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奥地の女性新聞記者 [インド]

最近、ブログの更新頻度が落ちているのが気になっている。今僕は仮住まいのホテルからオフィスまで徒歩で通勤しているので、日が暮れてからの徒歩は危ないと考え、真っ暗になる午後7時30分以降の残業は基本的にはやらないことにしている。だから、ホテルには比較的早めに引き上げてきており、それから就寝する11時までは自由な時間がある。でも、ブログを書こうとするとそれなりに情報整理はせねばならないから、なかなか毎日というわけにもいかない。更新頻度が落ちれば客足が遠のくのはこれまでの経験でも明らかであるが、内容と頻度のバランスを取るのはほんと難しいと感じている。

そんな中、本日紹介するのは、Hindustan Timesの7月22日朝刊の記事である。考えてみれば日本の新聞でもこうした取組みを地方版で取り上げているケースは多いと思うが、ここインドでもこうした地方の取組みが取り上げられ、それなりに脚光を浴びるのは素晴らしいことだし、こういう記事が載っていると思うと、毎日新聞のヘッドラインを調べるのはわくわく感があってなかなか楽しい。(こういう記事に出会ってもすぐにブログで紹介できない自分の情報処理能力が恨めしいが。)


奥地の新聞記者(Newshounds of the hinterland)                               チトラクートの8人の女性記者達は農村アクティビズムに新たな1ページを書き加えている

ウッタルプラデシュ州チトラクート(Chitrakoot)のお話。この地域にはKhabar Lahariyaというローカル紙が2日に1回発刊されている。250ヶ村をカバーし、発行部数は2,800部というブンデリー語(Bhundeli)の小さな新聞である。この新聞が注目を浴びるのは、この新聞に記事を書き、編集し、印刷しているのが8人の女性達だからである。

元々この新聞はもっと大きな地域をカバーする別の大手新聞と一緒に配布される地元紙をという声に応えて発行が始まった。「村の人々でもニュースには関心を持っているのです」と編集長のミトラさんは言う。因みに、この女性記者達の多くは「ダリット」と呼ばれる不可触民で、インドでは最も差別された人々である。

彼女達の1日は午前4時に始まる。家事を終えた後、約100~150kmも離れたKhabar Lahariyaのオフィスに向かう。取材の際にはもっと長い距離を移動せねばならない。

このローカル紙を立ち上げるに当たって、デリーを拠点とするNirantarという女性のエンパワーメントを目的とするNGOが大きな役割を果たした。(Nirantarの活動については、こちらの記事が詳しいのでご参照下さい。)

こうしたローカル紙の活動は、村の人々にどのような変化をもたらしたのだろうか。ミトラ編集長はこう言う。「2年前、私達はある村で起きたレイプ事件を記事で取り上げました。地元の警察は賄賂を受け取っており、最初のうちはこの女性の訴えを事件として取り上げることすら拒否していました。しかし、私達の記事がきっかけとなり、警察や地元政治家等はこの女性の訴えに耳を傾けるよう圧力を受けるようになってきたのです。」同様な事例はかなりの数に上る。今では村人の方から記者にアプローチしてきて、自分達が直面している村の問題について、積極的に情報を提供してくれるようになってきたという。

ただ、そうした情報提供に対しても、記者達は複数の異なる利害関係者を取材し、バランスの取れた記事にするよう心がけているという。そういう姿勢が評価され、2003年に同紙は優れたメディア関係者を表彰するChameli Devi Jain賞を受賞した。

勿論、こうした評価の裏で、彼女達が抱える問題も多い。社会的圧力や脅迫、取材拒否等の他に、彼女達自身の家庭内での無理解という問題もある。彼女達は全員が結婚して家族を持っているが、夫達はすべからく女性が外に働きに出ていることを快くは思っていないという。これらをやり過ごす方法もだんだんわかってきたとはいうものの、インド農村女性の直面する問題をここにも垣間見ることができる。それだけではなく、彼女達自身の能力強化面での課題もある。政治面での出来事を理解し、分析する能力は未だ十分備わっているわけではないと自己分析しており、中には取材のかたわら大学で政治学を勉強している女性記者もいるという。

様々な問題を抱えつつも、Khabar Lahariyaは着実に前進を続けている。


Khabar Lahariyaに関しては、7月中旬から下旬にかけて多くの記事がウェブ上でも取り上げられているようなので、幾つかを紹介したい。おそらくNirantarあたりが企画したプレスリリースかプレスツアーがあったようで、これ以外のサイトにも幾つか同様の記事があったが、レポーターに重複も見られることから、下記に絞ってリンク先を紹介させていただくことにする。

Chitrakootの場所は、インドの地図でいうとこの辺りである。(地図上のマイナスボタンをクリックし続けると徐々にズームアウトして、デリーとの位置関係がわかりやすくなってきます。)

Chitrakoot, Uttar Pradesh


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