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『スーパーおやじの痛快まちづくり』 [読書日記]

スーパーおやじの痛快まちづくり

スーパーおやじの痛快まちづくり

  • 作者: 安井 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/08
  • メディア: 単行本


内容(「BOOK」データベースより)
ゴミ・リサイクル問題も、子どもたちの問題も、町の活性化も一挙に解決!「あの乙武洋匡氏の育ての親」といわれる食料品スーパーのおやじがニッポン中を巻き込んで、楽しくて儲かる「まちづくり」を実践中。読めば絶対、元気が湧いてくるぞ!空き缶集めてハワイへ行こう!これが噂の「早稲田ルール」全公開。

安井潤一郎――どこかで聞いた名前だなと思っていたら、一昨年の郵政民営化選挙で自民党の比例代表名簿の最後の方に載っていたのに当選してしまったスーパーの店主であった。こうした事実だけを表層的に捉えたら、武部幹事長の友達だから名前を貸してたまたま議員になってしまったラッキーなオジサンとしか思えないところであるが(事実僕は当時の報道を見て勝手にそう思い込んでいた)、この人は地元・早稲田でそれなりのまちづくりの実績をあげてきた人であるというのがよくわかる。


安井潤一郎(やすい じゅんいちろう、1950年2月19日~)は食料品スーパー稲毛屋店主であり、防災NPO法人「東京いのちのポータルサイト」理事長「早稲田いのちのまちづくり実行委員会」の実行委員長、衆議院議員東京都新宿区出身。

早稲田高校を卒業後、早稲田大学社会科学部に進学したものの中退。1972年、スーパー稲毛屋に入社し、1981年社長に就任。1993年、早稲田商店会会長に就任。2005年、数あわせで第44回衆議院議員総選挙の東京比例ブロック自由民主党名簿に登載された。ところが、自民党が小選挙区で圧勝したしたため、まさかの当選となり、衆院議員になった。

もともと、防災NPO法人である東京いのちのポータルサイトの理事長として、耐震補強を訴え、国土交通省が中央防災会議において、安井を小泉首相の前で意見発表させたが、その際に安井が早稲田商店会での投票率アップ作戦を小泉の前で披露し、注目されたという経緯がある。そのため、出馬時には災害NPOの友人から強い反対があり、中でも京都災害ボランティアネット理事長は猛烈に抗議して一時、東京いのちのポータルサイトを退会、安井も理事長職を選挙中は一時退任している(のち復職し和解)。

自民党幹事長である武部勤とは早稲田大学ボウリング部の先輩後輩の間柄。 出所:Wikipedia


この本を読むと、まちづくりに必要な要素の1つにリーダーというのが挙げられるというのがよくわかる。元気のでるまちづくりの本はこれまでにも幾つか読んだことがあるが、これほど明解にリーダーシップについて具体的事例から説明している本には出会ったことがない。学生街の「夏枯れ」対策としてのエコサマー・フェスティバルや、平時のごみゼロ実験、「エコステーション」設置、全国リサイクル商店街サミット等、本書は商店街の生き残り戦略の実践事例が満載であり、読めば確実に元気が出ると思う。自分にも何かできそうだとも…。

但し、誤解してはいけないのが、安井氏はある意味商店会のエスタブリッシュメントだったという点である。本人には多少の謙遜があるのかもしれないが、肉屋の二代目でやってきて、なるべくして商店会長になれた人である。自ずと行政や政治家と近く、だから住民としての影響力の行使の仕方をよく知っていた。そういう芸当が誰にでもできるというわけではない。

著者は、早稲田で実践したまちづくりの手法を「早稲田ルール」と呼んでいる。そのエッセンスは、自分達が「場」を作り、そこに行政、企業、団体、学校、PTAなどが乗ってくるという点にあるようだが(p.144)、住民自らが問題点を認識し、周囲に働きかけ、ある程度形を作っていった上で行政や学校を巻き込むという手法は、確かにあまり多くはない。往々にして参加型という手法を用いたまちづくりと呼ばれるものの中には、行政が枠組みを作ってそれに住民を乗っけるという方法論を取っているだけのものが多いように思う。ボトムアップでやってきた早稲田の手法は学ぶ価値があると思う。東京に住む者にはとっつきやすい事例ということができる。

さらに著者は重要な点をもう1つ指摘している。それは、町が動くためのキーワードが「楽しい」ことであるという点、さらに踏み込めば「儲かる」ことであるという点である、それが実践を通じてだんだんわかってきたと述べている(p.67)。

僕が関心を持っている高齢化対策との関連でいえば、早稲田商店会が設置して実績をあげた「エコ・ステーション」が、今後全国の商店会でチェーン展開されるほどに普及していくようになれば、エコ・ステーションは高齢者や障害者の雇用の場にもなるかもしれないと著者は述べている。エコ・ステーションがどういったものかは実際に見てみないとわかりにくく、自分も完全に理解しているわけではないが、仮にカードリーダー付き生ゴミ処理機、空き缶・ペットボトル回収機、発砲スチロール処理機等を組み合わせたエコ・ステーションでは、設置された機器が増えてくるとどうしても見張り番的な人が必要となってくると予想されるからである。町のたまり場的な機能も考えられるかもしれない。さらに筆者は、エコ・ステーションのITネットワーク化が進めば、障害者の在宅ビジネス機会を提供できる可能性もあると見ている(pp.208-209)。

ちょっと古い本ですが、是非読んでみて下さい。繰り返しになるけど元気が出る本です。

⇒衆議院議員安井潤一郎のHPはこちらから。                                   

⇒衆議院議員安井潤一郎のブログはこちらから。                       

⇒早稲田いのちのまちづくり実行委員会のHPはこちらから。           

⇒早稲田商店会エコステーション事業部のHPはこちらから。            

⇒全国のエコステーションのHPはこちらから。


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