコミットしたくらいだから、こうした感覚は民間の投資家には理解しやすいのだろう。)

こういう会議の話を聞くとと、インドのような国では、もはや外国からの援助ではなく、ドナーとして大きな影響力を持つのは民間資金なのだということを痛感させられる。それも、外国の大きな財団だけではなく、インドの民間財団が急成長しており、国内で企業が儲けた余剰金を社会に還元しようという動きが強まっているというのを認めざるを得ないと思う。インドではインフラ開発も官民連携(Public-Private Partnerships, PPP)で整備が可能であり、特定プロジェクトへの援助は要らないという極論すらあるらしいが、これと似たことがNGOセクターでも起きている。個別のNGOを選定してパートナーとして事業実施するというアプローチではなく、こうした活動全体を活性化するための公共財の供給を支援する方が公的資金のレバレッジはむしろ大きいのではないかと思う。
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Sarah

こんばんは、先日はご訪問&nice!をありがとうございました。
うーん、ちょっと難しくて、分かったような分からないような・・・。
頭、悪くてごめんなさい。金融関係、特に弱くって。(^^;)
いや、他にも知らないことが多いけど。
by Sarah (2008-03-03 23:46) 

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