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職場を壊すのは上司 [読書日記]

こんな上司が部下を追いつめる―産業医のファイルから

こんな上司が部下を追いつめる―産業医のファイルから

  • 作者: 荒井 千暁
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本


内容(「MARC」データベースより)
業務に追われ過労死、重責が招く心筋梗塞…。現代社会にみられる逼迫した状況は、多くの職場から精神的余裕を奪っている。職場でいま、何が起きているか? 上司はどうあるべきか? 産業医からの緊急メッセージ。

荒井氏の近著に引き続き、前著についても紹介しようと思う。この本、是非部下を持っている上司の人々に是非読んで欲しい。この本の中で示されている事例はあまりにも悲惨であり、ここまで極端に部下へ仕事を丸投げし、部下の心境を察することのできない上司は珍しいのではないかと思うが、でも多くの上司の方々には思い当たるふしがある筈だ。

マーカーでラインを引っ張っていると本書の多くの頁が黄色くなるくらい示唆が多い本である。僕が今の心境に至るまでのプロセスや、僕が今苦しんでいる体調不良とはどのようなものなのか、見事に語ってくれている。倒れるまではいかないと思うが、僕が万が一職場を離脱するようなことがあったら、僕の上司に名を連ねている人は、課長や部長だけではなく、役員や社長に至るまで、この本を読んで我が身を振り返ってみて欲しいと思う。また、僕自身が自分の部下のストレスコントロールを考える場合、やはり同様な指摘が当てはまると思う。

「現代社会にみられる逼迫した状況は、確実に多くの職場から精神的余裕を奪っているように見える。逼迫した職場は、心の病が発生する温床になる。危ういバランスにあるところに「孤立」や「いじめ」や「無理解」が生ずれば、職場環境は一気に悪化する。                                                                                                       ここで問われるのが上司である。人間関係の重要性は、ひと昔前とは較べものにならない。上司までもが余裕をなくし、部下とのコミュニケーションを失ったら、部下は(中略)ひとりふたりと倒れてゆくだろう。現代の職場において、部下をつぶしてしまう最大の元凶は上司である一方、逆に部下の健康を守ることができるのは、何をおいても上司なのである。」(p.70)

そう、本書の結論は非常にシンプルで、上司はちゃんと部下を見ろということなのである。だから、上司が部下を見る場合に部下が往々にして陥りがちな仕事の悪パターンについても挙げていて、それを踏まえて叱ることも考えるように述べられている。

「メールを過信するあまり、却って円滑なコミュニケーションを損なっているケースは多い。(中略)メールに関する意見は、およそ次の3つに集約される。                                                       ①大事なメールや連絡事項が、何の連絡もなく知らないうちに着信している。                                  ②こちらが問いかけているのに、何の応答もない。                                                                 ③質問や意見交換をするには、もっとも至便な方法だと信じて疑わない人がいる。                                                                                                                解決策は次の2点。要は、電話をうまく使えという点にある。                                                                 ●重要であったり、込み入ったりしたメールを送るときは、事前に相手に電話する。                                                                              ●わからないことがあったらメールの前に電話し、メールによる質問のやり取りや意見交換は、原則として「やらない」。」(pp.110-111)

いずれもその通りだと思う。最後に本書から得られた今後の身の振り方に関するヒントを2つほど挙げてみたいと思う。

第一に、異常な仕事量を抱えている時には、優先順位をつけてできない仕事はできないと割り切ることが必要である。当たり前のことだが意外とできていない。僕の職場の部長はもっとできていないと思う。人には仕事に優先順位を付けて不要不急の仕事は凍結するぐらいの思い切ったことをやれと言うが、その中に自分が部下に命じた仕事は含まれていないらしい。金曜の晩、「ところであれどうなった?」という話を別の中間管理職の同僚経由で聞いて、今の大混乱のうちの部署で、それでもあの仕事に固執する必要があるのかと疑問に思った。社長の顔色を見ながら「やります」と宣言してしまった作業だから今さら後には引けないのかもしれないが、それだったら兵隊をちゃんと寄こせというのが僕の言い分である。今はどの班も殆ど余裕がないのである。

第二に、強制的にでも仕事から距離を置く時間を作らないと自分の精神と体力が持たないということを真剣に考えることが必要である。僕はこの週末、またまた仕事を持ち帰っていたが、土日2日とも体調がすぐれず、持ち帰りの仕事には一切手を付けなかった。無理にでも仕事のことを忘れて別の何かに没頭する時間が必要なのではないかと思う。本書はいちばん最後に「趣味ノススメ」という節を設け、書道や絵手紙、チェロ・ギター等の弦楽器、バイク・ツーリング等を勧めている。やっている時はそれに集中せねばならないからだという。やってみようかなという気もする。

なんでこんなに頭痛が続くのか。ついでに言えば、年明け頃から、膝下に冷えを感じるようになってきているし、朝起きると背中など敷布団につけていた面に何かタールのような重い液体が滞留しているような感じて体が重いし、頻繁に胸の苦しさを感じるようになった。これだけの症状が揃っているのだから、今朝は藁にもすがる思いで吉祥寺の東西薬局に中国医学のカウンセリングを受けに行った。

そこで一通り症状を説明した後で先生から言われたのは、心臓が弱っているから血流が悪く、体の弱いところで冷え性を起こすようになっているのだという。特に朝方の血流が極めて悪いと言われた。漢方の薬を2週間処方してもらってこれから様子を見ようと思うが、そうした対症療法だけではなく、そもそもこのような症状をもたらした根本原因が何かを考えて、それを封じ込めることの方が大事ではないかと依然として思う。だからもう上司に対しても遠慮しない。しないどころか、そんなことを考えてる余裕も今の僕にはもうないのだから。


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NO NAME

自分の体を大事にして!
by NO NAME (2007-02-20 09:54) 

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