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『風が強く吹いている』 [読書日記]

風が強く吹いている

風が強く吹いている

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/09/21
  • メディア: 単行本

 

 
内容(「BOOK」データベースより)
箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。

僕のブログに時々コメントを下さる生島淳さんがご自身のブログ『眼鏡堂通信』の中で紹介されている1冊。今になって言うのでは説得力がないが、実は生島さんがブログに書かれた直前に、たまたま偶然コミセン図書室で借りていたのであった。最近、近所のコミセン図書室では、三浦しをんさんや新堂冬樹さんの著書を重点的に拡充している様子で、最初は2006年の直木賞受賞作品『まほろ駅前多田便利軒』を借りようかと思ったのだが、隣りにあった『風が強く吹いている』の方を先に読むことにした。ただ、その時同時に3冊借り、北京出張を挟んだのでプライベートでの読書があまり進まず、ここまでズルズルと来ていたというわけ。昨日図書室で借り出し期間延長し、なんと1日で読み切った。(今週末まではちょっと息抜きをと思っているので…)

あらすじについては多言を要しないと思う。おそらく本書を読まれた方は同じような感想を持つと思うが、後半の箱根駅伝スタート以降の展開は、面白くて一気に読める。実際にこんなに上手く展開がはまることは珍しいのではないかと思うが、レース中の中継所でこんなやり取りがされているのかとか、サポートスタッフの人のやり繰りをどういうふうにやっているのかとか、或いは各選手に対して展開に応じてどんなアドバイスをするのかとか、参考になることが沢山あると思う。僕も学生時代に2年間ほど古い学生寮に住んで8人ほどで共同生活を送っていた時期があり(2年が終了したところで取り壊されてしまった)、その時の記憶を思い起こしながら懐かしく読むことができた。

キロ3分ペースというのがそんなに簡単に走れるスピードではないことは市民ランナー経験者である僕にはわかっている。箱根駅伝にたった10人の部員で挑戦するという構想が持ち上がってたったの10ヶ月で結果を出せるほど現実は甘くはないと思うが、ちゃんとしたコーチについて練習をちゃんとやったら、ある程度までは成果を期待できるだろうとは思う。何より、ある程度素質があって高校時代から実績を挙げていないと挑戦する権利はないかの如く最近の箱根駅伝はセミプロ化が進んでいるように思えるので、何の実績がなくても意思さえあれば箱根挑戦の権利があるという著者のさりげない主張には頷かされるものがある。

お薦めの一冊である。


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phin

Sanchaiさん、こんにちは。
笑いながら見れません!……いや、分かっています。へりくだった言い方なんだってことくらいは……

それにしてもしっかり分析してますね~。経験に裏打ちされたレビューも読み易いし、なによりネタバレがない!……見習わなくっちゃいけませんね(^^;)
by phin (2008-06-29 22:58) 

NO NAME

2003年に中央学院大学が全部員が陸上未経験者のチームで襷を繋ぎ10位に入りシード権を見事に勝ち取った年がありました。
あながちアンリアルな物語ってワケでも無いですよ!
by NO NAME (2009-01-21 15:14) 

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