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『ナイフ』 [重松清]

ナイフ (新潮文庫)

ナイフ (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 文庫

内容(「BOOK」データベースより)
「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。

ただ今読書中である。ただ、短編2編を読み終わった時点での感想を述べると、あまり面白くない。坪田譲治文学賞受賞作ということで重松清という作家を有名にした作品なのであるが、率直な感想としてあまり面白くないなという気がしている。最後まで読みきったら別の感想があるかもしれないが、残りの数編もいじめ、学級崩壊、不登校等といった学校生活の暗部を描いているという点で最初から何かしらの暗さというハンデを負っている短編集だとは思う。でも、どういったらいいんだろうか、よく「カタルシスがない」と重松氏自身が認めているように、肝心のクライマックス・シーンがあっという間に終わってしまい、それで子供や主人公を取り巻く環境が少し変わって見えてくるという終わり方の短編が多いような気がする。何がどうしてこうなったのかがあまりわからないのに、登場人物が妙に納得してものの見方に少しだけ変化が生じてくるというのでは、読者としてはかなり納得がいかない。

11月16日補足
いろいろと忙しかったのと、内容的に 気乗りがしない作品が続いたのと、そもそも作品ひとつひとつが長めだったこともあって、思いの外読了するのに時間がかかった。正直な話、やっぱり読んでいてワクワク感がある話は少ないなぁと思う。但し、「エビスくん」だけは、ストーリーの大半はすごく嫌な感じが抜けなかったのだが、エンディングは清清しいものを感じた。

評判ほど面白い作品ではなかった。こういう問題に正面から向き合う小説はそんなにないから、貴重といえば貴重であるが、読めと言われてはいそうですかと言ってなかなか読めない作品だなと思った。
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